「あなたに許してほしい」  第7話
 私はさっちゃんから拳銃を受け取った。
 重い
 朝、家を出る時にはこんなことになるなんて思いもしなかった。
 ずっと一緒にいたのに、さっちゃんの変化に気が付かなかった。
 さっちゃんが何に悩み、苦しんだか。さっちゃんが、私に何をしたのかすら分からない。
 さっちゃんが自ら死を望み、私自身に殺されようとしているのかが分からない。
 何も分からない。悪いのはきっと、さっちゃんの苦しみに気が付かなかった自分だ。
 だから、さっちゃんを撃つことなんて出来ない。
 覚悟を決めて、私は自分のこめかみに銃を押しつけた。

「やっぱり、むりだよ。さっちゃん…。ごめん。」
 さっちゃんを見る。さっちゃんは動かない。
「さっちゃんは私のせいで、すごく苦しんだんだよね?ごめん、私。全然気が付かなかった。」
 さっちゃんに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。私の無邪気がさっちゃんをこんなにも追いつめたんだ。
「私…。さっちゃんを殺す事なんて出来ないから、先に行って待ってるね」
 精一杯の笑顔を作って、私は引き金を引いた。

 

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