「山の中でひとり」 第159話
正午のサイレンが村中に響いた。 帰らなきゃ鳴らないけど、帰りにくい。 おばさんにどんな顔をすればいいか分からない。 躊躇する私の手を握ってタカヨシ君が歩き出した。 タカヨシ君の手は強引で力強かった。 「大丈夫」 そう言ったタカヨシ君の声は落ち着いていて、優しく… 私はどうしても逆らうことは出来なかった。
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