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ナビゲーション1/2 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●資料集第10回締約国会議
Ramsar Changwon 2008

ラムサール条約 第10回締約国会議
決議.6「ラムサール条約の枠組みにおける地域イニシアティブ(20092012年)」

日本語訳:
『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』(環境省 2011年)より了解を得て再録. 

  PDF (233 ,環境省)  ワード (ZIP圧縮 55 )    付属書 

条約事務局原文:
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PDF:

「健康な湿地、健康な人々」
"Healthy Wetlands, Healthy People"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第10回締約国会議
大韓民国 昌原창원),2008年10月28日11月4日

決議.6
ラムサール条約の枠組みにおける地域イニシアティブ(20092012年)

1.ラムサール条約の下での地域イニシアティブは、共通の関心事である湿地関連の問題についての国際協力を通じて、それぞれの地域における条約の目標及びその『戦略計画』の実施が強化されるように効果的な支援を提供する、実施のための手段を意図したものであることを想起し

2.「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19、1999年)が締約国や他の協力機関の間の国際的な協力を推進するための適切な枠組みを提供していることを同じく想起し

3.決議Ⅷ.30(2000年)において、締約国は条約の目標の推進における地域イニシアティブの重要性を確認し、「ラムサール条約の枠組みにおける地域イニシアティブの策定に関する手引き」を設けたことを同じく想起し

4.決議Ⅸ.7(2005年)が条約の枠組みの中で20062008年に実施するいくつかの地域イニシアティブを承認し、またそのほかの多数のイニシアティブについて、条約の枠組みの中で実施できるようになる可能性があることを認識したことを重ねて想起し

5.常設委員会によって定期的に報告され、評価されたように、これらのイニシアティブの多くは、20062008年の期間中に大きく進展したことに留意し

6.本締約国会議に先立って、数多くの新たな提案が常設委員会に提出されたことに重ねて留意し

7.これらのイニシアティブの初めての実施期間から得られた経験、及び地域イニシアティブの今後の展開に関する戦略的見地での常設委員会による評価から導かれた結論を考慮し

締約国会議は、

8.地域イニシアティブの実施とその成果を評価する際の基準となる、条約の実施を支援するための地域イニシアティブに関する実施ガイドライン(本決議に付属)を採択する。この実施ガイドラインは、COP8で採択された地域イニシアティブの提案作成に関する手引き(決議.30付属書)を基にし、またこれに代わるものであるが、締約国が過去のCOPにおいてすでに承認しまたは表明した地域イニシアティブに影響を及ぼすものではない。

9.常設委員会に対し、締約国会議と締約国会議の間に、条約の枠組みの中で実施するものとして本決議付属書に示された実施ガイドラインを十分に満たすものの中から選んだ新規のイニシアティブについて、検討し承認する権限を与える。この承認された新規のイニシアティブは、次回の締約国会議に報告しなければならない。

10.財政及び予算事項に関する決議.2に示された条約の基本予算項目「地域イニシアティブに対する支援」の財政支援総額を2009−2012年の地域的イニシアティブに割り当てることに合意する。その要素は、実施ガイドラインを十分に満たしていることを条件として、研修及び能力育成のための地域センターか協力及び能力育成のための地域ネットワークのいずれかまたは両方である。

11.2009年、2010年、2011年、2012年の各年における個別のイニシアティブに対するこの予算からの財政支援水準は、常設委員会の年次会合前の適当な時期に所定の書式で提出される最新の財政及び作業計画に基づき、財政小委員会による個別の勧告に従って、常設委員会が各年の年初に行う年次会合で定めることを決定する

12.本決議に基づくすべてのイニシアティブ、特に基本予算から資金を得ているものに対し、当該イニシアティブの進捗と実施状況について、また特に「実施ガイドライン」を満たすことができているかについて、常設委員会に年次報告書を提出するよう指示する

13.締約国、政府間機関、国際団体パートナー、各国NGOその他潜在的援助機関に対し、ラムサール条約からの財政支援を求めている地域イニシアティブに対して追加の任意拠出による支援を行うよう奨励する

14.基本予算から当初の財政支援を受ける地域イニシアティブに対し、この支援を利用して、特に、別の持続的な資金源を探すよう強く要請する

15.条約事務局に対し、常設委員会のために、条約の枠組み内で実施される地域イニシアティブを承認する際の評価基準及び評価手順を定めるよう指示する

16.常設委員会の承認を得るため、条約事務局に対し、付属の20092012年実施ガイドラインに基づく地域イニシアティブの調整を行う機関または仕組みから求められる年次報告、会計報告及び作業計画報告について、標準的な書式を定めるよう指示する

17.常設委員会及び条約事務局に対し、特に基本予算の資金を得たイニシアティブに関して、その成果を検討し、COP11で検討するための概要報告を提出するよう要請する


決議Ⅹ.6
付属書
ラムサール条約の枠組みにおける地域イニシアティブに関する20092012年実施ガイドライン

地域イニシアティブの目的

1.ラムサール条約の下での地域イニシアティブは、共通の関心事である湿地関連の問題についての国際協力を通じて、それぞれの地域における条約の目標及びその『戦略計画』の実施が強化されるように効果的な支援を提供する、実施のための手段を意図したものである。

