「山の中でひとり」  第152話
5e40a5ed2b-1235933748.png  水着を着替えて、バスに乗って、それから高速船に乗った。
 電車を乗ってしばらく行った街のビジネスホテルで泊まった。
 ツインルームとダブルルームがあって、どっちが二人部屋か分からなったからダブルルームを選んだ。久しぶりにおじいちゃんと一緒に寝た。

 朝からホテルを出て電車を乗り継ぐ。お昼過ぎにタカヨシ君の村のある駅に着いた。
 改札を抜けると、タカヨシ君とおじさんが待っていた。
 私はおじいちゃんにおじさんを紹介する。
「はじめまして、お土産のタルト。美味しかったです。色んな意味で…」
「いえ、こちらこそ。この子がお世話になりまして…。写真見せて貰いました。貴方も中々の方ですね」
 二人はお互いに間合いを取った。あたりに緊張が走る。
 少しの間の沈黙。
 そして彼らはおもむろに、そして力強く握手をした。
 日本の片田舎の駅前ロータリー。
 そこにはサムライと寡黙な老戦士がいた。
 先生、エドアルド…。信じられないかもしれないけれども、確かにいたんだ。

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