「山の中でひとり」  第71話
cd3120eea4-1226276138.png 「早く切ってあげてください!」
 半狂乱になりながら、知らないおばちゃんが叫んだ。
「いや、写真撮影とか見分とか証拠化がせんといかんので、もうちょっと待って」
「人権無視よ!」
「これはご子息の権利を守るためですよ。もし犯人が見つかったときに、証拠がなければ罪に問うことが出来ません。操作もできません。この特殊な緊縛状況は犯人特定の重要な参考になります。まずはフィルムカメラで裁判に耐える証拠として現状を保存する必要があります」
「早くしてください!」
「フィルムが無くなったんで、今の若いのにカメラとフィルムを持ってこさせてます。それまでは見分をする必要があるので、サトシにさわらないでください。畑にも絶対に入らないでください。足跡を取りますんで。」
「なんで、好江さんところがいるんですか」
「畑を荒らされている被害者ですからね。何か問題が?」
 そう言って駐在さんはノートにサトシ君のスケッチを取り始めた。


「好江さんは偏見を捨てるべきだと思います。僕のやってるのはギャルゲーじゃないです」
 メジャーでサトシ君を色々測ってる間、おじさんとおばさんが討論をしていた。
「女の子が出てくれば、みんなギャルゲーよ」
「今やってるペルソナ4はギャルゲーじゃないですよ」
「アル中と一緒よ。やっている人ほどやってないって言うのよ。私に言わせたら、ギャルゲーする人はみんなエロゲーしているし、エロゲーする人はみんなロリコンよ。っていうか、男は30越えたらみんなロリコンよ」
「うわぁ、言い切ったよ。この人!」
「じゃぁ、これから帰ってPCのHDチェックしても良いのよね」
「………。まぁ落ち着きましょう。僕ももう仕事に行かなければイケません。私たちは今夜、ゆっくり話し合う必要があるようですね」
 少し顔をゆがめておばちゃんは顔を背けた。
「あの畑に最後に行ったのは、昨日の何時くらい?」
 駐在さんが割って入る。
「…ゲームくらいで顔真っ赤にするくらいのケンカせんでいいでしょうに」
「あー、いや。まぁ、気にしないで」
 おじさんとおばちゃんは複雑な笑みを返していた。

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