2.個々のイニシアティブの対象となる地理的地域は、その地域のアクターの湿地関連のニーズに基づいて定める。実際に地域イニシアティブは、本条約が決議Ⅶ.1(1999年)を通じて定めた6つの地域グループの1つに対応することもあるが、関係する締約国がそのほうが適切であると考える場合には、地理的な範囲がそれよりも絞られることもあれば、決議.1で定めた複数の地域グループにまたがることもある。

3.地域イニシアティブは、定められた地理的地域におけるラムサール条約の実施を促進、強化するために、体制及び実施面で継続的な支援を提供することを目的とするため、参加する全締約国または関係する地域のかなりの数の締約国からの支援を確保することが重要である。地域における効果的な作業のために最低限の実施体制を整えるには、十分な支援が不可欠である。

4.上に挙げた目的に十分合致する地域イニシアティブは、地域プロジェクトとは異なる。地域プロジェクトは、ある特定の地理的地域に関して複数の締約国によって提案される共同の行動やプログラムであり、ある特定の側面に重点が置かれ、多くは限られた期間で行われる。地域プロジェクトは、地域イニシアティブの特定の側面を実現するための実施手段となりうるが、地域イニシアティブと混同してはならない。

地域イニシアティブと条約事務局との間の調整

5.地域規模で活動する地域イニシアティブと、地球規模で活動して常設委員会とCOPに対して責任を負うラムサール条約事務局との間で、効果的な調整を図ることが不可欠である。

6.ラムサール条約事務局は、地域イニシアティブを策定し、調整しまたは運営する立場にはないものの、その能力の及ぶ限り、追加資源の結集などを通じて、地域イニシアティブを支援するよう努める。条約事務局の役割は、地域イニシアティブとの定期的な連絡を確保すること、地域イニシアティブに助言すること、ラムサール条約の全世界を対象とするガイドラインがそれぞれの地域で適用され、その戦略上及び実施上の目標が条約の『戦略計画』に十分沿ったものとなるようにすることである。条約事務局は、地域イニシアティブの進捗について、要求に応じて常設委員会及びCOPに報告することができるように、地域イニシアティブから定期的に報告を受けなければならない。

7.地域イニシアティブとラムサール条約事務局との調整を図る仕組みの果たす補完的な役割とそれぞれの責任は、参加する全締約国が同意する場合には、書面での取決めにより定めることができる。

8.地域イニシアティブの設置は長期にわたるプロセスである。地域イニシアティブがその目的を果たすためには、締約国とイニシアティブに参加するその他の機関との間の最低限の調整を確保することのできる専門職員が業務を提供することが必要である。ラムサール条約事務局はそのような業務を提供できないため、締約国や地域イニシアティブに参加するその他の機関がこれを行う必要がある。

9.地域イニシアティブは、その枠組みの下で策定される地域プロジェクトを調整し、監督するという役割も担える能力を育成することを目指さなければならない。地理的またはテーマ的に対象を絞り込んだ活動(多くは限られた期間で)を通じてイニシアティブを支援するプロジェクトやプログラムは、今後ますます展開されるようになると考えられる。これらについては、地域イニシアティブを調整する機関や仕組みによって監督しなければならない。

10.地域イニシアティブに関わる専門職員が地域プロジェクトを監督することで、その地域における条約の実施能力は著しく向上する。

イニシアティブのガバナンス

11.地域イニシアティブは、その地理的地域にしっかりと定着する必要がある。また地域イニシアティブでは、手引きや知見を提供するために、関係するすべての締約国とその他適切な関係者が参加する独自のガバナンスと助言の仕組みを設けなければならない。

12.調整のための専門の機関や仕組みを設けるには、受入国や受入政府間機関の支援が不可欠である。調整機関が設置された場合、この機関は、受入国に対してだけでなく、地域イニシアティブを構成するすべての機関(締約国その他機関)に対して責任を負うことになる。公平で透明性のあるガバナンス機構や組織構造を作り上げることが不可欠である。こうした機構や構造が、広く合意された付託事項、手続き規則、実施手引きの中に反映される必要がある。

13.締約国会議及び常設委員会は、条約事務局を通じて、地域イニシアティブの活動について報告を受けるものとし、また、条約の実施に関連するその一般方針を監督するものとする。

イニシアティブの重要な要素

14.地域イニシアティブは、ボトムアップのアプローチに基づくものでなければならない。優先事項として、イニシアティブの対象とする地域の全締約国の関与をその開始時から求めなければならない。

15.各イニシアティブは、その開始時から、関係する締約国において条約の適用に責任を負う担当政府機関だけでなく、環境や水の問題を所管する省庁、政府間機関、条約の国際団体パートナー(IOP)、その他NGO、学界、地域社会、経済主体など、湿地の問題に関心を有し、直接または間接に責任を負う、あらゆる利害関係者の参加を伴うものでなければならない。

