「山の中でひとり」 第131話
![]() |
少し迷ったけどおじいちゃんの家に寄らずに、そのままお家に帰った。 このままお家に帰ることは恩を仇で返すのと一緒で、今の私には彼に会わせる顔なんてない。それにきっと甘えてしまう。 お家に帰ると、玄関には鍵がかかっていた。周りを見渡したけどお母さんは何処かに出かけているようだった。 お母さんに言いつけられているから、お家には入れない。 だから、私は自分の部屋に戻った。 日本に帰ってきたときには、私の部屋はもう私には小さくなっていた。 お母さんに帰ることを拒否されてからは、おじいちゃんの家で暮らしていた。 もう私の部屋は私の荷物置き場でしかなかったけど、それでも落ち着く私の部屋。
表面がキレイな石を探してきて、丁寧にナイフを研ぐ。
お母さんが私を許せない理由は何となくわかる。
|