「山の中でひとり」  第138話
fff4eeb31f-1234750469.png   私が教職を追われると、組織はすぐに私に総括を求めた。
  私は組織のために組織の人に総括を求めましたが、
  組織は教職を追われた私に総括を求めました。
  つまり組織は私ではなく、私の立場を求めたのです。

  私は一人になりました。
  それでも私は私の活動を捨てなかった。
  反省することなど何もない。
  今はたった一人でも、出来る活動があるはずだ。
  そう思っていたとき、娘が外国から帰ってきました。
  あの子は聞いたこともない外国で私を否定するように、多くの罪を背負っていた。
  私は深く絶望しました。
  子供の不調法は親の不調法。
  なにもかも、もうおしまい。
  やったことの責任は取らなくてはならない。あの子も、私も。

 少し吐きそうになる。
 お母さんは、母親として私を認めて責任を取ろうとした訳じゃない。
 自分の失敗を誤魔化すために、私をダシにして全てを終わらそうとしただけだ。
 立ち上がるとおじいちゃんが布団を敷いていた。
 真新しい白い和服。北向きの布団。お線香の香り…

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