「山の中でひとり」 第161話
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「いいお話だとおもいます。でも、それって…」 「ハッキリ言えば、警察が外国人の取り調べをするときの通訳ね」 私は少し考える。 私の生まれた土地は、故郷と呼ぶにはあまりにも思い出もないし知り合いもいない。離れるのはツラくないけど… 「でも、おじいちゃんは…」 おばさんが一瞬ハッとした顔をして、私から目をそらした。 「根無し草だからね。こっちで仕事を探すよ。私としては、言葉を忘れてしまう前に少しでも会話をしておいた方がいいと思う。この国ではそれが技術になる。この先私が死んでも、きっと身を助けてくれる」 あぁ、そうか、と思う。おじいちゃんは私の将来の心配をしているのだ 「わかった。頑張ってみる。頑張ってお仕事任せてもらえるように勉強する」 責任のあるお仕事だ。頑張ろう。 でもお仕事なら、シンプルで可愛い服を着てメイドさんとかもしてみたかったな。お掃除したり、お料理作ったり…
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