「山の中でひとり」 第113話
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「ごめんなさい。私のお節介のせいでこんな事になってしまって…」 帰り道、おばさんが泣きながらいった。 「許してもらえるような事じゃないけど、何て言っていいのか分からない…」 私の手を握るおばさんの手は弱々しかった。 サトスを陥れた事に後悔はない。でも、結局私はみんなを傷つけた。 「謝らないでください。多分、私は転んだり、犬に噛まれたりしたんです。」 「そんなこと…」 「そんな事です。もう、何があったか忘れました。だから、思い出させないでください」 「そんな…。いえ、そうね」 苦しそうにおばさんは言葉を飲み込んで私から目をそらした。それからゆっくりと歩いた。 「お祭りの続きをしませんか?」 厚かましいと思ったけど、私から切り出した。 「…続き?」 「色々、美味しそうな物があったのに全然食べられなかったから…」 「あぁ、出店の食べ物ね。かき氷があって、焼きトウモロコシがあって…。あと、みたらし団子」 「それにたこ焼き!」 「あはは、たこ焼き好き?」 おばさんが少し笑う。 「好き!初めて食べたけどすっごい美味しかった!」 「じゃぁ、お義父さんにプレート借りてこないとね」 「やった!…あはは、ごめんなさい。女の子が食い意地張っててはしたないですね。」 「子供は素直が一番」 少し照れ笑い。おばさんも笑う。 「えっと…、じゃぁ少しわがまま言っていいですか?」 「もちろん!何でも言っていいわよ。」 お願いばかりして、厚かましいなぁと思う。でもいいかな? 「あの…、また昨日みたいな可愛い服が着たいです…」 「いいわよ。明日はお休みだから高志さんに頼んであげる」 「ありがとうございます!また二人で可愛い服着てみたかったんです!!」 「なっ!!」 おばさんが叫んだ。
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