2010年モーニング感想部屋


十六号  噂のサッカー監督はコスチューム・プレイがお好き? エプロン、ジャージ、アロハ、そして水着。「王様」の横暴に関係者涙の告白!(トッカンスポーツ最終面)

 水着に続いてアロハを着せられる松原コーチ。彼の体型は、お酒のせいではなく、ストレス食いのせいだったんですね……。四十五歳でさすがに代謝も落ちているでしょうし、メタボも気になってくる年齢ですが、仕事のストレスを何らかの形で発散させるのは大事なことだと思います。キャンプが何泊の予定なのか分かりませんが、次は浴衣か甚平でも着てくれるのでしょうか?
 王子が前回のキャンプで個室にこだわっていたのは、彼なりのポリシーだったのですね……。廊下で寝ることになった亀井くんと宮野くんが気の毒です。練習試合で二人がきちんと動けるのか、心配です。ですが、もしもくじ引きで同室になった相手が、村越さんや緑川さんなどの無理が通りそうにない年長者だった場合、王子がどうしていたのかが気になります。
 丹波さんは有里ちゃんのことを「有里」と呼び捨て。丹波さんと石神さんは女の子を「ちゃん」付けする人たちだと勝手に思いこんでいたので、何だか意外です。その人の性格も大きいでしょうが、家族でも親戚でもないのに、名前を呼び捨てにできる異性というのは、やはり特別な間柄、大切な仲間であったり、家族に近い関係なのかなと思うのです。
 個人的に、村越さんが有里ちゃんのことをどのように呼んでいるのか、それが気になって仕方がありません。正直なところ、彼は女の子を「ちゃん」付けするような人には見えないのですが、家族でもない異性を呼び捨てにできるような人にも見えません。会長の娘だからといって「お嬢さん」と呼ぶのも何かが違うような気がしますし、「広報さん」と役職で呼ぶのはよそよそしい。苗字で呼ぼうにも、ETUには永田姓の人が、少なくても三人います。ひょっとして村越さんは、有里ちゃんがETUで働きはじめたときに、彼女のことをどう呼ぶべきか、とても悩んだのではないでしょうか。何となく村越さんには、こういうことで人知れず頭を悩ませているイメージがあります。
十五号  スイカ割り風ミニゲームってことで、目隠ししながらミニゲームしたんです。俺は4番の人とペアになって。見えないからすごく怖かったんですけど、うまく指示出してくれたおかげで何とかやれて。
 俺、ミニゲームで疲れてたから、交代のときに相手の顔、見てなかったんです。それで後になって、あれ、うちに4番の選手なんていたかなぁって。ひょっとしたら、誰かが背番号と違うビブス着けてたのかなって思ったんですけど、みんな、背番号と同じやつを取ったって言うんです。じゃあ、俺とペア組んでた4番の人って、誰だったんだろう。
 そういや、この部屋、やけに涼しくないっすか? え、冷房なんて入れてない? おかしいな……。俺、ちょっとジャージ取ってきますね。
 
 ETUの4番登場!? 今までに登場していませんし、ゲキサカのTEAM DATAにも乗っていません。物凄く地味で目立たなかった選手に、キャンプでスポットが当たるのか、アミダに書かれていたのは背番号ではなくビブスの番号だったのか、単なるミスなのか分かりませんが、有里ちゃんが「向こう(キャンプ地)はけっこう涼しいから、ジャージを全部持っていく」と言っていたのは、気候のことではなく、まさか心霊スポット的な意味でのことだったのでしょうか。夏といえば怪談と肝試しがお約束ですものね。
 ミニゲーム終了後はプールへ行くようです。多分、次号では日付が変わっていて「いるけどいない達海監督」の謎が解明される流れだと思うのですが、少しぐらい、少しぐらいプールや水着に期待しても罰は当たらないんじゃないかなぁと思うのです。プールトレーニングとかありますし、サッカー選手は皆、泳げるようなイメージがあるのですが、中にはカナヅチの選手とかもいるのでしょうか。
十四号  作中では夏なので、水着でサービスしてくれました。松原さんが。ヘッドコーチが体を張ってくれたうえに、カキ氷屋さんまで待機しているのですから、ETUのキャンプ記事は書きやすいのではないでしょうか。ファンサービスの一環で、見学者や記者にカキ氷をご馳走してくれそうですし。
