「あなたに許してほしい」 第12話
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視界が赤くて黒い。痛みで目が開けられない。 痛い。 息が荒い。さっちゃんの声はかすかに興奮していた。薄い笑い声。 理性で痛みを押さえ込む。 「私が!私がいったい何したって言うのよ!!」 叫ぶ。思いつく限りの罵倒。痛みで舌をかむ。それでもやめない。さっちゃんの薄笑いに、本当に感情が飛びそうになる。 息が切れて、冷静になる…演技をする。 「落ち着いた?」 「さっちゃん…」 痛みで本当に気が遠のく。耐える。 「さっちゃん…。あなたが殺せと言うなら、もういいよ。殺してあげる…」 「ホント?」 「うん。もう、いい…。しねよ。しんでよ!」 気持ちが高ぶってきて、本当に泣く。 「だけど…、その前に友恵にあわせて…。お願い…」 嗚咽しながら言う。自分でも迫真の演技だと思った。 |