2009年モーニング感想部屋


五十二号  ETUのサポーター、フロント、チームメイト、そして対戦相手。多くの人々が達海猛というフットボーラーを高く評価していますし、達海さんはそれに値するプレイをしています。ですが達海さんは、他人が思うほどに自分を高く評価していないように思えます。達海さんが自分のことを「十人のプレイヤーを率いる一人(エース、王様)」ではなく、「十一人のプレイヤーのうちの一人」と見なしていたことが、そういった温度差に繋がっているのでしょうか。
 代表合宿での「皆、代表に選ばれるくらいスキルは十分あるんだしさ」というセリフを、代表からプロに、成さんを達海に置きかえたものが、当時のETUの姿だったのかなと思います。このシーンで十一番のビブス着けてるのは、ケン様ですよね。十年前の達海さんとケン様がどんな会話をしていたのか気になりますが、たぶん敬語は使ってなかったでしょうね。ETUに戻ったときに、小さい有里ちゃんに「ケン様」のことで質問攻めされてそうな予感がします。達海猛と古内健はちびっこ有里ちゃんにとって、フットボール界の二大ヒーローだったと思います。
五十一号  駒田監督は、永田兄弟から頼りない人だと思われているようです。津川会長が連れてきた人らしいですから、会長が選手起用に口を挟めば、それに流されるのかもしれません。そして、彼のヨーロッパの音楽家っぽい(ただし白髪の部分だけ)髪型は、どこでセットしてもらっているのでしょうか。都内に行きつけの美容室があったのかもしれませんね。
 湘南戦でもそうでしたが、達海さんにとっては、話術も武器の一つのようです。緊張感がまるでない質問をしたかと思えば、次の瞬間には核心を突くようなことを聞いてくるわけですし、対戦相手にとっては、やりにくいことこの上なかっただろうなと思います。
 ちびっ子有里ちゃんの登場人物紹介が掲載されていました。「熱血」が有里ちゃんから外せないキーワードになっているようです。黒田さんや夏木さんなんかは「熱い」あるいは「暑い」という感じですし、血の気も多そうですが、「熱血」とは少し雰囲気が違う気がします。
 十代前半(推定)という多感な時期に、凄いシュートをはじめとした達海さんのプレーや、チームの勝利を見ていれば、有里ちゃんがETUを大好きになるのも当然だろうなと思います。その気持ちが、未来の熱血広報を育てたのでしょうね。
五十号  東京ダービーはハーフタイムに突入。アイシングしている右足を、達海さんはどんな思いで見つめているのでしょうか。彼はサッカーはチームスポーツだと、皆でやるものだと繰り返し言っていますが、もしかしたら、足に爆弾を抱えていたがために、自分ひとりの力でできることの限界が見えていたのかもしれません。
 そして、達海さんはプレーの質とは別に、高い魅力と強い求心力を持っていました。それはチームに良い影響を与えているようですが、津川会長のような人間にも目を付けられてしまった。「責任を持って達海を世に送り出そうとしている」と津川会長は言っていますし、CMを取ってきたりと実際に行動もしていますが、ただただフットボールを楽しみたいだけの達海さんが、そんなことを望んでいるとは思えませんし、達海さんの意思を無視してのゴリ押しであれば、やはり津川会長には賛同できません。彼の言う「責任」とは、何を指すものなのでしょう。
 若い後藤がいつまで経っても出てこない〜♪ ルーキーな村越さんはベンチ入りしていましたが、後藤さんはいつになったら出てくるんでしょうか。
 日々人くんが大ピンチだったのに、ご両親のん気過ぎ。穴に落っこちてウケたって……。
四十九号  十年前のETU所属選手が新たに判明。十五番:ロナウドと十七番:カノウ。村越さんはスタメン入りしていないのでしょうか。そして、後藤さんはいつになったら出てくるのでしょうか。
 チームはいい状態だと達海さんは言っていたものの、ほぼ二人がかりでマークされていることもあり、どうも周囲との動きが噛み合っていない様子。十年前のETUは、良くも悪くも達海猛のチームであったようです。
 東京ダービーはもちろん有里ちゃんも観戦。小さい女の子がゴール裏で立って応援していると、周りにもみくちゃにされてしまうのではないかと心配になりますが、スタッフの娘ですから、関係者席が割り当てられているのかもしれません。きっとお小遣いをやりくりして、Tシャツやタオルマフラーを買っているのでしょうね。
四十八号  カラーですが、過去話ということで、雰囲気が普段と違います。
