「山の中でひとり」  第38話
cd3120eea4-1221561561.png  ハイキングではいつも先頭役をしていたれど、狩りの時だけは指示役に回った。
 足取りの癖や歩幅で対象の体長を推測して、折れた枝や踏んだ草で移動速度や動きを予測する。そうだ、先生に教えられたとおりに考えろ…。

 シェルパンツの膝のラッセル痕から大体170センチ、脚の大きさは膝の位置から推測して25〜26センチ。お父さんと同じくらいの男の人だ。歩く速度は当時雪山と仮定して時速1km前後くらい。
 デイパックにはナイフや水筒とか必需品が無かった。
 多分、何らかの理由でデイパックが背負えなくなって、必要最低限の物を持って破棄したんだ。
 急斜面から滑落して、鹿と同じように肩か肩胛骨あたりを砕いた?それならば時速400〜500メートルくらいになる。
 同じルートを通ったとしたら、先にシェルパンツが見つかった理由は?普通、ジャケットを先に脱ぎ捨てる…。
 リングワンデリングして戻ってきたのか?多分この頃にはもう体温は下がりきっている。もはやまともな思考は出来ていないはずだ。アツいアツい。そう思いながら歩いたはずだ。

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