「?」  第17話
「乗っていきますか?」
 港に着いた私にボートの運転手の方が話しかけてきました。
「私…。お金持ってません」
「いいですよ。今日はもうしまいですから」
「ありがとうございます…」
 私は運転手の方の好意に甘え、ボートに乗り込みました。ボートの揺れが寒さを紛らわせてくれました。
「酷い怪我ですね。どうしたんです?」
「これは…、その…。私、馬鹿だから色んな人に怒られて…」
「それで、そんな怪我を?」
「私…、わがままな子だったんですね。私、気づかなくて…。」
「楽でしょうね。貴女は」
「えっ?」
「そうやって自分が悪かったとか、自分は馬鹿だからとか。そういう風に全部自分の所為にしていたら楽でしょうね」
「…すいません」
「私に謝っても仕方ないでしょう?貴女は自分では何も考えようとはしないんですね」
 運転手の方に言われて確かにそうだと思いました。私は何も自分で考えてませんでした。
「でも…」
「ほら。そうやって私の気持ちも考えず、自分の我を通そうとする。結局貴女は自分の事しか考えてないんですよ。貴女はそう言う娘なんですよ」

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