「山の中でひとり!」  第6話
その6  山の夜は寒い。ワンピースじゃ凍えてしまう。
 お母さんと一緒にいるときは、落ち葉に埋もれて寝てた。湿気を含んだ落ち葉は容赦なく体温を奪ったけれど、体を風にさらすことを思うと暖かかったし、お母さんがいたから安心して寝れた。
 拾ったデイパックから、アルミのシートを出してシェルターに入る。
 ふと、元の持ち主のことを思った。
 お母さんは急斜面の上から私を落とした。どのくらい落ちたか分からなかったし、上を見ても上も見えない。私の力じゃあの斜面を登れないし、上れたとしても獣道すらなかった。
 この人も滑落したのだろうか?
 右腕は滑落したときに切った。メメクラゲなんていない。
 あなたは無事におうちに帰れたのでしょうか?まどろみの中で私は無事を祈った。

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