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ナビゲーション1/2 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●資料集第10回締約国会議
Ramsar Changwon 2008

ラムサール条約 第10回締約国会議
決議.1「ラムサール条約 20092015年 戦略計画」

日本語訳:
『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』(環境省 2011年)より了解を得て再録. 

  PDF (158 ,環境省)  ワード (ZIP圧縮 68 )    付属書 

条約事務局原文:
ワード:
PDF:

「健康な湿地、健康な人々」
"Healthy Wetlands, Healthy People"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第10回締約国会議
大韓民国 昌原창원),2008年10月28日11月4日

決議.1
ラムサール条約 20092015年 戦略計画

1.条約を履行していくための基礎として、決議.14によって『19972002年戦略計画』、決議.25によって『20032008年戦略計画』が採択されたことを想起し

2.締約国等による戦略計画の実施が、条約履行を一段と首尾一貫したものかつ効力的なものとしてきたことを認識しつつも、変化著しいこの世界において湿地の保全と賢明な利用の確実な達成にはまだ多くの課題が残されまた増えていることを認識し

3.湿地の保全と賢明な利用を達成するには、湿地保全と持続可能な開発に向けてより多くの分野で広範に取り組んでいくこと、特に、貧困根絶や水と食料の保障、水管理の統合的取組み、気候変動と予測されるその影響、取引のグローバリゼーションと関税障壁の削減、民間企業の役割増加、開発銀行や国際援助機関の影響拡大等に関する取組、が必要であることを意識し

4.湿地の保全と賢明な利用のための政策や行動は、生物多様性条約の全体論的な生態系アプローチ(同条約決定/6)に反映されているような、生物多様性を保全し環境をうまく管理する行動と完全に調和させる必要性があり、そしてラムサール条約戦略計画の行動が広範なこれらの取組の構成要素として確実に活かされるようにする必要性があることを強調しつつ、そのような広範な環境管理の取組では、本来は容易な湿地に特化した行動と政策の照合と報告を抑制してしまう可能性があり、これをラムサール条約の報告様式に反映させる必要があることを意識し

5.条約の下で湿地の賢明な利用を達成するには、特に、目録、評価とモニタリング、制度的枠組みと立法・政策、地方・国・国際的な計画策定や政策決定への湿地の賢明な利用の統合、湿地とその生態系サービスが持つ人類の福祉を支え貧困を軽減する役割、気候変動の緩和と適応、湿地の再生や回復、侵略的外来生物種、農業の影響、地域社会や先住民による管理、文化的課題、民間企業の参画、奨励措置、研修・能力育成を含んだ交流・教育・参加・普及啓発、条約湿地の戦略的指定、多国間環境協定間の協力強化、湿地保全活動への資金提供、条約のパートナー団体・研究者ネットワーク・他の利害関係者グループとの協働、全世界の加盟等をはじめとして、緊急に対応すべき課題がまだ多くあることを重ねて認識し

6.『戦略計画』の実施程度や、実施のための財源の大きさ、用いる時間枠などは、各締約国の選択に任されていることを認識し

7.『20092015年戦略計画』は、締約国をはじめ、条約の「国際団体パートナー(IOP)」や、政府間機関とNGOを含むその他のパートナーとの幅広い協議を通じて、条約事務局の補佐の下に常設委員会が準備したことを特筆し

締約国会議は、

8.今後の条約履行の基礎として、この決議に付属する『2009−2015年戦略計画』を承認し、また、条約事務局に対して、第10回締約国会議が採択する決議を組み込んでこの戦略計画の内容を確定し、確定した戦略計画を締約国及び実施に関わる全ての者が入手可能とするよう指示する

9.全ての締約国、常設委員会、科学技術検討委員会(STRP)、条約事務局、国際団体パートナー、及び条約の地域イニシアティブに対して、『20092015年戦略計画』を実施するという新たな課題を、その個別戦略項目と主要成果領域を通じて取り組むよう強く促す

10.締約国に対して、本戦略計画の実施の進展を継続的に監視し、その進捗状況ならびに実施上の困難を常設委員会の当該地域代表に伝えるよう強く促し、常設委員会に対して、『戦略計画』実施の進展と困難を各常設委員会会合において評価するよう要請するとともに、条約事務局ならびに常設委員会に対して、第11回締約国会議に提出するために進捗状況の中間報告を作成し、必要ならば調整案も準備するよう要請する

11.他の多国間環境協定、NGO、学術団体や研究機関、専門的科学技術機関、援助組織、及び民間企業に対して、『20092015年戦略計画』の実施に貢献するよう求める

12.条約事務局に対して、必要に応じて、一貫性が保たれるように本締約国会議が採択した他の決議の文言をこの決議に統合するよう指示する


決議Ⅹ.1付属書: 前文戦略計画最終目標15 ☟

決議Ⅹ.1
付属書
ラムサール条約 20092015年 戦略計画

前文

戦略計画の目的

1.この20092015年の戦略計画は、特に締約国に対して、また条約の常設委員会や条約事務局、科学技術検討委員会(STRP)、条約の地域イニシアティブ、国際団体パートナー(IOP)、ならびに条約に協力するその他の多くの人々に対して、これからの6年間にラムサール条約履行に向けた取組の焦点をいかに定めるか、その手引きを提供しようとするものである。

ラムサール条約戦略計画策定の歴史

第1次戦略計画(19972002年)

2.ラムサール条約にとって初めての戦略計画は、19972002年の期間に対するものであった。広範な利害関係者によって議論されたのは1995年のことで、1996年のブリズベンでの第6回締約国会議において採択された。この種の計画としては地球規模の環境条約の中で初めて策定されたものであり、新天地を拓くものであった。他の主要環境条約といった枠組みで、当時これを見習うべきモデルとした。