 海外挑戦の野心も、会長への苛立ちもあったのだろうけれども、それを上回るETUへの愛情が、達海さんにはあった。コンディションの悪化(本業のサッカーに影響を与えるほど取材を入れる会長の姿勢には疑問がありますが)も自覚はしていたのでしょうけれども、それでもクラブのために走りきる意思があった。それだけの思いを抱えた人が、なぜETUを去らねばならなかったのでしょうか。日本を離れる日に小さい有里ちゃんに語ったことは、決して嘘ではなかったのでしょうけれども、本当のことを全て告げたわけでもない。過去の東京ダービーから、達海さんがETU退団を決意するまでを想像すると、正直、胸が痛みます。
 若い羽田さん登場。「ガキども」とも言われていますし、当時十代半ばから十代後半というところでしょうか。近寄りがたい外見をしていますが、知り合いのオジさんに言われてスタジアムに足を運ぶあたり、根は素直なのかもしれません。石浜くんがタトゥーを入れようとして止められたというエピソードがありましたが、羽田さんたちが派手な格好をしているのは「これが東京だ!」という地元民なりの主張なのかもしれません。
 単行本十二巻の宣伝文が「覚悟はいいか?」に見えてしまいました。もちろん持田さんの台詞です。次のページがモーニング・ツーの広告なのは、聖人パワーで持田さんの怖さを少しでも和らげようという編集部の配慮なのでしょうか。
 宇宙人キューザックの正体は、日本人クサカだったんだよ! そういえばMMRはマガジン編集部でしたね。「ジパング」来週で最終話なんですか。「ディアスポリス」は先週で終わってしまいましたし、「僕の小規模な生活」は今週でエピソード3おわり(ご出産おめでとうございます)ということで、少し寂しい気がします。
十二巻  報道関係者を前にしても自身のスタイルを貫くパッカ君。日本代表監督が相手でも、自然にふるまっていましたからね。人間の地位や肩書きなど、河童の彼には意味がないのでしょう。久堂さんが撮ったパッカ君の表情が見てみたいです。サッカー関係ではなく、なぜかオカルト雑誌に載るかもしれませんが。
 コータくんたち小学生トリオは四年生で、同じクラスにいるようです。達海監督は変なおじさんデスカソウデスカ……。小学生から見れば三十五歳は「おじさん」だという事実に、心抉られる思いがしました。子どもは残酷なまでに正直ですね。
 意外な弱点が判明したレオナルド。「ブラジル人なのにサンバが上手く踊れないなんてマジ受けるー!」とか持田さんに言われてなければいいのですが。ダンスはリズム感が必要そうですし、できなくても困らないような気がしますが、サッカーが苦手なブラジル人というのは正直、想像ができません。
 表紙で圧倒的な存在感を示した持田さん。あのカラーページは、もしかしたらカラーのまま収録されるのではないかと少しだけ期待をしていたのですが、白黒ページになっても、彼の怖さは変わりませんでした。
 十三巻予告ページのシルエットに笑ってしまいました。十三巻の表紙はマスコット軍団(もちろんおまけページで名前と所属チームを明かしてもらいます)でお願いします。
四十七号  若い後藤がいつまで経っても出てこない♪ 昔話は三話目だけれど他の面子はもう出てる♪
 小さいコマも凝視したけど、あの人やっぱり出ていない♪
 だから次に望みつなぐため♪ いつもPREVIEWだけは最後までチェックする〜♪

 若い後藤さんはいつごろ登場するのでしょうか。村越さん視点の回想シーン(一巻と四十五号)では、後藤さんの横断幕が見当たりませんし、逆に後藤さんがETUのユニフォームを着ている場面(有里ちゃんが触れた雪の天宮杯と、四巻のゴール裏)には村越さんがいません。村越さんがルーキーだった時期には、後藤さんは何らかの理由でETUを離れていたと考えたほうが自然なのでしょうか。
 CMの枠を取ってきたとはいえ、広報や達海さん本人にひと言の相談もなかった津川会長。達海さんの知名度を使ってETUをビッグクラブにすることが、サポーターやクラブ、そしてサッカー界のためになると考えている様子。柱の言葉どおり、「大義名分は探せば、いっくらでもある」んですよね、本当に。ただ、身の丈運営という言葉もありますし、ビッグクラブになることがクラブにとって必ずしも幸福だとは思えません。お金は無いよりもあったほうが良いですが。
 海外移籍の件や、本人の承諾無しにCMの仕事を取ったことを抜きにしても、津川会長のビッグクラブ志向と、達海さんの「ジャイアントキリング」は、相容れないように思えます。二人が袂を分かつのは、時間の問題だったのかもしれません。
 ところで、津川会長は広告業界にコネが有るとのこと。十年前は有里ちゃんのお父さんが広報部長でしたし、ETUでは広報から会長という出世の道があるのかもしれません。十年後の有里ちゃん会長を期待してみますが、年齢的なことを考えれば、現在の広報部長が会長になるのが先でしょうか。偉くなってもあんな調子で、有里ちゃんに叱られてそうですが。
四十六号  ち!び!っ!こ!有!里!
