「お風呂場で…」  第5話
「死ぬってどんなこと?」
 私は死ぬ前の疑問を死に神にしてみた
「生きているものとコミュニケーションが取れなくなる事よ」
「でも幽霊は?」
「そんな物いない。未練を残した魂が何時までも消えなくていいなら、私がいる意味がない」
「貴女は死なないの?」
「わからない。私は、私以外にも沢山いる。それは「存在を共有する全体としての私」から分散したものだから、今の私が何らかの要因で「死ぬ」事があっても私自体の総量が変化するだけで私全体に影響はないし、また「私」から分散すれば私が消えたところで何ら影響はない」
「貴女全体の総量は決まってないの?」
「わからない。私はただ、分散して収束し、また分散する。それだけよ」
「そう、それってちょっと寂しいね」
「べつに」
「ところで服着て下さいよ」
「着たわよ?貴女の死に神のイメージを基にして、黒いローブにしてみた」
「ちょっと短いんじゃないかなぁ」
「えー。わがままだなぁ」
 少し不満そうに死に神さんは言いました。

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