3.明確な「使命声明 Mission Statement」(条約で現在声明と呼んでいるものの初期の形)を据えて、その使命を果たすことに寄与する8つの「総合目標 General Objective」が表され、それらを満たすために27項目の「実施目標 Operational Objective」に分けられ、のべ 125項目の「行動 Action」が示された。また、条約関係機関のなかで各行動を実施する責務を有するものが特定されており、それらの組織は、締約国、常設委員会、科学技術検討委員会、条約事務局、および国際団体パートナーであった。

4.この19972002年の戦略計画は、締約国が自国における戦略計画の実施程度、実施のための財源規模、行動の実施速度を自由に選ぶことができると明記して認めていた。とはいえ、戦略計画を採択したことは、条約の使命を広範な事柄や活動に亘って果たすことを全締約国が強く約束したことを表していることになる。戦略的に見れば、極めて広範囲に網がかけられてはいるが、計画の階層的な組み立てによって多数の関係領域のうちで優先すべき領域は選びやすいようになっていた。

第2次戦略計画(20032008年)

5.20032008年を対象期間とした第2次戦略計画は、第8回締約国会議(2002年、スペインのバレンシア)の決議で採択された。これには、条約の実施作業や優先事項が、5つの総合目標と、その下で21項目に仕分けされた実施目標に編成されていた。実施目標の下に着手されるべき行動が 177項目あり、第1次戦略計画同様、条約における担うべき機関とともに記されていた。この行動リストは、きわめて徹底したものであった。

6.しかしながら採択後、多くの締約国が、この計画が徹底しすぎていると、また望ましい行動の包括的リストよりも、細心の注意を払って優先順位が付けられたもの、最も緊迫した課題に対して焦点が絞られたもの方が条約により役立つだろうという意見を表明した。

第3次戦略計画(20092015年)

7.第2次戦略計画を踏まえ、また第9回締約会議(2005年、ウガンダのカンパラ)での締約国からの助言や、以後の常設委員会の会合とその戦略計画小委員会の助言を得て、20092015年の戦略計画が準備された。第3次戦略計画では、「最終目標 Goal」が5項目定められたが、これらは第2次計画の総合目標と基本的に同じものである。その下では「戦略 Strategies」として、全体的にコンセンサスが得られており、かつ大部分の締約国にとって最重要の優先事項28項目に絞り込まれている。

戦略計画の用い方

8.これまで同様、20092015年戦略計画は、条約事務局と国際団体パートナーによって着手されるべき行動をも求めているが、戦略の大部分は締約国自身に主に向けられるものである。締約国において、活動を実施する経済的・人材的能力や、さまざまにタイプの異なる湿地の保全状況やその傾向、人々の意識や選挙民の政治的意思、自国のラムサール条約担当窓口や条約担当政府機関の国・地方行政府への影響力、存在する法的・制度的枠組みなど、国によってさまざまに条件が異なっていることは理解されているところであり、従って各国はこの戦略計画を精査して自国の対応策を決定するものと理解されている。

9.このような計画文書で、地球規模で「すべての要望を満たせるフリーサイズ」のものはありえないと言える。各締約国は、戦略計画に合意された優先課題の中で、自国における優先順位を確立し、それらを実施するための作業計画を策定し、資源の使い方を自ら考慮することができる。またその成果を、場合によってはうまくいかなかった点を、のちに報告する際には、そのように自国が決めたことや自国における状況に照らした上で、条約履行の結果として説明することができるだろう。

10.本戦略計画は、締約国を支援するために焦点を絞った優先行動リストの形となり、締約国会議によって合意されたものであるが、各締約国が20092015年戦略計画を自国のニーズや能力に応じて仕立てるにあたっては、ここに示されたもの以外でも締約国会議がこれまでに採択した決議や指針に関して、締約国がすでに取組みを進めている分野もあると思い出すことであろう。締約国がそれら追加的な公約に向けて、実行可能かつ適切な範囲で取組を自由に進めることもできる。

各国での条約履行

11.近年徐々に明らかになってきていることは、条約の履行状況を改善し条約の使命を果たすにあたっての最大の障害が、湿地やラムサール条約のことをよく知っていて湿地の賢明な利用に献身的なまさにその人たちが国としての約束を確実に執り行うポジションに必ずしもいないという事実である。

12.これまで以上に、条約担当政府機関は、他の部門の職員が湿地の保全と賢明な利用という国としての約束とその理論的根拠を確実に認識するように取組むべきであり、そのための努力を倍増させることが必要である。NGO、特に国際団体パートナーは、国レベルから地方、個々の湿地のレベルまで行政職員に、ラムサール条約の言葉を広める担い手になりうるであろう。

13.同様に締約国では、条約の使命達成に向けた作業に政府の他の部門もいっそう緊密に関与するよう、条約履行の範囲を拡大し、さらにその水準を引き上げることがますます重要になってきている。国によっては、条約担当政府機関が、環境政策の策定に直接関与しないような大きな省庁の一部署に過ぎないこともあろう。そのような国においては、湿地政策を策定する審議に、より上位での決定権を持つ政府職員を巻き込むように段階を進めてゆくべきであろう。

14.この目的のために、広範な分野にまたがり活動的な「国内ラムサール委員会」や「国内湿地委員会」を設置することの重要性を強調し過ぎることは無い。このような委員会が、委員会の決定を実施にうつす権限を持つ上級職員が、関連する全ての部門から参加して席を並べ、学会やNGOの代表を適切に含めることが理想であり、こういった委員会が活動的であれば、条約履行の必要性の認識や問題意識も著しく広がり、その成功を導く要因も増していくはずである。

15.湿地についての知識を広く共有することや、条約が開発してきたツールを最大限利用するように全ての関係者を促すことも欠かせない。

20022008年の条約履行の成果

16.20022008年の戦略計画の下での条約の達成度と進捗状況についての分析結果は、第10回締約国会議に提出された国別報告書が検討され、同締約国会議への資料(同会議文書6および同7)として英語・フランス語・スペイン語で提供されている。

条約のこれからの重要課題

17.湿地生態系(内陸及び沿岸域)の保全や持続可能な利用とその人々への生態系サービスを確保しようとするにあたって、今後ひきつづき直面する課題の背景には何があるか?

