早朝の槍
朝日に照らされた常念小屋の赤い屋根
 常念乗越のテン場で夜が明けた。傾斜のあるところにテントを張ったせいで熟睡できなかった。朝日を浴びて槍ヶ岳方向には弱いモルゲンロードまで現れた。今日も天気は良さそうで嬉しい。簡単な行動食で朝食を済ませ、テントの撤収に手間取っていたら出発が7時を回ってしまった。朝日はかなり上まで昇ったようで常念小屋の赤い屋根が一層赤く照らされていた。
最初の登りから振り返る
遠方に槍を入れて
 本日最初の登りは急勾配であるが、天気が良く眺望が素晴らしいので全く気にならない。振り返って見ると常念小屋は鞍部に建っているのが確認できる。こんなに素晴らしい景色を眺めながら縦走できることの喜びが湧いてくる。槍がいつまでも眺められるので、バックに入れて撮ってもらった。お気に入りのワンショット。
横通岳をまく道
道標のみ
 地図上には横通岳という山が明記されているのだが、この縦走コースからは外れているようで、頂上への道標もないようだった。もちろん頂上を踏むことは考えなかったが、今どのあたりを歩いているのかがよくわからなかった。
歩いた道を振り返る
東天井岳手前
 おそらく横通岳をまいて縦走道が続いているようであった。やがて常念小屋と大天井岳という表示のある道標が現れる。ここで90度道が折れているようだ。しかしこの雄大な山並みを眺めての縦走は心地よい。
遙かなる景色1
遙かなる景色2
 本日も団体さんがたくさん歩いていたが道幅があるので、全く気にならない。次の東天井岳もその頂上が何処なのかさっぱりわからないまま進んだ。おそらく頂上への道標がないので、一般的には登頂することもないのだろう。それにしてもこの雄大な景色は言葉で言えないほど素晴らしいと思った。
大天荘が見えた
大天荘全景
 やがて遠方に山小屋らしき建物が見えてきた。どうやら大天荘のようだ。歩き始めて3時間半、コースタイム的にはまずまずのペースだ。今日のお昼はもともと山小屋でと考えていたのでこの小屋でとることにした。しかもこの小屋はインド料理が名物らしいという情報をえていたので、インデアンランチセットなるものを注文した。スパイシーチキンカレー、サフランライス、ナン、チャーイ、デザートというメニューだったが、これがうまかった。特にカレーがほんとに美味しかった。2,800mの山小屋で本格的なインド料理がいただけるとは思わなかった。生ビール付きでいただいたこともあり、しばしの間、ここのベンチで気持ちよく眠ってしまった。ところが、この30分のロスタイムが後で思わぬことになってしまうのだが、このときはそんな事全く考えなかった。
2日目(7月27日)の記録
しばしの仮眠後ここに荷物をデポして大天井岳に登ることにした。頂上では、2枚目のバンダナショットを撮ってもらった。この縦走の中ではこの山が一番高く2,922mとなっている。再び大天荘に戻り荷物を背負って出発した。2時間この付近にいたことになる。これが後になってひびいた。
歩き出してすぐにライチョウに遭遇した。今回初対面だったが可愛い鳥だと思った。間もなく喜作新道との分岐の道標が現れた。もちろん燕岳方向に進むのだが、何時かここから槍にも挑戦したいものだ。さらに進むと喜作新道を開いた方のレリーフが岩に刻まれていた。このポイントにはこのコース唯一の鎖場であり梯子もあった。それほどの危険な箇所ではなかった。
このポイントからは燕岳方向へと連なる尾根が遠方まで見渡せた。晴れていた天気もいつの間にかこの辺りからは雲が広がってきた。先を急いだが大下りという鞍部にさしかかった頃から小雨が降り出した。合羽を出す程でもないうちに一端はおさまってしまったので安堵していたら燕山荘まで後1.2kmの蛙岩(ゲイロイワ)のところまできたら急に天気が嵐となり雷も鳴り出し、ここから一歩も動けなくなってしまった。
3日目(7月28日)と出会った花の記録へ
1時間岩陰に潜んで待機したが、天気はおさまらないので、とにかくテント等の大きな荷物はここにデポし、サブザックに必要な荷物を詰め込み、燕山荘に逃げ込むことを決断した。尾根道で遭遇した暴風雨と雷は想像を絶する恐怖であった。30分大天荘のベンチで眠ってしまった事が悔やまれたが、それは後の祭りというものだろう。とにかく今夜は燕山荘に泊まり、明日の朝蛙岩の穴にデポした荷物を回収するしかないと思った。それにしても山の天気の激変は恐ろしいものだ。
燕岳は遙か先
天候悪化先を急ぐ
燕岳方面の眺望
喜作レリーフ
大天井岳山頂バンダナショット
再び大天荘へ戻る
ライチョウと遭遇
燕岳への分岐道標