「山の中でひとり」 第108話
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サトスを川から引き上げる。 彼は少しでも息をするために、大きな呼吸をする。 「吸って吸って〜。はいて〜。はいたら吸って〜」 サトスが息を吸い始めたらすぐに川に沈める。すると空気の代わりに川の水を飲む。飲んだ水は胃袋だけじゃなく、肺にも溜まる。 首を絞めたときのように、ふっと落ちる様な楽さはない。 肺の中に水が溜まるせいだと思う。何度呼吸しても、空気が足りない地獄の苦しみ。 サトスはすぐに、だらんとまともに動けなくなった。 それから私はサトスを何度も川に沈めた。
陸にあげられても身体がいう事を聞かず、逃げる事も出来ず、ただ白目を向いて絞り出すように水を吐く。
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