「山の中でひとり」 第154話
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「あーーー、いや。どうも。はじめまして。えーーっと、いい天気ですね」 何だかおじいちゃんが対応に苦しんでいた。 最初、おじいちゃんは胸の小さい女の人が好きなはずだから、照れてるのかと思っていたらそうではないような感じだ。あれ? 「あーーー。もぅ。高志さん!呆れられてるじゃない!!」 「いや。これは一つの精神的修行ですよ!気まずくなるのが怖くて、良いこと言ったふりして逃げ帰ってきた弱い心を克服するために…」 「絶対嘘だ!」 半泣きだったおばちゃんが、段々鳴き声になってきた。 「いや、大丈夫です。クオリティ高いですって。35才越えて一児の母でこのクオリティはちょっと出せないですよ」 おじいちゃんが二人の仲裁に入った。 「34才です!!」 でも、あまり効果はなかった。
「まぁ、好江さんのことは横に置いておいて…。君の分も作っておいたから、良かったら着ておいで」
「好江さん。今日は写真撮らないから警戒しないでください」
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