 開幕前のキャンプと同じ場所で、冬の日を思い起こさせるような会話をしてはいるけれども、達海監督と選手たちの関係や、選手同士の距離は明らかに変わっていますし、石浜くんは甲府にいます。約半年で、チームは確実に変わっている。来シーズンは、フロントの台所事情も良いほうに変わるといいのですが。
 川崎戦でも、笠野さんが「刑事かなんか?」と言われていたことを思い出しました。サラリーマンには見えないことは確かですが、「刑事」という言葉を繰り返し使っていることに、何か意味があるのでしょうか。ETUの人が刑事ドラマを演じるとすれば、笠野さんは容疑者から自白を引き出す名人「落としの笠さん」だと思います。また「正体不明の情報屋」や「神出鬼没の私立探偵」というのもありえるかもしれません。
 笠野さんがスーツの男性に頼んだことも気になりますが、彼の血糖値も心配です。あんぱんのデザートに大福って、笠野さんの好物は餡子なのでしょうか。
十三号  ふる里が、ホームがあるということ。それは、帰る場所があるということ。
 有里ちゃんが達海さんの書き置きを見つけたところから始まった「昔話もあるよ! 達海さん外出編」を、有里ちゃんの「お帰り」で、きれいにまとめたという印象を受けました。
 ところで、一八ページの四コマ目で有里ちゃんは右手に時計を着けています。次のコマで上げている左手首に、時計はありません。ですが一九ページ上段のコマでは、左手首に何かを着けているのが確認できます。前回の十二号を見返したところ、有里ちゃんは左手に腕時計をしていました。単なるミスで、単行本では修正されると思うのですが、ツジトモ先生とスタッフの方々、そして担当さんが、四月一日に発売されるという増刊やアニメ化の関係で多忙を極めていることが想像できてしまいました。関係者の皆様、どうかお体を労わってください。ジャイキリが休載でもモーニング買いますから。
 うさん臭くて「詐欺師みたい(田沼さんの奥さん)」で、自分の話を聞いてくれて、それを形にしてくれそうな人。こうやって書いていると、笠野さんは本当にわけの分からない人です。それに加えて、過去編での彼の言動は疑問符だらけだったので、「器と信念がある人」という達海さんの言葉には、正直、頷けません。
 また、現在のETUでは、選手は選手なりに、スタッフはスタッフなりに、自分の意見を言うことができているように見えますし、笠野さんはクラブの内側ではなく外側にいる人たち、地元の人や古くからETUを応援しているサポーターの意見を聞いて、まとめることになるのかなと思います。また、自身の人脈や求心力の及ばない人間、達海さんの活躍でETUに興味を持った羽田さんのような「十年前の新規サポーター」にどのように接するかで「意見を集める人」としての手腕が問われることにもなるのでしょう。
 偶然、町で見かけた田沼さんたちが、ETUや選手に対して否定的な発言をしたのを聞いて失望したとか、そういうエピソードでもない限り、羽田さんが田沼さんに「死んでもあんたらみたいにはならない」とまで言い切る理由が分からなくなりました。十年前の東京ダービーの時点では「前の席で応援してた人」ぐらいの印象しかなかったでしょうし、羽田さんたちをスタジアムに誘った帽子の男性は、田沼さんたちの家庭の事情を知っていましたから、彼らがスタジアムに来なくなった理由を尋ねられるようなことがあれば、ありのままを答えたはずです。スカルズのメンバーに所帯持ちの人がいないのか、いてもごく少数なのかわかりませんが、チームの暗黒時代に家庭の事情でスタジアムに足を運べなかった田沼さんたちを「苦しいときにチームを見捨てた」と非難するのは、的外れであるように感じます。
 住所・連絡先不定の生活スタイルに加えて、「死んでも悔いはないと思った」という発言が出てくるあたり、笠野さんは現在、独身だと思ってよいのでしょうか。彼ぐらいの年齢の人に妻や子どもがいれば、いくら感激したとしても「死」という言葉は使わないでしょうし、言えば周りの人に叱られたり、悩みがあるのかと心配されると思うのです。それ以外に考えられるとすれば、病気フラグとか。笠野さんは生活習慣病の心配をしてもおかしくはない年齢ですし、外見からするに健康そうな、または健康に気を遣ってそうな人には見えません。