 ちびっこ有里ちゃんが出てきました! ああ、もう可愛いなあ。すごく可愛い。眼鏡をかけた男性とすれ違うコマや、一話での達海さんとのお別れシーンを見た感じですと、有里ちゃんの頭の高さは成人男性の胸より下、お腹あたりのようです。身長は一四〇センチ以下というところでしょうか。達海さんが楽しくプレーできていること、ETUがいい状態にあることを喜ぶ、町のクラブが大好きな女の子。十年のあいだに、有里ちゃんは背が伸びて大人になって、そして永田家からは父の威厳が失われていったのですね……。
 娘を叱ることができる父、有里ちゃんのお父さんはETUの広報部長。「兄やん」という呼びかたからするに、笠野さんは有里ちゃんのお父さんよりも年下なのでしょうか。永田兄弟の兄のほうだから、という理由もあるのかもしれませんが。
 達海さんの海外移籍には、津川会長の言動がおそらく良くない形で関わっているようですが、笠野さんの「これ以上、選手をクラブの犠牲には出来ない」という言葉からするに、津川会長には既に前科があるように思われます。まさかとは思うのですが、犠牲になった選手とは後藤さんのことなのでしょうか。
四十五号  ゲキサカのPREVIEWが更新されなかったので、休載かと心配していました。それから、週刊モーニングの発売日を確認しました。コンビニに行ったところ、なかなかモーニングが見つからず、少し焦りました。
 達海さんがETUでプレイした最後の年。対戦相手は湘南ですが、現在は二部にいるのでしょうか。湘南が前半に一点取っているのにもかかわらず、試合結果が二対〇になっています。単行本で修正されるといいのですが。
 今回の話と単行本一巻の情報によると、村越さんがルーキーだった年には、七番:達海(独身)、十番:松本、二十二番:ミキ、八番:田中、十一番:ウエダというメンバーがいたようです。このとき、後藤さんはどうしていたのでしょう。気になります。
 永田兄弟は当時ETUの広報だった! 一話での後藤さんの口ぶりから、永田兄弟がETUに入ったのは達海さんが移籍したあとだと思っていました。当時、永田さんが何らかの役職に就いていたのであれば、後藤さんは有里ちゃんのことを「居酒屋の娘」ではなく「(役職)だった永田さんの娘」として紹介していたと思うので。二話では、副会長が自分の店のことを口にしていたので、現在でも何らかの形で居酒屋「東東京」と関わっているはずですが、どうなのでしょう。
  • 後藤さんが口にした「居酒屋の永田さん」は有里ちゃんの「お父さん」ではなく「お母さん」のことだった。居酒屋「東東京」はおかみさんが切り盛りしている。
  • 永田兄弟がETUの広報にいたことを、後藤さんは何らかの理由(当時、ETUに在籍していなかったなど)で知らなかった。
  • 「永田さん」の役職よりも、店の名前を出したほうが、思い出しやすいのではないかと考えて、後藤さんは気を遣った。しかし達海さんには効果がなかった。
 有里ちゃんは! ちびっこ有里ちゃんが次週以降に登場するか否か。それが大きな問題です。「スタッフの娘」であれば、憧れの選手と顔を合わせる機会も多かったのではないでしょうか。
四十四号  先週の達海文字解読に続いて、今週は笠野さんの居場所推理。ちょっとした探偵物のようです。単行本十巻で、山井さんが「笠野さんはスカウトでフロントに復帰」と言っていたので、てっきり現役引退後にスタッフになったものだと思っていましたが、達海さんが現役だったころにGM(当時のGMがどんなものかは分かりませんが)を務めていたそうです。ETUのGM→退職→スカウトとしてETUに復帰という経歴なのでしょうか。
 笠野GM時代のETUは、立場に関係なく様々な人間が議論を重ねて作っていくクラブだったそうです。ですが、立場や役割を超えた言動は、ときに混乱を招きかねないので、匙加減が難しいのかもしれません。フロントの現場介入や越権行為が起きないように、「分をわきまえる」ことも大事でしょう。
 達海監督が目指すフットボールは、スタッフの意識改革もその一つですが、容易く成し遂げられるものではないでしょうが、彼には「命がけで信じてくれる人」と「理解しようとしてくれる人」がいます。その存在は達海さんにとって、心強いものではないでしょうか。
