2017年モーニング感想部屋


五十三号  モーニングの表紙は代表ユニフォーム姿の椿くん。煽り文句の「焼けつくような舞台」について、花森さんが文句を言っています。ドイツあたりは日本とは比べ物にならないぐらいに冬が寒く、日照時間が短いイメージがありますが。
 リーグ・ジャパンから選出された新しい顔ぶれの選手たちについて語りあう欧州組の皆さん。クラスの隅にいるようなタイプでも、花森さんは一人孤高を保っている(そしてたまに持田君に絡まれる)のに対して、椿くんと窪田くんは誰にも入りこめない二人の世界を作ってそうに見えます。チームスポーツということもあってか、サッカー選手になるような人は、クラスの中心で騒いでいる人ばかりだと(勝手に)思っていたのですが、実際は人見知りだったり無口だったりと、さまざまな選手がいるようですね。
 八谷さんと畑さん、窪田くんと椿くんの四人は、アブダビを散歩していました。暑さに体を慣らすのは大事ですが、熱中症になるのはマズいです。また、代表選手は一人での外出を禁止されているよようです。言葉の分からない外国でトラブルに巻きこまれては困りますから、それは当然でしょう。現役時代の達海さんは、ふらっとホテルから出て行こうとして、周りから思いっきり止められた経験がありそうですが。
 チームへの献身、監督への忠誠、そして輪を乱すくらいの勢い。相反するものを求められて椿くんが戸惑っています。椿くんでなくても戸惑うでしょう。このあたりが、達海監督の指示に従っていれば成長でき、結果が出せたETUとの違いなのかもしれません。
五十一号  日本代表のプライベートを大公開:私室編。椿くんはETUの寮で生活しているものだと勝手に思っていたのですが、予想以上に部屋が綺麗で片づいていました。
 椿くんの部屋に私物がほとんど見られないのに対し、 同い年の窪田くんの部屋は個性的です。彼の部屋にガンガンのクッションがあるのは不思議ではありませんが、ネッシーの絵やハニワの置物は、遊びに来たチームメイトにツッコミを入れられそうです。UMAだけでなく、窪田くんは考古学にも興味があるのでしょうか。
 世界に行っても、やることはサッカー。椿くんが一緒なら、きっと楽しい。記者の人たちは仲良しの相手とポジションを競うことになるのではないかと不安げですが、当の二人は楽しげです。
 国際大会は若手を劇的に変える。怪我をせずに、経験を積んでチームに合流してほしいものですが、外国のクラブに見つかってしまうのではないかと、それはそれで心配になります。達海さんが再びETUを去るのと同じぐらいに、椿くんの海外移籍もフラグが立っているような気がして、たまに不安です。
五十号  日本代表監督のプライベート写真流出! 写真の画像データをスクリーンに表示するのではなく、わざわざパネルを作るあたりに時代を感じます。
 元日本代表のトルシエ監督は、女性記者には非常に親切で食事に誘ったこともある反面、男性記者への態度が厳しかったという話を聞いたことがあります。女性に優しいのはフランスの国民性なのでしょうか。
 モテるのも人気者なのも、代表で結果を出せているから。アジア杯で負ければ、再び代表人気は下がり、ブラン監督は女優さんに会ってもらえなくなってしまう。ブラン監督話は、ジェットコースター並に空気が変わるので、聞いている人はもちろん、通訳さんも大変だと思います。
 持田さんの代わりとして代表招集された椿くんと窪田くんには気負いはありません。持田さんの穴埋めなどという大変な役割を「プレッシャーよりワクワクの方が勝っている」と言う窪田くんと、首を振る椿くん。もう椿くんはチキンではないのだと思いますし、それは喜ばしいのですが、前回の「お見送りされる幼稚園児」を、食事中に八谷さんあたりにいじってもらえないかと考える私がいるのでした。
四十九号  Q.後藤さんは何のために見送りの車に乗ったのか→A.ゴトユリの燃料を投下するため。
 清水戦の有里ちゃん不足が解消されました。ありがとうございますツジトモ先生……!
 車の席順についてグーグル先生に尋ねたのですが、車を運転しているのがタクシーの運転手ではなく身内の場合、最も席次の高い人が助手席に座るのですね。つまりETUで一番偉いのは有里ちゃんということなのでしょうか。まあ、おおむね間違っていないと思います。
 年下の椿くんだけではなく、年上の後藤さんに対しても、いつも通り言いたい放題の有里ちゃん。東京ダービー試合開始前の「そんなだから独身(意訳)」発言が後藤さんの耳に入っているかどうかは分かりませんが、さすがに思うところがあったようです。彼が抗議した次のコマで笑っているのは誰でしょうか。器の大きい広報部長か、いつもの他愛ないやり取りに思わず笑い出した後藤さんと有里ちゃんでしょうか。
 監督から「チキン卒業」の太鼓判を捺されたとはいえ、この場で椿くんに笑う余裕はないように思うのですが、先生と生徒の距離が近かった小学生時代を思い出して「後藤さんと永田さん(なぜか永田さん呼びに戻っている)って、本当に仲が良いんですね」などと発言できたのなら、代表に赴く前にリラックスできた証拠だと思います。
 人が良いけど頼りないお父さんと、気が強いけど面倒見のいいお母さん。ETUは家族的な雰囲気がありますが、椿くんの目には後藤さんと有里ちゃんがこんな風に見えているのかもしれません。自分の娘と年齢の変わらない女性を「お母さんみたい」と評価する広報部長もどうかと思いますが、後藤さんと有里ちゃんにとって、お互いが家族のような存在なのだとすれば、二人きりで海外旅行をしようが、隣に立っていようが、色気のある展開にはならないのも不思議はありません。将来とか老後とか色々な事を考えた結果、恋愛をすっ飛ばして本当の家族になっても、それはそれでいいと思います!