十二号  達海さんが笠野さんに見せた意地の悪い表情で、物語が現在に戻ってきたことを実感しました。達海さんは三十五歳なのに、こういういじめっ子な顔つきが実に似合っています。
 達海さんがクラブハウスを出たときの位置関係からして、もしかして有里ちゃんと達海さんのお別れシーンを、有里ちゃんのお父さんや笠野さんは見ていたのでしょうか……? 四人が顔を揃えてお酒を飲むようなことがあれば、確実に話のネタにされそうです。ただでさえETUには、有里ちゃんの小さいころのことを知っている人が多いのに。松ちゃんにお酒を飲ませれば、有里ちゃんの子ども時代を、親戚のおじさんのように語ってくれそうな気がします。そしてそれを聞いてみたいものです。
 個人的に、永田会長が語ったほど笠野さんがGMだったころのETUが良かったと思えないのは、作中で描かれている笠野GMの言動と「立場に関係なく、様々な人間が議論を重ねて作っていくクラブ」という評価に、ズレを感じるからなのかなと思います。
 達海さんのコンディションを無視した取材スケジュールを組んだり、選手起用に口を出したり、やり方には大いに問題がありましたが、津川会長は、ETUをビッグクラブにするという野心があり、スター選手である達海さんをメディアに露出させることで、観客動員数やグッズ売上を増やそうとしていました。津川会長は目的とそれを実現するための行動が繋がっていた人だったと思います。笠野さんは津川会長の方針に異を唱え、一人の選手に依存しきっていたクラブの姿勢を変えようとしました。ですが、ここから先の笠野さんの言動には多くの疑問符がつきます。
  • 達海さんがいなければ勝てないチーム状況を熟知していながら、監督やコーチに説明もなく、達海さんを海外に移籍させる。中断期間中に補強の見通しがあったかは不明であったものの、このシーズン、ETUは残留に成功。
  • クラブの理想、太陽であることを達海猛に求めながら、移籍・退団時に「嫌われ役」を演じさせただけでなく、津川会長の「達海猛はETUの裏切り者」という言い分を放置する。津川会長はシーズン終了後に辞任しているので、自身のGM辞任までの間に反論の機会はあった。
  • 「達海さんがいたときのような楽しいサッカーを、達海さん抜きのチームで目指す」一方で、残された選手には説明を行わなかったために、十年後、村越さんの怒り爆発(達海さんに)。不破監督のフロント批判から察するに、彼とも折り合いが悪かったことが想像できる。
  • 「ETUの信念に、俺はなる」「クラブの方向性は俺が担う」と達海さんに向かって宣言したものの、明確になっているのは「会長の独裁に対抗すること」ぐらいで、彼の思想や方針が分からない。そのために達海さん移籍後の笠野GMは「何かをしようとして失敗した人」というよりも「何もしなかったために、悪い結果を残した人」に見える。
  • スカウトとしてETUに復帰するも、ろくにクラブハウスに顔も出さず、まともに連絡も取れない。広報の女の子がキャンプに使う練習用具やジャージの準備をしているようなスタッフの少ないクラブで、好き勝手にやっていた人間が、突然、「垣根を越えた意見」などと称してクラブの運営や業務に口を挟んでも、現場の混乱と反感を招くだけに思える。
 東京ダービーで「もし今日誰かの足がブッ壊れたら、この試合がそいつのラストゲームだ」と持田さんが言っていたのは、海外デビュー戦が現役最後の試合となった、達海さんのことだったのでしょうね。
 倒れたままの達海さんを映すテレビ画面を前に、落胆や失望、嘲りや怒りをこめて大声で笑う持田さんの姿と、それをやや距離を置いて見つめる城西さんの姿が脳内にイメージされました。
十一号  東京のある町に、小さな一本の木がありました。町の人たちに大切にされている木を管理していたのは、会長とGMです。ある日のこと、二人は一枚の葉が光っていることに気づきました。