18.1960年代にラムサール条約を設立する契機となった原動力は、ひきつづく湿地の破壊とそれが水鳥個体群に及ぼす影響に対する懸念であった。それからほぼ35年が過ぎたにもかかわらず、2005年に『ミレニアム生態系評価 Millennium Ecosystem Assessment (MA)』は「(内陸及び沿岸域で)湿地の劣化と喪失は、他の生態系よりも高い速度で続けられている」と結論している。

19.その根底にある問題は、従来通り、経済的開発とそれによる土地利用の改変が、生態系の維持よりも優先されていることにある。両者が密接につながっており、生態系とそのサービス/恩恵を破壊することは、本質的に『我々を養ってくれる御手にかみつく』ことであるにもかかわらずにである。

20.湿地とその生態系サービスの変化や劣化、喪失を招いている主要な問題には次のものが挙げられる。

  • 地球規模の水循環に果たす湿地の重要な役割に関して、湿地のための水が不十分にしか得られないこと、
  • 水需要の増加、特に灌漑農業への需要の増加、
  • 気候変動と、予測できない極端な気候の増加による影響、
  • 湿地とその生態系サービスの価値の十分な理解(湿地の価値評価)がしっかりした政策決定やトレードオフを下支えするにもかかわらず、そのような理解が欠如していること。

21.したがって、国の環境ガバナンスを、縦割りで需要に対応する取組から、湿地の賢明な利用と湿地の生態学的特徴の維持に影響を及ぼし、また気候変動の影響を緩和し適応するための活動に果たす湿地の重要な役割も認識するような、生態系に根ざした取組へと移してゆくことが緊急課題である。

22.今後このような動きに対応して条約を履行してゆくためには、締約国と国内の条約担当政府機関が、政府内の他の部門や他の多国間環境協定担当窓口、そして市民社会と連携して、難しい選択をしなければならないときにはそれぞれの業務に於いて湿地の果たす役割と重要性が十分に認識されるよう、密接なパートナーシップのもとに取り組むことが必要である。

23.ラムサール条約は、生物多様性条約と共同作業計画を結んで密接に協働してきており、湿地の分野では生物多様性条約を先導する実施パートナーを務めている。しかし生物多様性条約をはじめ、ボン条約砂漠化対処条約等といった他の生物多様性・環境関連の条約・協定とのこれまでの共同作業は、その多くの部分が地球規模での仕組み(即ち、条約の事務局や科学的助言機関等)を通じたものであった。そのため、各国で地に着いた共同実施を果たすためには、各条約の担当窓口どうしの情報交換と共同作業をより緊密にすることが緊急に求められている。

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

20092015年戦略計画

24.20092015年戦略計画は以下に貢献する。

  • 地球規模、各国、各地方のレベルでの、条約の目的及び原則の共通理解、
  • この期間に取り組むべき主要要素に焦点を絞ることによって改善された、締約国会議決議の実施、
  • 湿地の保全と賢明な利用、その生物多様性や人類の福祉への恩恵の、全てのレベルにおける進展、
  • 条約の目標を達成するための各国や各地方の努力の国際的調整、
  • 他部門・他機関における条約とその目標の認識向上。

25.対外的には、本戦略計画はまた、特に「ミレニアム開発目標」の達成、2009年にトルコで開催される「第5回世界水フォーラム」のプログラム、「2010年生物多様性目標」の達成、「海洋保護区に関する2012年目標」の達成、気候変動の重要課題への対応提供、「持続可能な開発委員会第13回会期(CSD13)」水と衛生に関する政策における決定の実施、にも貢献する。

[訳注]
2010年生物多様性目標
『2010年までに、生物多様性の損失速度を顕著に減退させること』(生物多様性条約決定/26(2002年)付属書「生物多様性条約戦略計画」の使命)。
海洋保護区の2012年目標
『2012年までに、包括的で、(生態学上)代表的で、効果的に管理される、国や地域レベルの海洋保護区システムが、地球規模のネットワークに構築されていること』(生物多様性条約決定/28(2004年)付属書「保護区に関する作業プログラム」最終目標1.1の2012年までの目標)。

条約の使命

「全世界における持続可能な開発の達成に寄与するための、地方や国内での行動と国際協力を通じた、全ての湿地の保全及び賢明な利用」

何を達成したいのか?最終目標

条約履行

最終目標1.湿地の賢明な利用。湿地の保全と賢明な利用が貧困撲滅、気候変動の影響緩和と適応、病気や自然災害の防止に寄与することを確実にしつつ、地方に暮らす先住ならびに非先住の人々の参加を得、伝統的な知識を活用し、全ての締約国が必要かつ適切な手段と措置を策定し採択し用いることによって、全ての湿地の賢明な利用の達成に向けて行動する。
 条約第3条1、第4条3、第4条4、および第4条5の実行。

求められる成果
 全ての湿地の賢明な利用が全ての締約国において達成されていること。これには、参加型の湿地管理の推進や、湿地が提供する生態系サービスの重要性を認識することによって実施される自然環境保全上の決定も含まれる。

最終目標2.国際的に重要な湿地。全ての締約国が条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適切に実施することによって、ならびに同戦略的枠組み或いは同等のプロセスの国内での適用を通じて国際的に重要であると認められてはいるがまだ公式に条約湿地に指定されていない湿地の適切な管理と賢明な利用によって、水鳥のフライウェイ[渡りの経路や範囲]や魚類個体群を含む地球規模の生物多様性保全のために重要であり、また人々の暮らしを支えるために重要である湿地の国際的なネットワークを発展させ維持する。
 条約第2条1、第2条2、第2条5、第2条6、第3条1、第3条2、第4条1、および第4条2の実行。

