「山の中でひとり」  第51話
cd3120eea4-1223983992.png  タタタタと軽やかな足音。私よりも子供の足音だ。起きなきゃ…
「ただいま?。ってお母さん。何か変な臭いするよ?えっと…その女の子、誰?」
「おかえり。まぁ、なんて言うか…。弟とか、妹とか、兄弟が欲しいって言ってたじゃない?良かったわね。貴女のお姉さんよ」

 ドタドタと重い足音。きっと、おうちの人が帰ってきたんだ。起きなきゃ…
「あ〜。だんな。おかえり」
「ただいま帰りました。好江さん。鹿が腐った臭いがするけど…。あぁ可愛いお客さんですね。その女の子、どこの娘さんです?」
「いいでしょ?畑で拾ったの」
「またまたぁ。いやですよ、この人は。驚かそうとしても引っかかりませんよ」
「ホントよ?畑にいたのよ。多分…、家出娘さん。」
「そりゃ大変だ。警察には届けたんですか?」
「まだ。何か訳ありみたいだしね。話ぐらいは聞いてあげなくちゃ、かわいそうよ。それにこの子、なんだか傷だらけだしね。」
 まどろみの中でそよ風を感じた。
 それは優しくて、涼しくて…。どうしてもまどろみから抜け出せなかった。

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