もりやまタイムス
3月号

平成24年(2012年)
No.142 毎月発行

発行責任者 堀井 隆彦/発行所 守山市守山二丁目1番30号

1面
約30年の野球人生を語る
「うの家」オープン
日本人と仏人の違い

守山市新年度予算案



2面 
今年、「松本清張没後20年」に思う
秀次はこんな人物
豆まきで鬼退治
献血26年の快挙
感性豊かな作品


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▼約30年の野球人生を語る

▼「うの家」オープン
▼日本人と仏人の違い
▼守山市新年度予算案

▼私を育てた「限りなき挑戦」
「目標を持ち、立ち向かう精神を」
元プロ野球選手・工藤公康氏
約30年の野球人生を語る
守山商工会議所主催

 守山商工会議所は2月4日、ホテルラフォーレ琵琶湖で恒例の特別講演会を開催した。ことしは元プロ野球選手で野球評論家・解説者の工藤公康氏を講師に招いた。テーマは「限りなき挑戦」。野球人生約30年間にわたり体験した野球哲学、プロとしての意義・努力姿勢、今後の人生設計など話は多岐にわたった。

 工藤氏は1963年愛知県生まれ。名電高(現愛知工大名電高)3年生の甲子園夏の大会でノーヒット・ノーランを記録し、82年ドラフト6位で西武ライオンズに入団した。エースとして西武の黄金時代を支え在籍13年間で8度の日本一を成し遂げた。その後FAで福岡ダイエーフォークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズ3球団に移籍し2度の日本一を経験した。最近では横浜の監督招聘のうわさが流れた。 工藤氏は講演の中で西武入団当時の広岡達朗監督はじめ高校の恩師、父親らに厳しく鍛えられ「自己練磨を繰り返したことが、野球人生の最長記録29年間につながった」と振り返った。

 なかでも広岡監督にいわれて米国野球(マイナー「ワンA」 )に修業したことが、私を大きく成長させたという。「ワンAといっても各選手はパワー、脚力など日本人選手以上にレベルが高く、野球にかける姿勢も違った。年俸という安定した収入はなく、日給で1年契約。その日暮らしの生活をしいられた 」。

 また「国土の広い米国では、各州の球場へ転戦するバスの移動に時間がかかり、ほとんだ休む間がなかった。そのうえ寝るのも大部屋(8人部屋)で寝袋で休んだ」とマイナー選手の厳しさを指摘した。 しかしマイナー選手には「“大リーガを目指す”という大きな目標があり、それに向かって突き進むエネルギーがあった」と自分で選んだ道であればこそ、新しい課題に向かっていけたのではないかと解説した。

 工藤氏は米国で得た経験は「厳しさに立ち向かうこと」「目標をもって前進する」精神力や気力、そして「努力こそ最大の武器である」ことを学んだ。帰国して野球に対するモチベーションが変わり、投手の速度も10キロ増したという。

 また野球が上手になるには「いろんなスポーツを実践することが上達の秘訣だ」と説明した。
 
 工藤氏は約30年間の野球経験を通して、ケガに泣き選手生命を絶たれた多くの優秀な選手を見てきた。「肩を壊した」「ヒジやヒザが痛い」どうすればいいのか。迷うことがしばしば。工藤氏は「これまで多くの人に支えられてここまできたが、今後は支える側として一人でも多くの子どもたちやケガをせず、楽しく野球の出来るようアドバイスするアカデミーをつくりたい」と恩返しの人生設計を明るく語った。

▼トピックス
中山道に、にぎわいを創出
レストラン、和カフェ開店
守山の歴史文化拠点
「うの家」オープン

 守山市の歴史文化まちづく館「うの家」が1月29日、守山一丁目の中山道守山宿にオープンした。守山宿を訪れる観光客や市民の憩いの場として利用されている。

 このうの家は、故宇野宗佑元首相の生家を市が買い取り昨年6月から整備していた。江戸後期に作られた造り酒屋の建物(広さ約1100平方米)で、中山道に位置しており主屋や蔵は旧宿場町の町家の面影を今に伝えており意匠を大切に継承し再生・改築した。

