「あなたに許してほしい」 第20話
私はさっちゃんが刺しだしたナイフを逆手で握る。 肉厚のナイフ越しにさっちゃんが握りしめた力強さが伝わる。その力強さに私は昂ぶる。 さっちゃんが微笑む。
少し押す。さっちゃんは反射的にさらに強くナイフを握った。 その隙を逃さず、一気にナイフを引いた。 悲鳴を上げて、震えながらさっちゃんは切れた手をかばおうとした。 私はその額を押してさっちゃんを仰向けに倒す。
私はさっき見た夢を思い出す。 3人でいた時間はもう取り戻せない。 2人でいた時間は戻ってこない。 でも…、友恵は取り戻せる。
<< Back || Next >>