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うんちくパート
ハセガワ |
「チーズの話」 第2話
家を出るとき母親は泣きながら私を抱いた。
祖母からは例え嫌でも求められたら拒否しないように、我慢するように言いつけられた。
故郷での思い出以外、全てをおいて新しい生活が始まったそこが何処なのかは分からなかったけど、みんなの心配とは裏腹に静かな生活を送った。
使用人のおばさんから字を習い、仕事を習い、時々帰ってくるおじ様に愛想を振りまく。
子供のいないおじ様は寂しい人なのだから、良い子でいなさい。とおばさんに教えられた。
私は理解する。つまり私は囲われたのだ。
そして私は上手くやっていた。