16.地域イニシアティブは、明確に定められた枠組みに基づいて設置される協働ネットワークの構築を基盤として実施しなければならず、それにより、あらゆるレベルの全利害関係者の関与を可能にする環境を築く。

17.地域イニシアティブは、初期の段階では、相互補完的で重複のない活動を設定することにより、その地域で活動する他の政府間または国際的なパートナー、条約の国際団体パートナーとの協働を目指すべきである。

18.地域イニシアティブの実施は、『ラムサールハンドブック』や『技術報告書』シリーズで公表されたラムサール条約のツール(枠組み、ガイドライン、手引き、手法など)を最大限に活用することに重点を置くべきであり、また、イニシアティブのパートナーと認められた関係機関により提供される強力な科学的、技術的な支援に基づいていなければならない。

19.地域イニシアティブの戦略上、実施上の目標は、政策及び湿地の技術的な作業や活動により、条約の『戦略計画』と十分に整合するものでなければならない。

20.地域イニシアティブは、ラムサール条約の認知度や条約の目標に対する一般の人々の意識を高めるものでなければならない。その作業計画には、適切な利害関係者との交流・教育・参加プロセスの分野での活動を含めなければならない。当該活動の成果は、ラムサール条約のCEPA 監督委員会が利用できるように条約事務局に伝えなければならない。

財政及びその他の支援

21.地域イニシアティブには、参加する全締約国からの政治的支援と、その地域の1以上の締約国その他関連パートナーからの財政的支援の両方が必要である。調整を行う事務所を設置する場合には、受入国からの十分な支援が特に重要である。

22.地域イニシアティブを立ち上げるには、計画された作業、活動、プロジェクトに対する確実な資金提供に依存する必要がある。

23.地域イニシアティブに対する条約の基本予算からの財政支援は、COP及び常設委員会がそのように決定する場合には、あらかじめ定めた期間(原則として、COPが開催される間隔を超えない)に限定した立ち上げ資金としてのみ提供する。その期間ののちは、イニシアティブは自立しなければならず、条約の基本予算からの支援は別のイニシアティブに回される。しかし、地域センターが引き続き実施ガイドラインを十分に満たす場合には、財政支援を継続することができる。

24.ラムサール条約締約国会議は、次の締約国会議までの期間について、地域イニシアティブ用に一定額の資金を基本予算に計上している。この総額を基に、常設委員会が個々のイニシアティブに対して年間ベースで資金を配分する。この年次配分は、適当な時期に標準的な書式で条約事務局に提出される個別の報告書に基づいて行われる。これらの報告では、イニシアティブの実施準備が整っていることと、翌年に当該イニシアティブが必要とする条約の基本予算からの財政支援の緊急性に関する情報を提供する。

25.地域イニシアティブは、当初の立ち上げ段階以後長期にわたって独自の財源を生み出し、資金的に自立できる必要がある。条約の基本予算からの財政支援を決定するにあたっては、長期的な視野での地理的に公平な配分を考慮する。それには提案されたイニシアティブの利点や実施準備が整っているかどうかを検討しなければならず、これがCOPCOPの間の1会期間でなしうるとは限らない。

報告と評価

26.条約の枠組みの中で実施していることをCOPが認識している地域イニシアティブは、COPの次回会合に十分な報告ができる時期に、標準的な書式に従って、条約事務局に進捗状況の報告を提出しなければならない。

27.条約の基本予算からの財政支援を要請している地域イニシアティブには、進捗及び財務状況に関する年次報告の提出が求められる。当該報告は、常設委員会の年次会合の準備に間に合うように、条約事務局に届く必要がある。

28.ラムサール条約からの資金の支払いは、受給者から条約事務局に提出される活動と財務状況に関する短期の進捗報告書に基づいて、6ヶ月単位で行われる。

29.地域イニシアティブについては、定期的な評価・検討プロセスが必要であり、これは常設委員会が承認する所定のルールに従い、ラムサール条約事務局が調整して行う。これら検討手順は、地域イニシアティブが、合意された作業計画の枠組みの中で、ラムサール条約がCOPの決定を通じて承認したアプローチに従って実施されていることを保証するためのものである。


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[英語原文:
ラムサール条約事務局,2008.Ramsar Resolution X.6 "Regional initiatives 2009-2012 in the framework of the Ramsar Convention", Convention on Wetlands (Ramsar, Iran, 1971). [Word] http://www.ramsar.org/doc/res/key_res_x_06_e.doc, [PDF] http://www.ramsar.org/pdf/res/key_res_x_06_e.pdf.]
[和訳:
表紙『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』 『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』(環境省 2011)[この決議のPDFファイル: http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/ramsa/ketugi6.pdf ]より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2012年.]
[レイアウト:
条約事務局ウェブサイト所載の標準的な英語ページにおおむね従う.]
[フォロー:
COP11決議案5(英語原文:Word 140 PDF 99 ) .]

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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop10/res_x_06_j.htm
Last update: 2012-03-27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).