警察に行った。私の捜索願を解除するためだ。
お母さんについては誤魔化しようがなかったので、素直に山に捨てられた事を話した。
最初は全然信じてもらえなかったから、怪我の痕を見せてウジ虫に食べさせたことを説明して、山の中でどうやって生き延びてきたか説明して、その場でウサギ用の罠を作って見せて、子供の頃に外国のガールスカウトで得た技術だと説明してようやく信じてもらえた。
警察は保護責任者遺棄とかいう罪で捜査する必要があると言っていた。警察が動けば母方の親族も信じてくれると思ったからちゃんと協力した。
せめてお父さんに手を合わせてくれたら嬉しいと思う。
お父さんは遭難として処理されていた。
疑われても困るので、同じ山系で捨てられたのは二人が大学の登山部でホームグラウンドにしていた思い出の山だからと説明した。
本当のことをベースに、辻褄が合うように嘘をついた。
上手いことごまかせたと思う。これでいいんだ。
次の日の朝早くおじいちゃんと電車に乗って、バスに乗って、それから高速船に乗った。SFみたいな形でかっこよかった。
そこから港で漁師さんに頼んで、島に帰る船があったので乗せてもらった。
二度と船なんか乗るもんか。
もしこれが小説ならこんなにヒロインが吐きまくるお話なんて認められない。
おばあちゃんの家に着いても苦しかった。
おばあちゃんに頂いた冷たい麦茶がとても爽やかな味だった。
服からは酸っぱい臭いがしたけど。
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