「むしむし☆パニック!」  第5話


 ポタポタと落ちる雨水で私は目を覚ましました。前回と違ってパニックは起こさなかった。もう、あまり感覚がなくなってる。でも、生きてる。
 頭からしたたる雨水を少し飲む。泣く。言葉は出てこないけど、なく。

「あっ、おきた?」

 背中から、突然のお母さんの声がした。お母さんの声。お母さんの声…。助けて!と叫ぼうとして、「アー」と叫ぶ。それでも叫ぶ。涙が止まらない。叫ぶ。

「雨が降ってきたからね。心配になって帰ってきたの」

 お母さんが助けに来てくれた!

「お母さん!」
 すがろうとしても言葉が出てこない。そんな私をみて、お母さんはため息をついた

「お仕置きっていったの覚えてるよね?その左手は何?」

 言い訳する。謝る。助けてっていう。何もできない。声は出るけど、言葉が出ない。

「何も言いたくないの?言い訳もしたくないの?私となんか、話すのもいや?」

 そういうと、お母さんは私の目の前の木に縄をくくりつけた。その縄の先には輪っかが作ってあって、それが意味することがわかった。必死で叫ぶ。言葉に表そうとして、叫ぶ。でも、お母さんは淡々と作業を続けました。

「どうして、貴女にこんなお仕置きしたかわかる?」

 わからない。でも、こわくて首を降ることもできない。

「答えることも嫌なのね。でもね。貴女が私にした事を考えた事がある?私がどれだけ傷ついたかわかる?」

 わからない。私が何をしたのか、わからない。

「わからないわよね?分かろうともしなかったよね?だから、お仕置きからも逃げようとしたのよね。……嫌な子」

 ごめんなさい。お母さんに、何をしたのかわからない。もぅ声に出してごめんなさいという事もできない。
 許してください。ごめんなさい。わからないんです。

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