「山の中でひとり」  第124話
63d5041863-1232976485.png  楽園から帰るとき、それを発見した。

 何人かの子供が穴を掘っていた。
 最初はみんなで穴を掘っていたけど、穴が深くなると女の子が穴を掘って、男の子が鍋に土を入れて外に出す役をした。
 それを監視する人たち。トラックには彼らの家族が積まれていた。
 十分に穴が大きくなったら、一番大きな男の子が穴の中で最初に殺された。
 残った子供達がトラックの上の家族をおろして穴の中に入れた。
 みんなを入れ終わると、残った男の子たちは穴に入れられて殺された。
 そして、最後に残った女の子達が土を被せた。なされるがまま、誰も抵抗しない。
 私は彼らの行為を効率的だと思った。

「これは一体どういう事だ?」
 エディカルが怒りをこらえながらつぶやいた。
「ソウカツだ。」
「なんだそれは?日本語か?」
「多分指導者が、彼らを集団の維持にとって邪魔だと判断したんだと思う。だから、彼らに反省を求めた上で排除しようとしているんだと思う」
 お父さんが単身赴任で家を出て、自由になったお母さんは社会活動にのめり込んでいった。
「ソウカツを求める」
 あのころお母さんがよく電話で叫んでいた。
 外の部屋で寝ている私にまで、その声が聞こえてきて怖かった。
 お母さんはお母さんの世界で味方を増やして、急激に力を持ち、手に持った力を振るうことを躊躇わなかった。

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