 その葉はわずかに傷んでいましたが、そんなことも気にならないぐらいに、眩しく輝いていました。隣の町にある大きな緑の木にも負けないぐらいの美しさに、町の人だけではなく、小さな木の世話をしている二人も夢中になりました。
 会長は、小さな木をたくさんの人に見てもらうために、光る葉を使うことを考えました。会長の作戦は成功し、小さな木の前には、光る葉を見るために大勢の人が訪れました。
 光る葉を目当てにやってきた人たちは、小さな木に水を与えます。その人たちは、町の人たちと水のやり方が違うだけでなく、ときには他の葉の出来に文句をつけました。光る葉と比べられた他の葉は、当然、面白くありません。小さな木がいつから光る葉のものになったのかと、他の葉が愚痴をこぼしているのを、ある日、光る葉は聞いてしまいました。
 いつの間にか、小さな木は光る葉に頼り切っていたのです。光る葉は、あちこちが傷んでいましたが、それでも小さな木のためにできることを考えました。
 ですがGMは、光る葉を木からむしり取って、空に放り投げてしまいました。お前は太陽でいてくれ。この木は、俺が守るから。GMの言葉を聞きながら、光る葉は風に乗って遠い国へと運ばれて行きました……。

 第一話のお別れシーンで有里ちゃんがブーツを履いていることも含めて(達海さんが移籍した時期に設定変更があった可能性は高いですが)、一九九七年の日本サッカー界を、物語の舞台となっている二〇〇七年や、現在と同じように考えるのは間違っているのかもしれませんが、永田会長が語ったほど、達海さんが現役だったころの、そして笠野さんがGMだったころのETUが良かったとは思えません。
 サポーターの意見を募って東京ダービー用のTシャツを作ってはいましたが、今のところ笠野さんがきちんと話をしているのは、古参サポーターの田沼さんと、選手の達海さん、京都への移籍を勧めた後藤さんぐらいです。有里ちゃんのお父さんを相手に、会長のことはどうにかすると請け合ってはいましたが、達海さんの強行出場や移籍オファーという、取り返しがつかない段階になるまで、話し合いが持たれた様子はありません。達海さんに依存するチームの姿勢を改善する気があるならば、監督との議論も当然、必要でしょう。会長が連れてきた監督という偏見があったのかもしれませんが、笠野GMと駒田監督が補強やチーム構想について論じているシーンも見受けられません。笠野GM時代の「立場を越えた関係性」は、笠野さんとごく限られた人間のものに過ぎず、十年前のETUの魅力と呼べるほどのものではなかったように見えます。
 また、村越さんは一巻で、達海さんに怒りをぶつけていましたが、ETUの主力が流出したのは、二部に降格したことよりも、達海さんの移籍を始めとしたフロントへの不信感が大きいように思えました。それに加えて、笠野さん自身が「選手のため」と称して主力を一部のクラブに移籍させてそうな感じもします。クラブのGMなどにならず、気ままな旅のスカウトをしていたほうが、笠野さんだけでなくETUに関わる多くの人にとっても、幸せだったのでしないでしょうか。
十号  モーニングの表紙は達海監督。現役時代や引退後の色々なことを受け容れ、乗り越えてフットボールを楽しんでいるからこそ、「監督ってスゲーたのしい」という言葉が出てくるのだろうなと、そう思いたいです。
 笠野さんにからわれていましたが、もしも達海さんがクラブハウスに女性を連れ込むとすれば、「おやっさんには内緒だぞ」とか言いながら、他のスタッフにも見つからないように隠れんぼ感覚で、ちびっこ有里ちゃんに中を見学させてあげるぐらいなものではないでしょうか。チームのエースで日本代表にも選ばれて、女性人気は上がっているはずなのに、なぜか周りにいるのは女の子とオバちゃんと、おばあちゃん。親戚の子を紹介したくなる町のおばちゃんの気持ちも分かる気がします。また、十年前のこの時期に奥さんや婚約者がいれば、達海さんの現役生活も別の形を示していたのではないでしょうか。
 達海さんを中心に置きながら、それぞれが異なる方向を見ているETU。その状況を把握して、笠野さんが改善しようとしているのは分かるのですが、GMとしてETUを守る気があったのかという点は疑問に思えてなりません。たとえば、達海さんがいなければ勝てないチームをどうにかできる目処があったのでしょうか。ワンマン会長との関係が悪化したことで、チームの改革に手を着けるまえにクビになったという展開はありえそうですが。
