苦しくても意識は飛ばない。ただ、苦しみもがいた。
おじいちゃんの声。
何をされているか分からなかったが、自分のカラダを伝って何回も吐き戻す音が聞こえる。
おじいちゃんが泣いてる。
ここは田舎だから、救急車なんてすぐに来ない。
おじいちゃんが私を抱いて、私に話しかけ続けている。
だけど、何を言っているか分からない。
お母さんの手紙を読んだみたいだ。なんとなく、それだけは分かった。
もう私のために頑張らなくていいと思う。自分のために生きていいと思う。
この家に帰ってきたとき、私はお母さんを殺して私も死ぬつもりだった。
お母さんも失敗したけれども、私を殺したと思って自殺した。
親子だな、と思う。
あははは。親子だなぁ。ほんと、そっくりだ。
「どうして、あなたは人に強烈なまでの反省を迫るのに、自らは決して反省しないんだ!!」
おじいちゃんが叫んだ。
それはね。おじいちゃん。
多分、お母さんは他の人のことが大嫌いで、でも自分のことはそんなに嫌いじゃないからだよ。
だから自分を好きになってくれたお父さんが好きで、
私のことばかり話すお父さんが大嫌いで、
自分のことが嫌っていると思っていた私のことが大嫌いで、
自分のことを褒めてくれる仲間が好きで、
自分を捨てた仲間に絶望していて、
自分が好きな生き方が出来なかった自分のことが許せなくて、
でも自分のコトだけは、大嫌いになれなかったんだよ。
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