四十三号  部長が広げていたスポーツ紙の最終面にグローブを着けたクマがいました。単行本三巻に登場した熊吉と同一人物でしょうか。見出しの文字も世界○○と書いてあるように見えます。覆面レスラーならぬ覆面ボクサー? ずっと「クマキチ」と読んでいましたが、実は「くまよし」さんなのかも知れません。リーグジャパンのマスコットだけでなく、彼のプロフィールも知りたいものです。
 元木監督解任記事の左側に「た…世界の差痛感 3(8かもしれませんが)失点!」という文字が見えます。日本と世界が戦ったようですが、何のスポーツでしょうか。
 達海監督の「俺一人じゃ無理だよ」は決して弱音などではなく、「目標を成し遂げるには自分ひとりではなく、多くの人の力が必要」だというメッセージだと思うのですが、有里ちゃんはまさに「役割以上の働き」をしている一人だと思います。なぜ広報がジャージの準備や練習メニューで使う道具の手配をしているのでしょう。ETUにはホペイロさんはいないのでしょうか。有里ちゃんが再びぶっ倒れる前に、ETUは選手だけではなく、スタッフの補強も考えたほうがいいように思います。
四十二号  石浜くん移籍するのか……。「ずっと仲良く一緒に」などというわけにはいかないのが、大人の世界、そしてプロの世界です。移籍なんて当たり前。そう頭では分かっていても、やはり寂しいものです。
 夏場にニット帽って、頭皮が蒸れやしませんか清川くん。彼の金髪も、石浜くんがタトゥーを入れようとしたのと同じで、東京に染まろうとしての行動なのでしょうか。東京って大変なところですね……。
 達海さんがいなくなったときとは違い、選手がETUを去ることを「仕事」として受け止める立場にある有里ちゃんは、どんな気持ちで「石浜修選手ヴァンガード甲府移籍のお知らせ」を公式サイトに載せ、彼のコメントを取るのでしょう。石浜くんが入団したときから、彼のことを見てきたと思うので。
 ETUを去る選手たちを見送ってきたひと。キャプテン村越さんの出番がこのところ減っているような気がします。やっぱりオールスターで(以下の記述はリーグジャパンマスコット協会の検閲により削除されました)。
四十一号  チームと、そして選手一人一人のことを考えている、達海さんはやっぱりETUの監督でした。記者に「変人」などと言われている達海さんのことですから、石浜くんに何を言うのか、期待と心配とが半々だったので。
 達海さんがスイカバーの棒を放り投げた先に、ゴミ箱があるのかが気になります。ゴミはゴミ箱に捨てましょう。
 スポーツ紙に「黒田軍団のボスが吠えた」などと書かれそうですが、黒田軍団は何をする団体なのでしょうか、黒田さん。人物紹介にも「恐るべき黒田軍団」って書いてあるし……。
 移籍の件で選手にコメントを取った藤澤さんが、笑みを浮かべていたのが印象に残りました。今シーズンから取材を始めた彼女は、ETUの「ファミリー」な部分に少なからず触れてきたのでしょう。あたたかな居心地の良さは、選手の成長という点で、ときにマイナスに働くかもしれませんが、クラブにとっては、間違いなく長所だと思うのです。
四十号  今週は先週とは別の意味で、重たいものを感じました。
 石浜修という一人のサッカー選手にとって、より良い選択は何なのでしょう。それは残留と移籍という単純な二択でも、どちらかが正解というような類のものでもありません。達海監督はETUの監督として、かつてサッカー選手であった者として、石浜くんにどんな道を示そうとしているのでしょうか。
 石浜くんと清川くんの二十三歳コンビはそろって彼女がいないようです。人気商売ですから、変な噂は避けたいものですよね。サッカー選手ですし、性格も顔も悪くないですし、モテないということはないと思うのですが。東京都内なのですから、合コンなどの出会いの機会も多いはずです。
 登場人物に彼女や恋人を作りすぎると女性読者がガッカリするという「マンガの事情」を抜きにして、ETUの選手・スタッフに独身者が多い理由を考えてみました。
  • 給料が安いので、みんな将来に備えて貯蓄している。不安定な職業なので、結婚は二の次。
  • サッカー(or仕事)>恋愛なフットボールバカばかりが集まっている。類は友を呼ぶ。
  • 三十九歳の後藤さんなど、上がつかえているため、若い者が遠慮している。嗚呼、体育会系縦社会。
  • 「ETUの選手・スタッフに独身者が多い」というのは錯覚。一部の独身者が目立っているだけ。
