「山の中でひとり」 第111話
![]() |
帰り道、おじさんとおばさんが探しに来てくれた。 二人とも真っ青な顔をしていた。 おばさんがおじさんのシャツを脱がせて、震えている私にかけてくれた。 「ひどい…。ひどい…。」 おばさんが泣いている。何か言わなきゃ。 「泣かないで…。私、大丈夫だから。」 「大丈夫なわけ無いじゃない!」 「私、平気です。慣れてるから…」 猫撫でパンチだったから、顔の腫れは明日の昼にはひくだろう。少し痛いけど我慢。 口から垂れていた血をサトスのパンツで吹いた。 「ちょっと、何よそれ。まさか、パンツ?きゃっ」 おばさんがパンツをさわって、思わず手を引いた。 「口を拭うのにちょうど良いと思って…。便利ですよね。パンツって」
おじさんが電話で村の人を呼び集めていた。おばさんは私を抱きしめて泣いた。
|