「山の中でひとり」 第142話
「感染症の危険があるから、もう蓋を閉めなさい。義男もこんな姿を娘に見て欲しくないだろう…」
おじいちゃんが悲しそうに言った。 お父さんの手を取る。冷たくて、まるでラバーのような感触。 私が切り取った指と耳。痛かったろう。非道いことをした。 逃げても現実が変わらないなら、それを受け入れよう。
お父さん。ごめんなさい。 ありがとう。 こんなになるまで頑張ってくれて、本当に…ありがとう。 そして、お帰りなさい。
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