「?」  第16話
「何でもするのね?じゃぁ死んでもらえるかしら?」
「そんな…」
「何でもするというのは嘘なのね?」
「嘘じゃありません…」
「じゃぁ、貴方は死ぬのね?私がせっかくシリツしたのに貴方は死ぬのね?酷い娘ね」
 もう私にはどうすればいいかわからなくなりました。
「いいわ。許してあげましょう。ところで貴方綺麗な髪をしているわね」
 先生は私の三つ編みを撫でながらいいました。
「ありがとうございましゅ。おかあしゃんが昔よく結ってくれたから、綺麗にしていればきっとまたおかあしゃんに…」
 突然、ハサミの音が聞こえました
「治療代にこの髪をもらうわ。」
 そう言って先生は切り取った髪をゴミ箱に捨てました。
 その後、私は先生の部屋をでて港を目指しました。ねじ止めされた左足が痛んで何度も転びました。夏なのに酷く寒いです。
 私は今まで髪さえ綺麗にしておけば、捨てられたときと同じような姿でいれば、きっとお母さんは私を見つけてくれると思っていました。それなのに髪が無くなってしまいました。どうすればもう一度お母さんに会えるのでしょうか。もう一度あって、ごめんなさいって言いたいんです。もうどうすればいいかわからなくて段々涙が出てきました。
「おかあしゃん、さむいです。おかぁしゃん、さみしいです。たすけてください…。おかぁしゃん、おかぁしゃん。わたしはここです。もぅ痛くて寒くて歩きたくないんです。おかぁしゃん。」
 海猫が海から山に向けて飛んでいきました。

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