木組みの家で大開口を造る

伝統構法保守本流


この一枚の写真は、京都詩仙堂の一コマです。
女優、岩下志麻さんが 『 京都で一番 』 と言ったことから有名になったお寺です。
私は、この型の中に伝統構法の保守本流があると思い定めています。
この型は紛れもなく、京都大徳寺の塔中の多くに存在する方丈建築そのものです。
日本文化の集大成が、東山銀閣寺のサロンの中で構築されて行った中で、建築の方も他の文化と共に昇華されていき、それが日本建築の基本的スタイルともいえる書院建築そして、座敷構法・数奇屋建築へと移行して行ったということは、まぎれない事実です。

建築基準法と日本文化

今、現行法の建築基準法でこの建物が確認申請で通ると思えますか・・? 120%ダメでしょう。。。
今でもこうした建物は、文化財であり文化庁の仕事であるとの理由から、法を無視して建てる事は可能です。なぜ民間はダメで国策であれば良いのか?疑問を感じざるをえないのです。
この写真の建物も、石場建て・足固め工法であることは間違いはないのですが、完全に差し鴨居もなく、その上部の小壁も欄間、あるいは雲障子と化し、それすらもない。
真の意味において、木組みだけ家はもつということを実現しているワケであります。
昭和25年に建築基準法を定め、家は 『 壁 』 でもつと法制化してきた国策の中で、どれだけの日本文化(建築の)が失われて来たことか-----
せめて、という思いを込めて、私共が現在やっている 『 石場建て足固め工法 』 は、いわゆる保守本流ではなく、地方の民家の流れを組むものであり、一般的に社寺建築からの発展型である方丈様式とは異なるものです。幸いに、ここ数年の中で地震学の方から建物へのアプローチが始まり、全ては『ゆれ』の中『ひずみ』の中で思考を構築する。
極めて物理学に近づいてきた形で、振動理論(高層ビルや五重塔がどうして地震の揺れに対応するのか解明していく学問)が、構築されることとなり、具体的には 『 限界耐力計算変位増分法 』 という長たらしい名前になるものなんですが、この新理論に基づいて木造の構造計算をし、壁量の呪縛からのがれ、大空間を現在造っています。
しかしながら、まだまだこの保守本流には程遠し。。。
今回、適合判定第3棟目の物件において、わずかではありますが、これに近い型を成功させました。
そのことは、次の機会で・・・
只今、建築中です-------→

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