九号  迫りくるETU崩壊の足音。過去編はBADエンドが避けられないことが分かっているので、見ていて辛い部分があるのですが、それが終わりを迎えつつあることに、心のどこかで安堵している自分がいます。
 達海さんがきっかけで試合に足を運ぶようになった新規ファンは「達海さんの活躍で勝利するETUの姿」を求めるでしょうし、そうした人たちが達海さんの退団やETUの弱体化とともにスタジアムから足が遠のいてしまうのは、残念ですが仕方のないことだと思うのです。そして十年前の「新規層」だった羽田さんが、なぜスタジアムに残って応援を続けたのか、そのあたりに興味があります。達海さんが去ったあとのETUと、そこに残された人々のことも、この過去編ではある程度は触れるのでしょうか。

 和さんが考案した新メニューは、名古屋に存在するという噂の一品と同じものなのでしょうか。一昨年、名古屋に行った折に、その店に行ってみたいと口にしたところ、ものすごい勢いで妹に止められた記憶があります。やはり、山は素人が気楽に足を踏み入れて良い場所ではありませんよね。
十三巻  待っていましたマスコット! 黒いツキノワグマだと思いこんでいたマスコットはどうやら犬のようです。ひょっとして、ヴァンケンという名前にも「クマじゃなくてイヌ!」という強いメッセージがこめられているのかもしれません。ごめんね、ヴァンケン。
 マスコット界の潰し屋らしく「NO1 CLUSHUER」を目指すパッカ君。村越さんをリスペクトしているようですし、オールスターでは、中に村越さんが入っている疑惑までかけられていましたが、村越さんは「潰し屋」ではないように思うのですが、そのあたりどうなのでしょう。
八号  「強い男」リチャードさん登場。サッカーの世界に深く関わる役職ではありますが、このマンガに代理人が出てきたのはリチャードさんが初めてです。選手を金儲けの道具にするようないわゆる「悪徳代理人」ではなさそうですが、道に迷った外国人観光客を案内しただけで「困っている人間を放ってはおけない器の大きさ」などと評するのは達海さんのことを持ち上げすぎかなという気がしますし、怪我なんてどうにでもなるというのも、楽観的すぎるように思います。ですが今後の展開を考えると、海外移籍後の達海さんの人生に、彼が大きく関わってくるのでしょうか。さしあたって、彼が無事にETUのクラブハウスにたどり着き、ホテルに戻れたかどうかが気になります。ワタシニホンゴワカリマセン……。
 達海猛のワンマンチーム。ETUは世間からそういう目で見られるようになったのは、達海さんをとくに露出させようとする会長の思惑や、それに乗ったメディアの影響が大きいと思うのですが、東京ダービーのような重要な試合で活躍した達海さん自身の力による部分もあるのだと思うと、何ともやりきれません。
七号  達海さんは選手名鑑の趣味の項目に「松ちゃんで遊ぶ」とか書いていても不思議ではないような気がしてきました。走れないのにクラブハウスに顔を出すのは、会長の指示だけではなく、松ちゃんをいじりたかったというのもあるように思えてなりません。
 海外に出て、強いチームと戦いたいという思いと、ETUへの愛着。達海さんのなかにある二つの思いのバランスを崩したものがあるとすれば、やはり会長の行動なのでしょうか。会長が何をやらすか、気が気でありません。
 若い後藤さんに続いて、若い緑川さん登場。二十三歳。若いです。彼の所属する清水に負けて、達海さんが抜けてからのETUは順位を落としている様子。達海の影響でETUというクラブが注目されるのはともかくとして、周囲から「達海猛とそれ以外」という扱いを露骨に受ければ、選手だっていい気持ちはしないでしょうし、チームメイトが全員、前号の松本さんのように受け止められるわけではありません。
 十三巻初版限定の「かっこいいパッカ君」ステッカーがとても気になるのですが。どんな風にかっこいいんでしょう。村越さん風? 王子風?