求められる成果
 国際的に重要な湿地の国際的なネットワークを支える観点から、締約国がその領域内に条約湿地を指定し管理しており、条約第3条および第8条2の通達義務を十分に果たしており、かつ条約運営のプロセスの一部としてモントルーレコードを適切に用いている。

最終目標3.国際協力。特に「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」の積極的な適用を通じ、効果的な国際協力によって湿地の保全と賢明な利用を高める。
 条約第5条の実行。

求められる成果
 締約国が条約履行の取組みを国として、関連条約や国際機関ならびに他の締約国との効果的なパートナーシップの発展による利益を得るように、首尾一貫して進めている。

条約の管理

最終目標4.制度的能力・効果。条約が、必要な実施機構や資金、能力を確保することによって、その使命を果たすよう前進する。
 条約第6条、第7条、および第8条の実行。

求められる成果
 湿地の保全と賢明な利用を成し遂げる条約の成功が増大し、それが承認された効果指標によって具体的に示されることによって、そのような条約の成果が政府や市民社会の他の部門においても認識されるようになっていく。

最終目標5.加盟国。条約への加盟を世界の全ての国に広める。
 条約第2条4、および第9条の実行。

求められる成果
 条約へ加盟可能な国の全てが2015年までに加盟している。


決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

いかにして最終目標を達成するか?戦略と主要成果領域

最終目標1.湿地の賢明な利用
湿地の保全と賢明な利用が貧困撲滅、気候変動の影響緩和と適応、病気や自然災害の防止に寄与することを確実にしつつ、地方に暮らす先住ならびに非先住の人々の参加を得、伝統的な知識を活用し、全ての締約国が必要かつ適切な手段と措置を策定し採択し用いることによって、全ての湿地の賢明な利用の達成に向けて行動する。
戦略1.1.湿地の目録と評価
特に全ての湿地の賢明な利用に関する条項の適用において、条約の履行状況について情報提供し履行を進めるために、ラムサール条約の定義による全てのタイプの湿地の範囲や状態ならびに適切な規模における湿地資源について、記載、評価、モニタリングを行う。[STRP(科学技術検討委員会)の助言とIOP(国際団体パートナー)の支援によって締約国が実施]
 2015年までの成果領域
1.1.
条約の「湿地目録の枠組み」に則った全国規模の湿地目録が、全ての国で完成されていること。湿地目録は、各湿地の重要性、条約湿地の基準を満たす湿地、再生に取組むべき湿地、これまであまり指定されていない湿地タイプ、湿地が提供する生態系サービス等の情報が盛り込まれて包括的なものとなっており、可能な限り広く提供されていること。[国レベル:締約国]
1.1.
すべての国家湿地目録の情報を集め、関連する各国そして国際的なデータベースにリンクするような、容易にアクセスできるインターネット上のメタデータベースを条約事務局が運営していること。[地球規模:条約事務局]
戦略1.2.地球規模の湿地情報システム
湿地のデータや情報がより容易に利用できるよう、パートナーシップや自発的資金提供を通じて、地球規模の湿地情報システムを開発する。[締約国、条約事務局、STRPが助言しIOPが支援]
 2015年までの成果領域
1.2.
ウェブサイトで、湿地の分布と状況についての地球規模のデータと情報が利用可能になっていること。[地球規模:STRP
1.2.
地球規模の湿地観測システムが、湿地の状態の変化を報告していること。[地球規模:STRP
戦略1.3.政策、立法、制度
条約の賢明な利用条項が効果的に適用されるよう、全ての締約国において、適切な行政機構の増強も含めて、政策や立法、施策を策定し実施する。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
1.3.
全ての締約国によって、「国家湿地政策」や全く同等の政策が策定されており、貧困撲滅戦略、水資源管理・水利効率化計画、沿岸域および海洋域の資源管理計画、全国森林プログラム、持続可能な開発のための国家戦略、農業に関する国の政策や手段等を含む、他の戦略的計画の策定過程において統合されていること。[国レベル:締約国]
1.3.
締約国が、湿地に影響を及ぼす政策、プログラム、事業計画に対する「戦略的環境影響評価」を実施していること。[国レベル:締約国]
戦略1.4.湿地の恩恵/サービスの部門横断的認識
湿地の賢明な利用を達成するための方法論を開発し普及させることによって、生物多様性の保全、水供給、沿岸域の保護、総合沿岸域管理、洪水防御、気候変動の影響緩和や適応、食料保障、貧困撲滅、ツーリズム、文化遺産、科学研究などに果たす湿地の重要性について、認識を高め、政策決定の際にいっそうの注意を払う。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 2015年までの成果領域
1.4.
全国および地方レベルで、貧困撲滅の目標や、食物や水の保障計画に対して貢献する、湿地プログラムや事業が策定され実施されていること。[国レベル:締約国]
1.4.
湿地の(特に条約湿地の)生態系サービスとその価値の分析が、全ての締約国において実施されていること。[国レベル:締約国]
1.4.
湿地の社会経済学的価値や文化的遺産としての価値が、湿地の賢明な利用と管理において十分に考慮されていること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
戦略1.5.条約の役割の認識
湿地生態系を管理するための独自の仕組みである点を強調することによって、条約に関する認識を全てのレベルで高める。他の地球規模の条約や取組における目標達成のためにも有効な取組として条約を役立てていく。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 2015年までの成果領域
1.5.
