「まったく、非道い顔になったもんだね。随分、やつれてしまって…」
おじさんが私の頭を撫でながら言った。
仕事を終えて、後からお見舞いに来てくれたのだ。
今日は金曜日だから、こっちに泊まっていってくれるらしい。
「ごめんなさい…」
「ごめんなさいじゃないわよ!これがホントにパラコートなら、アナタは長い間のたうち回りながら死んでたのよ!」
おじさんがおばさんを手で制して、私に言った。
「この国じゃぁね。のたれ死にするのにも努力と才能がいるんだよ。そうそう自殺なんて成功しないよ」
「ごめんなさい…」
「手紙は読ませてもらったよ。それが多分本当だと言うことも、アトゥイさんから聞いた」
どきっとする。予想はしていたし、覚悟もしていたけど頭を棒で殴られたような重い痛みみたいな感じがした。
「ずっと。ずっと…、苦しんできました…。と、言うと嘘になります」
おじさんから目をそらした。予想に反してそこにお母さんはいない。
「時々、ちょっとしたことで小さな波のように悲しい気持ちになるだけでした。それすら、まるでそよ風のように気が付くとかき消されていました」
あれ?と思う。なんだか泣きそうだ。
「おじいちゃんのおかげで日本に帰ってきて、お母さんにうちに入ることを許してもらえなくて…。おじいちゃんと暮らし始めたときには思い出すことすらありませんでした」
あれれれれ?手が震えてる…
「お母さんに崖から落とされて…、そのときに怪我をしました。その怪我から目をそらしていたら、怪我口が腐ってしまいました。あっという間に壊疽が悪化して、死にかけたから、ウジを寄生させて腐った私の肉を食べさせました」
あぁ。私。泣いてる。
「もう立ち上がることも出来なくて、おしっこやうんちや、吐き出した汚物にまみれながらそれでも私は、私が何をしたって言うんだろうって泣きながらゲラゲラ笑っていました…」
涙が止まらない。嗚咽しながら、私は話した
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