「山の中でひとり」  第155話
5e40a5ed2b-1236185648.png  慣れないことをしたせいか、気が付いたら眠っていた。  物音で目が覚めた。あたりは夜になっていて真っ暗。
 しばらく天井を見て自己嫌悪に悩んだ。
 おじさんにのせられて、若干セクシーなポーズをした事じゃない。いや、それはそれでかなり後悔している。あくまでも若干だったから。若干だったはずだ。服着てるから大丈夫だ。若干セクシーなだけだ。あぁ、タカヨシ君怒ってないかなぁ。
 いや、違くて。
 そうじゃなくて小さな事で勝ち誇って、優越感に浸っていたことを後悔してた。あぁ、でも小さな事じゃなくて大きかったことというか、トップとアンダーの問題というか…。
 ともかく後悔していた。本当だ。
 後悔していても、人の会話は気になる
。  おじいちゃんとおじさんの会話に聞き耳を立てた。

「これから、どうするんですか?」
「わかりません。でも、静かに暮らしたいと思ってます。あの子にちゃんと学校に行かせてあげたいのですが、耐えられるかどうか…」
「今まで学校は?」
「いろいろあって、ほとんど行ったことがありません。私が気づくのが早ければ結果は違っていたのかもしれません。」
「あぁ、難しいご家庭だったそうですね。」
「えぇ。悲しいことです。だから、子供の頃からまともな教育も受けてません。あの娘は英語とスペイン語が話せますけど、漢字はほとんど読めません」
「えっと…、スペイン語話せるんですか?じゃぁ、ボルトガル語も理解できますよね?」
「ええ。多分」
「駐在さんが、県警が通訳を探してるって言ってました。明日聞いてみますよ…。でも今日はもう遅い。もう寝ましょう」
「そうですね。でも、好江さん…随分怒っていらした」
 おじさんは少し笑っていった。
「お風呂にも入らずに、部屋に閉じこもってしまった。まだ着替えてもいないでしょう。ご機嫌撮らなきゃ…、ね」

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