「鮭児の時知らずタン」  第14話
 群れは再び集まり、また動き出しました。上手く泳げなくなったお姉さんは彼らに追いつく事は出来ませんでした。何度も何度も追いつこうと走ったけれど、結局転んでしまってついて行けませんでした。
 何度も時知らずタンがお姉さんと一緒に群れから離れようとしたので、そのたびにお姉さんは何度も何度も彼女を叩いて群れに戻しました。時知らずタンが泣きながら群れに戻るのを見てから、お姉さんは走るのを止めました。
 気がつくと夜になっていて、海の中が段々暗くなっていきました。
「さよなら…、さよなら…、さよなら…」
 お姉さんは自分の思いを時知らずタンに預けて泣きました。
 足が痛い、目が痛い、手が痛い。さみしい。手が痛い、ごめんなさい。

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