地球規模の環境にかかる組織や条約が、ラムサール条約がこれまで発展させてきた湿地生態系の管理、賢明な利用、保全の仕組みを認識して適用していること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
戦略1.6.科学に根ざした湿地管理
国の政策や湿地管理計画を、技術的および伝統的知識を含めた、最善の科学的知識に基づくものとすることにより、賢明な利用概念の成功手法を促進させる。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 2015年までの成果領域
1.6.
湿地の持続可能性にとって重要な領域、例えば農業と湿地の相互作用、気候変動、生態系サービスの評価等において質の高い研究が完了し、適切な様式で広範に普及され、適用されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国、IOP
1.6.
全ての湿地管理計画が、潜在的脅威に関する研究を含め、しっかりした科学的研究に基づいて策定されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国、IOP
戦略1.7.統合的水資源管理
生態系に根ざしたアプローチを適用しつつ、「統合的水資源管理」の政策と実施を、全ての締約国において計画策定において、そして政策決定過程において、特に地下水管理、集水域・河川流域管理、沿岸域と沿岸近くの海域のゾーニング計画策定、気候変動の影響緩和・適応の活動等に含める。[締約国、STRPIOP
 2015年までの成果領域
1.7.
水資源管理と水の効率化計画に関する「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」の目標達成への貢献として、全ての締約国が、水資源管理に関する政策決定に役立つよう「生態系のための水の配分と管理に関するラムサール条約の手引き(決議Ⅷ.1付属書)」を利用できるようにしていること。[国レベル:締約国]
1.7.
全ての締約国が自国の水ガバナンスと管理において、河川流域規模の水資源管理に必須な、自然の水のための社会基盤として湿地を管理していること。[国レベル:締約国]
1.7.
気候変動の影響緩和や適応に果たす湿地の役割を高める国家政策や指針が策定中か完成していること。[国レベル:締約国]
1.7.
統合的水資源管理の計画策定を奨励するラムサール条約の役割が、環境に関する国際的努力の一部として確立されていること。[地球規模:条約事務局、STRP
1.7.
締約国が、農業システムを支える湿地の役割を持続させ高めるための計画をまとめあげていること。[国レベル:締約国]
戦略1.8.湿地再生
湿地の再生や機能回復が有益で長期的な環境的・社会的・経済的利益が得られる、優先度の高い湿地や湿地系を特定し、それらの回復に必要な施策を実施する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
1.8.
全ての締約国が再生策の優先度の高い湿地を特定していること。少なくとも半分の締約国において、それらの再生事業を進めているか完了していること。[国レベル:締約国]
1.8.
条約の湿地再生ホームページに、新たな事例研究や方法が追加されていること。[地球規模:STRP;国レベル:締約国]
戦略1.9.侵略的外来生物種
湿地、特に条約湿地の生態学的特徴に悪影響を及ぼしている、あるいはその可能性のある侵略的外来生物種の国内目録をつくり、その目録とIUCNの「地球規模侵入種登録簿 Global Register on Invasive Species (GRIS)」とが相互補完的になるよう締約国に奨励する。湿地系の侵略的外来生物種を予防、制御、根絶するための手引きを開発し、その手順や取組を進める。[締約国、STRP、他機関、IOP
 2015年までの成果領域
1.9.
湿地、特に条約湿地の生態学的特徴に悪影響を及ぼしている、あるいはその可能性のある侵略的外来生物種の国内目録を、全ての締約国が備えていること。[国レベル:締約国]
1.9.
締約国が、自国の湿地生態系において侵入種が起こしている問題をより包括的に特定していること。[国レベル:締約国]
1.9.
侵入種の防除と管理に関する国家政策や指針が湿地について策定されていること。[国レベル:締約国]
1.9.
「世界侵入種計画 Global Invasive Species Programme (GISP)」との協力の下に、地球規模での包括的で最新の手引きを全ての利害関係者が利用できるようになっていること。[地球規模:STRP
1.9.
侵略的外来生物種に関する国際的な規制にある欠点への対策について生物多様性条約との協働が高まっていること。[地球規模:条約事務局]
戦略1.10.民間企業
湿地の保全と賢明な利用への民間企業の参画を促進する。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
1.10.
湿地に影響を及ぼす企業の活動や投資に対して、条約の手引き(条約の湿地の賢明な利用ハンドブック第3版全17巻)や他の関連する指針に含まれる、湿地の保全と賢明な利用の概念や取組み方を適用することが、民間企業において大きく前進していること。[地球規模から地方レベルまで:民間企業]
1.10.
湿地の賢明な利用と条約湿地の管理に、民間企業の参画が増加していること。[地方レベル:民間企業]
1.10.
湿地保全に役立つ選択を消費者が可能になるような啓発資料が利用できるようになっていること。[国レベル:民間企業、締約国]
戦略1.11.奨励措置
条約の賢明な利用条項の適用を奨励する措置を促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
1.11.
全ての締約国において、湿地に関する奨励措置のこれまで以上に良い企画が立てられ、実施されていること。また全ての締約国において、湿地に良い影響を及ぼす奨励措置と悪影響を及ぼすものを、これまで以上に良くモニタリングされ評価されていること。[国レベル:締約国]

