「鮭児の時知らずタン」 第15話
群れに戻った時知らずタンが泣きながら振り返るとお姉さんの姿はもうありませんでした。暗い夜の海は寂しくて、そこにいてほしい人の姿が見えなくなって、時知らずタンは急に怖くなって後ずさりました。
あまりにも色んな事が多すぎて、だから何が怖いのかよく分かりませんでした。けど、その向こうにいるお姉さんの事を思うといても立ってもいられなくなりました。
だから、時知らずタンは走りました。精一杯走りました。
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