「山の中でひとり」  第52話
cd3120eea4-1224161554.png  起きたとき私は混乱していた。
 おばちゃんは隣の部屋で男の人と話している。
 周りを見渡すとご飯を食べた部屋とは違う部屋。お腹の上にあったタオルケットを投げ捨てる。
 自分の立ち位置が分からなくなって、逃げることも出来ずにただ部屋の隅で縮こまった。私は眠りこけてしまった自分を呪いながら、ただ縮こまった。脚が震えて何も出来ない。

 少ししておばちゃんが入ってきた。一瞬、驚いたようだったけどすぐに私を見つけた。私はまるで虫のように縮こまる。
「私のもんぺを貸してあげるから、お夕食の野菜を採るのを手伝いなさい。」
 何も言わずに、ただジッとしていたら
「働かざる者食うべからず、よ。さ、こっち来なさい」
 そう言って私に手をさしのべてくれた。

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