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

最終目標2.国際的に重要な湿地
全ての締約国が条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適切に実施することによって、ならびに同戦略的枠組み或いは同等のプロセスの国内での適用を通じて国際的に重要であると認められてはいるがまだ公式に条約湿地に指定されていない湿地の適切な管理と賢明な利用によって、水鳥のフライウェイ[渡りの経路や範囲]や魚類個体群を含む地球規模の生物多様性保全のために重要であり、また人々の暮らしを支えるために重要である湿地の国際的なネットワークを発展させ維持する。
戦略2.1.条約湿地の指定
条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適用する。[締約国]
 2015年までの成果領域
2.1.
全ての締約国が、上記「戦略的枠組み」を用いて、適切な場合には近隣諸国との協力関係の下に国境をまたぐ湿地も含めて、条約湿地の指定と管理についての全国的な計画と優先項目とを揃えていること。[国レベル:締約国]
2.1.
全ての条約湿地の情報票が、完成されるか、適切に更新されて、提出されていること。[国レベル:締約国]
2.1.
全世界で少なくとも 2,500か所、延べ2億5000万haが条約湿地に指定されていること。[国レベル:締約国]
2.1.
締約国が、条約湿地リスト(登録簿)に十分に選出されていない湿地タイプからの条約湿地指定を熟慮していること。[国レベル:締約国]
戦略2.2.条約湿地の情報
「条約湿地データベース」を含んだ「条約湿地情報サービス」が、さらなる条約湿地の選定を導くツールとして、また調査研究と評価のためのツールとして、利用可能であり増強されており、ならびにそれが条約事務局によって効果的に管理されている。[STRP、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
2.2.
利用者にとってインターネット上の利便性が高まるように、条約湿地のデータおよび情報サービスが検討され、再構成され、改善されていること。また、全ての湿地についての地球規模の情報・観測システムにつながっていること。[地球規模:STRP、条約事務局、IOP
2.2.
締約国が条約湿地のさらなる指定のために不足している部分や優先順位を特定するのを助けるため、「条約湿地情報サービス」が締約国に一連のツールや支援を提供していること。[地球規模:条約事務局、IOP
戦略2.3.湿地管理計画策定−新たな条約湿地
条約湿地指定が当該湿地の効力のある管理計画の策定の契機になりうることを認識しつつ、新たな条約湿地は全て、効果的な管理計画策定が指定以前に開始されているべきで、管理に必要な資源も確保しているべきである、という考え方を全般的に奨励する。[締約国、IOP、条約事務局]
 2015年までの成果領域
2.3.
新たな条約湿地指定には、その目標を満たす予算や人員確保がうまくいかない可能性をも考慮し、指定が将来の管理計画策定の契機となる可能性を認識しつつ、全てあるいは大部分の新規条約湿地指定において、適切な管理計画策定プロセスが確立されて提出されていること。さもなくば、そのような目標に向けて作業を進めるという約束がなされていること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
戦略2.4.条約湿地の生態学的特徴
全ての条約湿地の生態学的特徴を、計画策定と管理を通じて、維持する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
2.4.
各国の条約湿地全てについて、効果的な管理計画の策定に進展があること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
2.4.
全ての条約湿地について、生態学的特徴の維持のための管理目標が、管理計画策定の一部として確立されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
条約湿地、湿地保護区、その他の湿地で、広い湿地においてはゾーニングの手法が取り入れられていること(勧告5.3決議Ⅷ.14参照)。条約湿地やその他の湿地で、面積の小さな湿地や特に影響を受けやすい湿地では、厳密な保護措置が規定されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
条約湿地において、関係省庁、市民や地域社会、その他の利害関係者の参加のもとに、適切な場合には企業部門も含めて、また争点解決の仕組みとしても、部門横断的な湿地管理委員会が設置されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
全ての条約湿地について、その生態学的特徴の現状把握が完了し、条約第3条2[生態学的特徴の変化の通達義務]を実施する基礎に用いられていること。[地方レベル:湿地管理者]
戦略2.5.条約湿地管理の効力
条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」に沿って、全ての条約湿地について、管理のための取り決めに効果があるかないかを検討し総括する。[締約国、STRP
 2015年までの成果領域
2.5.
全ての締約国が、上記「戦略的枠組み」を用いて、既存の条約湿地について検討し、自国の条約湿地の全てが「戦略的枠組み」の規定を満たしていることを確証していること。あるいは改善の余地があるにもかかわらず改善していない条約湿地を特定していること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
戦略2.6.条約湿地の現状
条約湿地の状態をモニタリングして、その生態学的特徴の悪化に対処し、条約事務局に条約湿地に影響を及ぼす変化を通達し、適切な場合には問題に対処するツールとして「モントルーレコード」と「ラムサール諮問調査団」を適用する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
2.6.
人為的活動によりその生態学的特徴がすでに変化している、変化しつつある、または変化するおそれがある条約湿地をもつ締約国は全て、条約第3条2の要件に沿って条約事務局に報告していること。[国レベル:締約国]
2.6.
「モントルーレコード」に掲げられた湿地で、同レコードから外すために必要な対策について助言を提供する「ラムサール諮問調査団」をまだ受け入れていない条約湿地全てについて、当該締約国が同諮問調査団を要請すること。[国レベル:締約国]
2.6.
条約履行の効果を評価する結果志向の生態学的指標[訳注]のうち、関連する指標を実施していること。[地球規模:STRP;国レベル:締約国]
[訳注]
科学技術検討委員会が開発中のもので、一部は2005年の決議Ⅸ.1付属書Dに採択され、それら指標の詳しい内容がファクトシートとしてCOP9文書18に示されている。その後の進展がCOP10文書23に報告されている。
戦略2.7.その他の国際的に重要な湿地の管理
まだ公式に条約湿地に指定されていないが、条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」或いは同等のプロセスの国内での適用を通じて、条約湿地の要件を満たしている国際的に重要な湿地について、その適切な管理と賢明な利用が達成されている。[締約国]
 2015年までの成果領域
2.7.
生態学的特徴の維持に関する条約の手引きが、まだ条約湿地に指定されていないが国際的に重要であると認められている湿地に、優先して適用されていること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

