「山の中でひとり」  第73話
1226487392844.png 「ちなみに言わせてもらうと、これまでにあった同様の事件でもこれと同じ足跡が残されている。あと、お前の自転車のタイヤな。パンクしてる方。アレと同じパターンで、同じ場所に傷が付いてるタイヤ痕。これに付いても説明してくれるかにゃ〜」
「俺がやったってのかよ!」
 サトシ君がお巡りさんにくってかかる。
「黙ってろ、この小便小僧が。お前が誰かに襲われたことは分かるけどな、その前にこっちを整理しようや。話聞いてやるからパト乗れや」
 サトシ君は最初は抵抗したけど、とうとう怒鳴られて渋々パトカーに乗った。
 サトシ君のお母さんは泣きながら彼をかばおうとしたけど、事情聴取のために、別のパトカーに乗せられた。騒ぎを聞きつけて村の人たちが沢山集まってきて、遠目に見ていた。
 みんなサトシ君が誰かに襲われたという事より、サトシ君が特殊な性的思考をいくつも持ち合わせている危険人物である事に村の防犯上の心配をしていた。
 それはあまりにも非道い言われようで、思わぬ展開に私はサトシ君に同情した。


「あーーー、大体。お小遣いが多すぎるのね!今月から月1万円よ!一万円!!」
「いくら何でもそれはありえないでしょう!この暴君!!」
「タバコもお酒も飲まないんだから、問題ないじゃない!」
「本とか買うんですよ!」
「どうせジャンプじゃない!!」
「チャンピオンです!!ドッ硬連とか連載していたチャンピオンです」
「知らないわよ!」
「…まぁ、落ち着きましょう。お互いに落ち着きましょう」
「…分かったわ。でも5千円の決定に代わりはないけどね。」
「………。スイマセンでした」
「あれ?聞こえないなぁ」
「逆らってスイマセンでした!だから5千円は勘弁してください!」
 結局、仕事の時間が迫っていたおじさんが、折れた。

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