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ラムサール条約 第10回締約国会議
決議案22:水鳥のフライウェイの保全のための国際協力の促進

日本語訳:
琵琶湖ラムサール研究会,2008年9月.

この決議案は,締約国会議で討議されて改変され決議Ⅹ.22に採択されましたので,このページの案文ではなく,採択された決議の本文と同付属書を用いて下さい 決議Ⅹ.22].

条約事務局原文:
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「健全な湿地、健康な人々」
"Healthy Wetlands, Healthy People"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第10回締約国会議
大韓民国 昌原창원),2008年10月28日11月4日

Ramsar COP10 DR 22

決議案.22
水鳥のフライウェイの保全のための国際協力の促進

提案者:科学技術検討委員会(STRP

1.水鳥の保全が世界中で、特に保護された湿地をつなぐネットワークを確立する手段のひとつとしてラムサール条約登録湿地に指定することを通じて、湿地保全を進めるための駆動力としてこれまでも現在も重要であること、そしてその初めから条約がそのような活動を、勧告6.4勧告7.3決議5.9決議Ⅵ.4決議Ⅶ.3決議Ⅷ.37決議Ⅷ.38、ならびに「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)などの決定を通じて、活発に進めてきたことを想起し

2.2004年には国際会議「世界の水鳥」において水鳥保全のための優先課題が(本決議の付属書のとおり)強調されたことを特筆し

3.ボン条約CMS)やアフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定(AEWA)のこれまでの関連の決定再び想起し

4.渡り性水鳥のフライウェイを保全する国際協力の努力が、ボン条約、アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・バートナーシップ、北米ガンカモ類管理計画、西半球移動性動物種イニシアティブ、西半球シギチドリ類保護区ネットワーク(WHSRN)、個々の絶滅危惧種のフライウェイ管理計画、ボン条約の最近の中央アジアフライウェイ行動計画など、多数の他の国際団体や取組みによっても推進されてきたこと、そしてこれら機関とラムサール条約ならびにその国際団体パートナーのあいだの緊密な技術協力がそれらの成功を決めるかぎとなっていることを意識し

5.フライウェイ保全が種のアプローチと生態系に根ざしたアプローチを結合しその渡りの範囲全体で調整されてしかるべきものであることを考慮し、政府、政府間機関、NGO、地方社会、民間部門のあいだで国際協力やパートナーシップを強化する緊急の必要があることを意識し

6.世界中で多くの水鳥において、持続可能でない収奪のみならず、特に湿地環境の喪失と劣化の(なかんずく、潮間帯湿地の小規模から大規模の陸化や、その他土地利用改変を通じた)結果として、その数が減少を続けていることを危惧し、生息地に対する人為的悪影響が、気候変動を含み、鳥類の分布をより少数の区域に、より狭い区域にますます集中させており、このことが水鳥の病気に対する脆弱性を高め、例えば[[COP10決議案21]に扱われる]人や畜産へも影響を及ぼす高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)のような病気の拡大に故意ではなくその一翼を担ってしまう可能性があることを意識し

7.持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)が2002年に設定した2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減退させるという目標を想起し、水鳥の状況が、少なからず渡り性水鳥はいくつもの国々の多数の湿地の生態学的特徴の維持に依存するがゆえに、湿地の生物多様性の状況の広範な指標を提供しうることを意識し

8.全てのフライウェイの中で、東アジア・オーストラリア地域フライウェイを渡る水鳥が最も知見に乏しく、世界的絶滅危惧種の数が最も多く、世界で最も人口密度の高い地域がそのフライウェイの範囲の中にあり、保護されていない湿地のみならず保護されている湿地でさえ極度の圧力を受けていることを意識し、重要湿地の賢明な利用の効力や水鳥の持続可能な消費利用を確保しようとする際の重大な困難さを特筆し

9.長距離を渡るシギチドリ類にとって決定的に重要な湿地はその数が少なく、ゆえにこれら湿地における人間活動がシギチドリ類個体群の劇的な減少に結びつく可能性を特筆し

10.東アジア・オーストラリア地域フライウェイにある、水鳥に重要な生息環境提供するのみならず漁業をはじめとするその多重の生態系サービスを通じて多数の人々やその社会を支える、潮間帯湿地に対する強烈な圧力をなかでも特筆し

11.非渡り性、島嶼性、大陸内の渡り性、あるいは南半球の渡り性の水鳥の個体群状況が好ましくないことを意識し

12.「潮間帯湿地の保全と賢明な利用の促進」に関する決議.21(2002年[ママ])において、締約国が『潮間帯湿地に悪影響を与える現在ある政策を見直し変更し、これらの地域を長期的に保全するための策を導入することを追求し』、『より多くの数と面積の潮間帯湿地、特に干潟を、先住民や地元社会にとって重要なところや世界的絶滅危惧種の湿地性のものを支えているところに優先順位を置いて、国際的に重要な湿地として特定し条約に登録すること』を決議したことを想起し