最終目標3.国際協力
特に「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」の積極的な適用を通じ、効果的な国際協力によって湿地の保全と賢明な利用を高める。
戦略3.1.多国間環境協定等との相乗作用とパートナーシップ
国際的ならびに地域的な多国間環境協定(MEAs)や他の政府間機関(IGOs)とパートナーとして協働する。[締約国、条約事務局、IOPSTRP
 2015年までの成果領域
3.1.
「生物多様性条約とラムサール条約との共同作業計画」、「ボン条約及びアフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定とラムサール条約との共同作業計画」が実施されており、「生物多様性関連条約連絡グループ(BLG)」にラムサール条約が引き続き参加していること。[地球規模:条約事務局、STRP;国レベル:締約国]
3.1.
砂漠化対処条約(UNCCD)や、気候変動枠組条約(UNFCCC)との共同活動を、「リオ条約の合同連絡グループ(JLG)」への参加を含めて、適切に展開していること。[地球規模:条約事務局、STRP
3.1.
「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」の「行動計画」にラムサール条約の課題や仕組みが十分に組み入れられており、関係締約国によって実施されていること。[地域規模:条約事務局;国レベル:締約国、IOP
3.1.
国連環境計画(UNEP)や、国連開発計画(UNDP)、国連欧州経済委員会(UNECE水条約、国連食糧農業機関(FAO)、ユネスコ、世界保健機関(WHO)、世界観光機関(UNWTO)、国際熱帯木材機関(ITTO)、国連森林フォーラム(UNFF)とその森林共同パートナーシップ、欧州共同体(EC)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、ベンガル湾地域技術経済多部門的協力イニシアティブ(BIMSTEC)、南アジア地域協力連合(SAARC)等、関連国連機関やその地域組織との、ならびに「国連水関連機関調整委員会(UN-Water)」を通じて、さらなるパートナーシップの取組が開始されていること。[地球規模:条約事務局、STRP;国レベル:締約国、IOP の支援]
3.1.
適切な多国間環境協定との調整が図られた情報管理および報告手法が、各国レベルで利用できるようになっており、広く用いられていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
戦略3.2.条約の地域イニシアティブ
条約の下での地域的取り決めにおいて、既存のものを支援し、追加のものを促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
3.2.
「ラムサール条約の枠組みにおける地域イニシアティブの2009−2012年の運用指針」(決議Ⅹ.6付属書)を適用して、条約の下に実行可能な地域的取り決めが策定され、新たな地域イニシアティブの確立や既存のものの強化に結びついていること。[地球規模:条約事務局、常設委員会;地域規模:地域イニシアティブ、IOP の支援]
戦略3.3.国際援助
海外投資も国内投資も含めて、湿地に影響を及ぼす開発プロジェクトの全てについて、環境上の安全対策や影響評価がそれらの必須の構成要素となるようにするとともに、湿地の保全と賢明な利用を支援する国際援助を促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
3.3.
二国間援助機関を有する締約国が、貧困撲滅等の国際的な目標と優先事項に関連させて、湿地の保全と賢明な利用にかかるプロジェクトに対する資金援助に優先度を与えることを当該機関に奨励していること。[国レベル:締約国]
3.3.
国際開発機関、銀行、金融機関、民間の投資家や開発業者等から提案される補助金や貸付、開発プロジェクト等が、環境上の安全対策や環境影響評価を含めていること。[地球規模:条約事務局、開発機関]
戦略3.4.情報と専門技術の共有
湿地の保全と賢明な利用に関する専門技術や情報の共有を促進する。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
3.4.
締約国が国別報告書準備のための情報管理に必要とする時間が低減されており、同時により質の高い報告がいっそう折よく作成されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
3.4.
条約事務局がそのホームページ等の手段で普及できるように、締約国が提供する情報の流れ(例えば、条約に関連する政策、条約湿地の管理計画やモニタリング結果等)が増していること。[国レベル/地域規模:締約国、IOPの支援]
3.4.
科学技術検討委員会によって評価された湿地関連の研究成果が、「ラムサール条約技術報告書」や、条約や国際団体パートナーのホームページ、その他の手段を通じて、広報され広範に利用できるようになっていること。[地球規模:条約事務局、STRPIOP;国レベル:締約国]
戦略3.5.国境をまたぐ湿地・河川流域・移動性動物種
国境をまたぐ湿地に依存している生物種のモニタリングや管理の協力も含め、国境をまたぐ湿地や水文学的流域の目録作りや管理のための協力を促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
3.5.
該当地域では、全ての締約国が国境をまたぐ湿地・河川流域・移動性動物種を特定していること。ならびに、締約国がそれら国境をまたぐ湿地・河川流域の共同管理の仕組み作りを話し合っていること。[国レベル:締約国]
3.5.
河川流域や沿岸域システムが国境をまたぐ地域では、締約国が、共同管理委員会や共同管理当局に加わることを検討していること。[国レベル:締約国]
3.5.
特に「アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定」や、「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」、「西半球シギチドリ類保護区ネットワーク」、「中央アジアフライウェイ・イニシアティブ」に例証される地域的な湿地ネットワークや取組が、湿地に依存する他の移動性動物種に対しても新たに設立されていること。[地球規模:条約事務局、STRP、他の多国間環境協定;国レベル:締約国]

