神様は時として残酷だ。
誰かが神様を怒らせたとしても、誰がその報いを受けるか分からない。
だからこそ、死んだ人を責めてはイケない。
お父さんが捨てた物で私はここまで命をつないだ。
お父さんがあそこで大怪我を負っていなければ、
私は山の中で死んでいたかもしれない。
お父さん。貴方のおかげで、私はお家まで帰り着いた。
死体袋を開ける。鼻をつく、独特のすえた臭い。
袋の底に溜まった生きているウジ虫と死んでいるウジ虫。
耳がない。指もない。彼だ。
貴方を見つけたとき、私は他人だと決めつけた。よく似ている人だと思いこんだ。
貴方をお父さんと認めずに、私を捨てたお父さんを責めた。
それなのにその日の夜は貴方のそばにいた。
多分、あの時から分かっていたのだ。
それでも認めたくなかった。
お母さんの残酷な嘘を信じ続けようとした。
私たちは同じ崖から捨てられた。
それを認めるのが怖かった。
それ位なら、お父さん。
例え憎しみの対象でもいい。生きていて欲しかった。
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