「山の中でひとり」  第162話
1236867720718.png  すごい勢いで色んな事が動き出した。
 駐在さんが色々と段取りをしてくれた。感謝の言葉もない。
 県警本部から検察庁に私は紹介され、次の日、非公式に面接をしてくれることになった。
 おばさんに検察庁に連れて行ってもらい、そこで職員さんと英語とスペイン語とポルトガル語の嘱託通訳さんの面接を受けた。

 会話は問題なく出来たし、法律用語も基本的な言葉はガールスカウトで使っていたので、案外知っている言葉が多かった。通訳さんも知らなかったスラングを沢山知っていたので褒めてもらえた。スペイン語を教えてくれたエドアルドに感謝。
 でも、英語はおじいちゃんのおかげで読み書きはある程度出来たけど、肝心のポルトガル語と日本語がほとんど読めなかった。
 結局、日本語の読み書きが出来ないから嘱託通訳の採用はしてもらえなかった。
 でも面接していただいた通訳のおばさんが、ポルトガル語の読み書きを教えてくれる事になった。

   村に帰ってくると、新しいお家をおじいちゃんが案内してくれた。
 駐在さんが隣村の空き屋の持ち主に声をかけてくれたのだ。
 家の管理と荒れ地になってしまった庭と畑の手入れを条件に年15万円のお家賃で貸していただくことになった。
 タカヨシ君のお家とはスープが少しさめるくらいの距離。同じ小学校に通える。
 お父さんとお別れした日に思ったとおり、新しい生活がすごい勢いで始まった。
 目標も出来た。
 これから絶対、楽しくなる。

   そうして、私はおじさんに借りた本を読んで日本語の勉強をしている。
 難しい…。でも、勉強って楽しくて面白い。

<< Back || Next >>


|| 山の中でひとり  Top | 描いていただきました | CG | Profile | BBS ||