「山の中でひとり」  第148話
5e40a5ed2b-1235650905.png  お風呂から上がるとおじさんが役所から帰ってきていた。お酒を飲まないおじいちゃんにお酒を勧めている。
「おさきいさんでした。」
「はい。おさきいさん。髪をといであげるからこっち来なさい。」
 そう言って、髪をといてくれた。これは何だか気持ちいい。
 なんだかぽーっとする。

「わざわざこんな遠くまで、弟を連れて帰ってきてくれたんですから、おもてなししないと…」
「いや、酒を飲まないので…」
「まま、そうおっしゃらずに…」
 おじいちゃんが押され気味だ。ちょっと助け船を出そう。
「おじいちゃん。おじいちゃん。おばあちゃんにこれ習って。うち帰ってして。ね。して?」
「しょうがねぇなぁ。ちょっと呼ばれてるんで…」
 そう言っておじさんのお酒を断って私たちのところに来た。上手く逃げられたから少し嬉しそうだ。相変わらず表情に出ないけど。

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