「山の中でひとり」  第126話
d4b9c3c59e-1233235273.png  結局、エディカルは誰も助けられなかった。
 木は果実を結び、実は種を落とすことはなく、ただ腐敗して落ちるのを待つのみだった。
 その光景は楽園の秩序を乱すのには十分な光景だった。
 ただ腐敗していく果実を哀れんだ誰かが、果実をつみ取ろうとした。
 それを誰かがとがめた。
 啀み合いが生まれ、血が流れた。
 指導者は終末論をとなえ、そして、教会は燃え落ちた。
 あっという間だった。

 私の手の中には空薬莢が二つ。それは羽のように軽かった。

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