「山の中でひとり」 第172話
おばさん達が私のことを心配してくれている。 それは痛いほど分かる。
お母さんの手紙をみんなが読んだことだろう 警察がその内容を信じても、信じなくても、 今、この国で私は罰せられることはない
おばさん達は私のことを軽蔑するだろうか、 それとも同情するだろうか わからない
もはや私は許しを請う相手すら分からなくなった
みんな優しくて思いやりのある人たちばかりだ 私は泥の中でのたうち回りながら、自分だけでは飽きたらず、 差し伸ばされたみんなの優しい手まで泥まみれにする みんなの手は綺麗で、柔らかくて、優しい…
タカヨシ君といっしょに神社で身体を寄せ合った日 私はその手を握りしめることを知った筈だ
あのお母さんは私自身の罪の意識そのものだ 身勝手なのは分かっている 見るな。忘れろ ここから抜け出さなきゃ…
<< Back || Next >>