13.東アジア・オーストラリア地域におけるWSSDタイプ・フライウェイ・イニシアティブについて特筆し、渡り鳥とその生息環境を支えるための協力の取組みをこれまで進めてきたフライウェイにある締約国を祝福し、渡り鳥協定を近年に締結したオーストラリア、中国、韓国の各国を祝福し

14.北米・中米・南米・カリブ海諸国のあいだで、西半球移動性動物種イニシアティブやアメリカ地域水鳥保全計画に基づくフライウェイ規模の協働が近年に発展していることを歓迎し

15.アフリカ・ユーラシアフライウェイにおいては、水鳥の分布や豊富さ、必要な生息環境などに関する知識が概して良好ではあるがそれが必ずしも利害関係者による各国で必要な行動や地方で必要な行動に活かされておらず、その結果として保全努力の多くのものが世界的絶滅危惧種を含む水鳥個体群の好ましい状態の維持やそれへの回復に効力を発揮していないということを特筆し

16.アフリカ及びユーラシア西部地域において多数のパートナーによって進められる「Wings Over Wetlands(湿地を行き交う翼)」GEFプロジェクトを、なかんずくその論証プロジェクトや能力育成活動、個々の湿地の管理者や利害関係者等の意思決定者による保全行動を支える鍵となる湿地及び水鳥に関するデータや情報を流通させるための革新的な「重要湿地ネットワークツール」を歓迎し

17.水鳥の保全を、湿地の生物多様性の保全とともに地元社会をはじめとする湿地に依存する利害関係者が受けるいっそうの恩恵に結びつくように、持続可能な開発の一部として完全に統合することの緊急の必要性を強調し

締約国会議は、

18.締約国及びその他の政府機関に対して、共通する渡り性水鳥とそれらの生息環境を保全するための関連の国際的な取組みや計画、プログラム、なかんずく東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ、アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定、西半球シギチドリ類保護区ネットワーク等のフライウェイ規模の取組みを活発に支え参加するよう強く奨励し、そのフライウェイを渡る水鳥にかかわる湿地は全て、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11、以後の改正)に従って、特定し条約湿地に指定するよう強く要請する

19.締約国に対して、(本決議に付属する)2004年の会議「世界の水鳥」で合意された「エジンバラ宣言」の勧告に留意するよう奨励する

20.ラムサール条約常設委員会の第35回会合において大韓民国が「潮間帯泥質干潟は保存されるべきであり自国で現在採択されている大規模な埋め立てプロジェクトは無い」と述べたことを歓迎し、全ての締約国に対して、将来このような生息環境を守り、モニタリングし、過去の開発がそれらに及ぼす悪影響あるいは損害を緩和する努力を奨励する

21.締約国、その他の政府機関、及び関連団体に対して、水鳥の状況の引き続く低下の根本原因に対処する個々の努力ならびに共同の努力を、特にWSSDの湿地の生物多様性に関する2010年目標の達成に関連する観点から、緊急に増強するよう強く要請する

22.フライウェイ規模の取組みを運営する組織に対して、フライウェイ規模で水鳥を保全するための政策や措置の策定や実施における最善事例に関して、利害関係者等を支援するために重要なデータや情報の流通手段の成功例も含め、それらの知見や専門的技術を共有するための手段を講じるように強く要請し、ラムサール条約、ボン条約、及びアフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定の事務局に対して、各々の運営組織と科学的助言機関ならびに関心のあるその他団体と、そのような知見や経験を共有するための仕組みを確立するために協働するよう強く要請する

23.国際湿地保全連合に対して、「世界の水鳥の個体群推定 Waterbird Population Estimates」を用いて世界の水鳥の現状を定期的にラムサール条約・ボン条約・アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定の締約国に報告するよう要請し、締約国等に対して、このような国際的評価の製作を可能にするために必要な財政支援や、このような個体群の推定と評価をはじめ関連する多くの知見の提供に役立つよう調整された国際水鳥センサス(IWC)を支えるために必要な財政支援に貢献するよう強く要請する


付属書
国際会議「世界の水鳥」エジンバラ宣言(2004年)

 html   PDF (459 zip

[日本語版:国際湿地保全連合,2004年(和訳作成:環境省事業・国際湿地保全連合日本委員会実施)了解を得て再録]


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[英語原文:
ラムサール条約事務局,2008.Ramsar COP10 Draft Resolution X.22 "Promoting international cooperation for the conservation of waterbird flyways", Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). [Word] http://www.ramsar.org/doc/cop10/cop10_dr22_e.doc, [PDF] http://www.ramsar.org/pdf/cop10/cop10_dr22_e.pdf.]
[和訳:
琵琶湖ラムサール研究会,2008年9月.この決議案は,2008年11月に第10回締約国会議で決議Ⅹ.22に採択されましたので,このページの案文ではなく,採択された決議の本文と同付属書を用いて下さい.]
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決議Ⅹ.22, 【解説9】, 「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・バートナーシップ」(環境省インターネット自然研究所).]
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