 最近の「Ns’あおい」を身につまされる思いで読んでいます。介護する側の意思が統一されていなければ、本当に介護や看病は難しい。ただ、自分のことで家族が争うことを、介護される側の人は決して嬉しくは思わないだろうなと、そう思うのです。
六号  ようやく、ようやく若い後藤さん登場。もしかしてと思ったら、やはり移籍していたようです。京都か……。達海さんとちびっこ有里ちゃんに「京都って、ぶぶ漬け出されるんでしょう?」とか「通りの名前、全部言えるか?」とか聞かれてそうです。
 後藤さんの退団と入れ違いに、永田兄弟がETUのスタッフになったのだとすれば、第一話での「居酒屋の娘」発言にも説明がつきます。後藤さんは京都で引退をしたのか、それとも、達海さんの去ったETUに戻って、そこで現役生活を終えたのでしょうか。
 パッカ君の彼女を探すことは、マスコットの補強という点から、チームのためになると思うのですが、松ちゃんにドッキリを仕掛けることがチームのためになるのかは分かりません。まあ、笑いを取ることで、チームが和やかな雰囲気にはなるでしょうが。
 チームの練習から離れたうえに、代表を辞退せざるを得なかったわけですから、達海さんのケガは、当時、かなり知れ渡っていたようです。両脚に不安を抱えた選手を、それでもイングランドのクラブが欲しがったのは、達海さんが第一話で語ったように「弱いチーム」だったからなのでしょうか。
四・五号  フットボールは騙し合いのスポーツ。達海さんは選手のころから、相手を出し抜くのが上手い人だったのですね。ですがこのシュートは、相手や味方だけではなく、自分自身の体さえも騙しているように見えるのが痛々しいです。
 達海さんの存在があってこそのETU、期待とともに召集された代表、コンディションに影響を与えてでもメディアに露出させようとする会長、そして体の異常に気づきながらも走り続けた達海自身。過去編がどのような形で区切りを迎えるのかは分かりませんが、達海猛の選手生活が短かったのは、こうした事情が積み重なった結果なのかと思います。
 若い山井さん登場。髪型のせいか、現在よりもボリュームがあるように見えます。トッカンスポーツ? 特刊だと、不定期刊行で号外ばかり出している新聞に思えます。異動はあっても、十年間、山井さんは「トッカン」の記者を続けていたのでしょうか。
二・三号  神様仏様達海様。おばあちゃんに拝まれてます。現役時代の達海さんは、自慢の孫や、かっこいいお兄ちゃんのように思われていて、お年寄りと子どもの人気がダントツだったイメージがあります。
 達海のサッカーを、より多くの人に見てもらいたい。津川会長がやや強引に達海をメディアに出そうとしていたのは、そんな思いからでした。だからといって、サッカーに支障が出るほどのスケジュールを組むのは本末転倒ですし、ゴールを決めろなどというのも、無茶な要求だと思いますが。
 津川会長はワンマンと評されていますし、強引な部分も見受けられますが、考え方にズレがあることを承知の上で笠野さんをGMに置いているあたり、イエスマンだけで周りを固めているわけでもなさそうです。フロントの意識のズレや考え方の相違は、実は達海さんをETU退団に追い込むほどひどいものではなく、話しあえば修正が効くものだったのかなという気もしてきます。
一号  主役でなくても、控えめにプレーをしていても、ここぞという場面で、サポーターの声に応えられる。だから達海さんはエースとして扱われ、「ETUの星」と呼ばれたのだと思います。本当に、小さい有里ちゃんにとってはヒーローだったんでしょうね。
 まるで鳥にでもなったかのように、スタジアム中が見渡せる達海さん。椿くんの「わぁ……見える見える……」を思い出しましたが、精神状態とは逆に、達海さんの足は悲鳴を上げているようです。
 カラーページでの家電コラボに驚きました。有里ちゃんの一眼レフデジカメや、後藤さんのカーナビ(イングランドで迷ってましたが)、藤澤さんのICレコーダーあたりは、本人の職業や性格とマッチしているように感じました。
 それはそうと、南アフリカ応援ツアーに応募する人がいるのかどうか気になります。治安とか治安とか治安とか、本当に大丈夫なんでしょうか。


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