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

最終目標4.制度的能力・効果
条約が、必要な実施機構や資金、能力を確保することによって、その使命を果たすよう前進する。
戦略4.1.交流・教育・参加・普及啓発(CEPA
湿地の保全と賢明な利用を交流・教育・参加・普及啓発を通じて促進するために、条約のCEPAプログラム(決議Ⅹ.8)の適切な実施を全てのレベルで支援し協力する。また、条約の最終目標や仕組み、主要な発見などについての広範な啓発に取組む。[締約国、条約事務局、研修センター、IOP、「ラムサール条約のための能力育成諮問委員会(Advisory Board on Capacity Building for the Ramsar Convention)」]
 2015年までの成果領域
4.1.
全ての締約国が、国家で(ならびに、地方、集水域、個々の湿地まで適当なレベルで)「ラムサール条約CEPA行動計画」を確立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
全ての締約国が、条約湿地において湿地教育センターを少なくともひとつは設立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
湿地と文化的・経済的に結びついている利害関係者や、生計を湿地に依存している人々が、湿地管理計画の策定と実施において確実に参加できるようなやりかたを、全ての締約国が確立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
少なくとも半数の締約国が、湿地の保全と賢明な利用に関する研修の必要性を全国的および個々の湿地レベルで評価していること。[国レベル:締約国]
4.1.
締約国が研修や広範な能力育成のための計画を策定しそのための活動を実施できるよう、「ラムサール条約のための能力育成諮問委員会」が実践的な助言を締約国に提供していること。[地球規模:能力育成諮問委員会]
4.1.
条約による湿地の管理や賢明な利用と保全の仕組みが、地球規模から地域規模、各国、各地方のレベルまで、広範な利害関係者によって適用されていること。[地球規模から地方レベルまで:全ての関係者]
4.1.
条約による、政策決定のための枠組みやネットワーク、技術的文書等が、広範な対象者の手に届き適用されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル/地域規模:締約国、IOP の支援]
4.1.
戦略項目1.3に特筆される政策や立法、制度的ガバナンスの仕組みに関して、それらを実施するために必要な能力や研修の必要性を、かなりの割合の締約国が評価していること。[国レベル:締約国]
戦略4.2.条約の財政能力
条約運用や仕組み、プログラムの実施が締約国会議の期待を果たせるよう、必要な予算を利用可能な既存の財政資源を効果的に用いることによって確保する。条約履行のための新たな資金を結集するための選択や仕組みを探究し実現する。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
4.2.
条約の責任と優先課題を締約国会議が決定したとおりに効果的に果たせるよう、適切な資源とそれを支える財政方針が整備されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
4.2.
締約国会議が配分した予算を条約事務局が最大限効果的に運用しつつ、条約のための予算が明瞭に準備され管理されていること。[地球規模:条約事務局]
戦略4.3.条約の機関の効果
締約国会議、常設委員会、科学技術検討委員会、ならびに条約事務局が、条約履行を支えるために極めて効果的に運営されているようにする。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
4.3.
全ての締約国が(第11回締約国会議までに)CEPA担当窓口と科学技術検討委員会担当窓口を指定していること。および、条約担当政府機関の窓口や公式連絡の外交窓口などの変更が条約事務局が適時に更新できるように伝えられていること。[国レベル:締約国]
4.3.
国別報告書が、締約国会議のたびに条約の戦略計画の実施状況を評価し報告するために用いられていること。[地球規模・地域規模:条約事務局]
4.3.
締約国会議によって採択された運用規則と作業計画を、条約の機関が果たすための資金と活動支援が、利用可能な資源を賢明に使うことによって適切に当てられていること。[地球規模:条約事務局、締約国]
4.3.
条約事務局が、常設委員会の助言を受けて、湿地の保全と賢明な利用に関して新たに生ずる重要問題に対応できるよう、職員業務の優先度や能力を十分に統率していること。[地球規模:条約事務局]
戦略4.4.国際団体パートナー(IOP)等との協働
条約の国際団体パートナー等と協働することによる利益を最大にする。[条約事務局、IOP
 2015年までの成果領域
4.4.
第11回締約国会議までに、各国際団体パートナーが条約事務局との覚書を更新していること。それには、複数の国際団体パートナーによる共同行動も含めることができる。そして、2015年までに、それら覚書が総括され必要に応じて改訂されていること。[地球規模:条約事務局、IOP
4.4.
条約の科学面、技術面、ならびに政策面の作業への支援が、国際団体パートナーの現行プログラムのなかに統合されていること。[地球規模:IOP
4.4.
条約にとって優先度の高い課題のためのパートナーシップを結集できるよう、国際団体パートナー等による努力がなされていること。[地球規模:条約事務局、IOP;国レベル:IOP、締約国]

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標15 ☟

最終目標5.加盟国
条約への加盟を世界の全ての国に広める。
戦略5.1.加盟国
世界の全ての国の加盟を確保し、適切な水準の支援を提供する。[締約国、条約事務局]
 2015年までの成果領域
5.1.
第11回締約国会議までに少なくとも加盟国が 170ヶ国にのぼり、第12回締約国会議までに加盟可能な国全てが加盟していること。[地球規模:条約事務局、常設委員会]
5.1.
本戦略計画の実施のための締約国への支援、特に最近加盟した国々に対して、提供するに十分な資金の確保に努める。[地球規模:条約事務局、常設委員会、援助する締約国]

決議Ⅹ.1付属書: ☝ 前文戦略計画最終目標1  ]


[ PDF(158 環境省)] [ Word(ZIP 圧縮 68 ]    [ Top ] [ Back ]    [ Prev ] [ COP10 ] [ Next ]
[英語原文:
ラムサール条約事務局,2008.Ramsar Resolution X.1 "The Ramsar Strategic Plan 2009-2015", Convention on Wetlands (Ramsar, Iran, 1971). [Word] http://www.ramsar.org/doc/res/key_res_x_01_e.doc, [PDF] http://www.ramsar.org/pdf/res/key_res_x_01_e.pdf.]
[和訳:
表紙『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』 『ラムサール条約第10回締約国会議の記録』(環境省 2011)[この決議のPDFファイル: http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/ramsa/ketugi1.pdf ]より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2012年.]
[レイアウト:
条約事務局ウェブサイト所載の標準的な英語ページにおおむね従う.]
[フォロー:
COP11決議案3(英語原文:Word 157 PDF 155 ), 【解説10】, 決議Ⅷ.25決議Ⅵ.14.]

ナビゲーション2/2 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●第2部主要な決議等
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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop10/res_x_01_j.htm
Last update: 2012-03-27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).