 1月29日の開館記念式典には、関係者や市民らが集った。宮本和宏市長は「守山の歴史文化の発信拠点として大いに期待している。市民の交流の場として、また賑わい創出、郷土の偉人を通して守山の誇りと愛着を市民にもってもらう施設にしたい」とあいさつした。

 このあと宮本市長は、この施設を運営管理する株式会社「みらいもりやま21」の清原健社長に表札をバトンし、正面玄関に飾られた。

 

 午前10時から市民に一般開放され、主屋には宇野元首相の遺品や蔵書、写真などが、また同市出身の友禅染作家で人間国宝の故森口華弘さんを紹介する常設展を多くの市民が見学した。この日は南蔵で音楽コンサートや市民ギャラリーで陶芸展、生け花展示も行われた。室内には地元野菜などを使ったレストラン(咲蔵)や和カフェ(忍ぶ庵)がある。


▼本音と建て前
日本人と仏人の違い

互いに矛盾し対立する二律背反のたとえに「本音」と「たてまえ」がある。日本人は 「たてまえ主義 」で欧米人は「本音主義」だとよくいわれる。過日、栗東市で「環境問題と原子力発電、放射能汚染と土地」というテーマで特別講演した中部大学総合工学研究所教授で元内閣府原子力委専門委員の武田邦彦氏は「日本人は安全神話というたてまえ論を信じて日本列島に54基(世界第3位)の原発をつくった」と論じた。会場から「私は原発に反対した」との声があがったが、現実論としていま日本に既存の原発がある以上、今後どうするのか本音論で「廃棄か」 「継続か」「 中道か」検討しなくてはならない時がきている。

哲学者のカントは「 理性だけで世界全体の根本的問題を解決しようとすると、必ず二律背反に陥ることになる」と指摘している。つまり原発についていえば、理性を主導させて机上の空論にならぬようこれまでの経験や現実をみようということになろうか。原子力の恐ろしさは原爆投下された広島、長崎で経験した日本人は、平和利用として原子力発電所をつくり、66年たって再び放射能汚染に晒された。

武田教授はこの原発の認識について日本人とフランス人との国民性の違いにふれた。フランスでは一部反対でも国民が合意のうえで建てたものと理解して、安全性を徹底的に追求しそのうえで、フランスの中心部に近いセーヌ川上流に原発をつくったという。日本で言えば東京都の中心部・隅田川沿岸に原発をつくったようなものだ。しかし東京都民が使う電力を遠く離れた東北の福島県に原発を設置した。 「原発に対する不安要因の認識がそうさせたのか、原発が安全であるなら東京の真ん中になぜつくらなかったのか」フランス人との違いを指摘した。

日本は明治の“文明開化”以後、科学技術の進歩によって便利さという価値を手中にした。しかし便利さの裏には必ず背反するものがある。原発事故によって私たちは東北の悲劇を見てきた。末永く放射能汚染という目に見えない物質と向き合い、不安を抱えていくことになった。この国難ともいうべき事態を日本人はどう解決するのか。世界が注視している。理性に行動力。カントのいう“実践理性”がいま日本人に問われているといえよう。


▼一般会計3・1%減の220億円
守山市新年度予算案 教育・保育に重点

 守山市は平成24年度の一般会計などの予算案を発表した。一般会計は220億3千万円、6特別会計と2企業会計を合わすと総額419億3千万円。

 一般会計は前年度比3・1%減で、大型事業の守山小・幼稚園の整備事業が整ったため。2月24日から始まっている市議会に提案されている。一般会計の歳出の主な事業は△公・私立13幼稚園で3年保育実施6億5900万円△守山川の親水緑地と水辺遊歩道などの整備8億4000万円△中州、玉津、小津の3小学校区の小学校と幼稚園、こども6校園にALT(英語指導助手)を配置する事業760万円△市民出資の太陽光発電パネル設置事業30万円など。

 歳入は個人市民税が前年度比7・6%増の42億6700万円、法人市民税が13・6%増の13億円、固定資産税6・2%減の50億3800万円を見込んでいる。

 一方、市債発行は26億5600万円で、平成24年度末の市債残高は484億7500万円になる見通し。

「自分に投資して成長させることが大事だ」
                (松下幸之助)


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