「山の中でひとり」  第120話
045650d2b5-1232280297.png 「じゃぁ、お別れ?ですね」
 中年女性Aさんの方を見ながら言った。
「落ち着いたら、手紙を送ってね。好江さんも僕もタカヨシも。何時でもココにいるから、帰ってきても良いんだよ」
「ありがとうございます。おじさん。タカヨシ君」
「お姉ちゃん。絶対、また帰ってきてね」
 タカヨシ君が泣くのを我慢している。
「うん。約束する。だから、私のこと忘れないでね。」
 優しくタカヨシ君の手を握る。こうする事での彼の記憶に残れればいいな。

 電車が来た。
 私は一回くるっとまわって、お辞儀をする。
「わたし、元気にお家に帰ります!」
 ファスナーに取り付けておいた「彼」の十徳ナイフが開いて、みんなで大あわてになった。固定金具が壊れていた。これだからパチモンは…
 アニメみたいに可愛くいかないなぁ。

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