三十九号  たつみ(しょくぎょう:イーティーユーかんとく)
 なつき(しょくぎょう:サッカーせんしゅ)
 ジーノ(しょくぎょう:サッカーせんしゅ)
 ゆり (しょくぎょう:クラブこうほう)
 某ゲーム風に。この四人で移動したのかと思うと、道中での有里ちゃんの苦労がしのばれます。東京ヴィクトリーのように、選手と監督、スタッフが別行動していたら、ETUからオールスターに参加したのは、マスコットのパッカ君のみ! という事態にもなりかねなかったでしょうし。
 帰りにパッカ君の姿がなかったのは、夜に行われるマスコットの懇親会に参加するからですよね。お酒の席でも、きっと彼は「マスコット界の潰し屋」なのでしょう。
 お祭りの終わりには、どこか寂しいものが漂いますが、平泉監督と達海監督の会話は寂しいというよりも、重いものでした。仲間であり、理解者であるはずのETUの人たちではなく、ライバルチームである東京ヴィクトリーの選手や監督を通じて、達海猛という人間の過去が少しずつ明かされていくのが、何とも言えない気分になります。
 以前、達海監督はブラン監督に「フットボールの神様にデカい貸しがある」と言いました。彼の引退の裏には、単なるケガでは片づけられない複雑な事情があるのかなと思っているのですが、もしかしたら、監督としてのキャリアを積み重ねてもなお胸に残る「現役選手」への思いが、気を許した相手を前にして、彼らしからぬ形で現れたのかもしれないなと、少し思いました。
三十八号  かんとく! 窪田くんが鼻血を出しました!
 二十歳のクボタンにとって、ケン様はサッカーを始めたころからのヒーローなのでしょうね。そんな人に声をかけられれば嬉しいのは当然でしょうが、鼻血を吹かれたら周りが驚きますね。でもきっとケン様は慌てず騒がず、ブランドもののハンカチやタオルを差し出してくれたりと、紳士的な対応をしてくれそうな気がします。
 ケン様のゴールに大喜びするサックラー。大人しくて真面目そうな彼ですが、自チームの選手がゴールを決めたら、飛んだり跳ねたりと派手に喜ぶ人なのでしょうか。
 ところで、サックラーはハーフパンツ(というのでしょうか?)を履いています。平泉監督はネクタイ着用。有里ちゃんもいつものスーツではありませんでしたし、お祭りということもあって、オールスターは服装の規定が緩いようです。
 そんななかで、数年ぶりに日本の夏を味わっていて、「きちんとした服装」という言葉からも程遠いであろう達海さんは、長いズボンを履いています。単に夏物の服を出すのが面倒だった、イングランドで「紳士の嗜み」を身につけてきたという考えもあるかもしれませんが、過去の言動を振り返れば、彼の脚には人に見せたくないもの、見られたくないものがあるように思えてなりません。
三十六・三十七号  誰か一人ぐらい、ゼウベルトのゴールを祝福してあげてください……。味方選手のゴールを取り消すように選手が審判に詰め寄る光景なんて、なかなかお目にかかれるものではないと思います。あの気合の入りようからするに、ペペもMVPを狙っている様子。正直、自動車の免許を持っているようには見えないのですが。ゼウベルトあたりの車に乗せてもらうほうが、彼には似合っているような気がします。
 先制して、してやったりな表情のダルファー監督。ソノダくんとのやりとりに、外国人選抜チームの皆さんがあっけに取られています。こういうノロケもまた、悪口と同様に言葉の壁を越えるのでしょうね。
 平泉監督の提案で、達海さんがハーフタイムに指示を出すことに。彼がハーフタイム中にホワイトボードや何やらを用いて、選手にきちんとした指示を出すのって、第一話以来ではないでしょうか。この場合、日本人選抜チームの監督コメントはどうなるのでしょう。前回、ロッカールームに入っていた有里ちゃんあたりが、もっともらしく用意するのでしょうか。彼女がワクワクするような試合が行われるよう、後半に期待したいものです。
 ミニゲーム終了後、みんなで仲良く試合観戦しているマスコットたち。シャッチーくんの鍛えられた両脚に、一時は疑いの目を向けもしましたが、夏の日差しの下での九十分以上の試合観戦に「中の人」が耐えられるとは思えません。
 やはりマスコットの中に、人などいるはずがないのです。


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