「鮭児の時知らずタン」  第23話
 お姉さんは全部、あきらめて言いました
「…分かった。一緒に食べられましょう。もう私には何もないし…」
 時知らずタンの太ももの上でお姉さんは丸くなりました。
「暖かい…。貴女はとっても暖かいわ。貴女は生きてるのねぇ」
「ええ。お姉さんも…。あぁ。あの子、こっちに気づいたみたい…」
 お姉さんは、震えながらただ泣きながら「ごめんなさい」と、何度も謝り続けました。時知らずタンはお姉さんの髪を優しく撫でながら言いました。
「お姉さん…。私…、馬鹿だから…、みんなが何処に向かってたのか分からなかったんです。ただ、みんなについて行っていただけでした…。だから、私だけ生きていても、何処に行けば良いか分からないんです。謝らないで…」
 お姉さんの涙が、時知らずタンの手を伝わって太ももを流れ、水にかき消されていきました。

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