 家族(仮)に見送られて代表合流した椿くん。八谷さんに「幼稚園児みたい」と言われてしまいました。椿くんも過保護に思っているようですが、多分、ETUとしては、選手を一人きりで代表の集合場所に行かせられないのだと思います。Suicaがまだ存在しなかった時代に、達海選手が何かしらやらかして、ETUのスタッフが協会に頭を下げた感じがするので。
 潰れる、椿くんの頭が潰れる! 秋森さんに絡まれ、代表選手のオーラに気圧される椿くん。窪田くんと仲良しなのは可愛いですが、当たり前のようにお互いの肩に手を置いているのでしょうか。多田さんが「気持ち悪い」と評価するあたり、スキンシップが多い(と思われる)サッカー選手でも、彼らの距離はおかしいと感じるようです。喋りまくる窪田くんの姿にドン引きする畑さんの姿が、今から想像できます。
四十八号  勝負は常に、誰に対しても真っ向から挑むもの。蛯名監督がいい事を言っていますが、達海さんのような人に痛い所を責められるので、自分の怪我は頭に入れておいたほうがいいと思いました。
 日本に長く居るつもりはない。達海監督はさして親しいわけでもない蛯名監督にさえも、そう思われてしまうようです。代理人リチャードの来日により、ETUの人々はいずれ達海監督との別れが訪れることを頭に置いていますし、現役時代の達海さんが裏切り者の烙印を捺された事を考えれば、彼あるいはその後継者である椿くんが、ETUの人々に温かく見守られ、激励されながら海外に羽ばたいていくというのは、物語としてきれいな幕引きだと個人的には思います。
 ですが、私を含めた多くの読者が予想した「引退」ではなく、「治療による戦線離脱」という形で持田さんを物語から退場させたツジトモ先生ですから、もしかしたら思いもよらないどんでん返しが待っているという可能性も捨てきれません。
 スーツ姿の椿くんがUAEへ出発。見送る時に、有里ちゃんが当たり前のように後藤さんの隣にいるのが素敵です。
 とはいえ、物語が代表編に入れば、ETUの人たちはテレビ観戦ぐらいしか出番がありません。中断期間の間に、フロントの仕事にスポットを当ててもらえると、私はとても嬉しいのですが。
四十五巻  表紙は持田さん。顔色は良くないですが、やりとげたような表情が印象的です。
 描き下ろし漫画の持田さんと花森くんが可愛すぎます。中高生の頃から世代別代表に選ばれ、A代表にも選ばれてW杯に出場した人たちが、「住んでいる所の田舎具合」を競っていたという話を読んだことがありますが、この二人はサッカー以外の周りから見ればどうでもいいような事でも張りあっていたのかと思うと、微笑ましい気持ちになります。
 家の近くに海がある→今度(一緒に)行こう。持田少年は本当に花森くんの事が気に入っていて、暗いだの何だの言いながらちょっかいを出していたのでしょう。持田さんがピッチを去る話の後に描かれたのが、肩を組む二人の後ろ姿だったことも印象的でした。
四十七号  試合はアディショナルタイムに突入。キーパーが前に出たところに、椿くんがダメ押しゴールを決めます。ゴールを決めたのに、喜びよりも安堵しているのが椿くんらしいと思いました。ゴールを決めた時に芸人さんのパフォーマンスをする選手もいますが、椿くんには難易度が高すぎると思います。
 試合終了。勝ち点五十七の鹿島が首位に立ち、大阪とETUが勝ち点五十六。得失点差でETUは三位となりました。綿谷くん江田さんという二人の代表選手に加え、村越さんと同い年の五味さんがいる鹿島との試合は、 間違いなく描かれるのだと思いますが、気になるのは大阪に勝った磐田です。個人的に倉茂監督が非常に気になりますし、ETUにとってはリーグ開幕戦の借りを返したい相手なので、磐田との試合も描いて欲しいと思います。
四十六号  代表にかける思いの強さ。椿くんから夏木さんにボールが渡り、ETU勝ち越し。ですが盛り上がるサポーターをおかしな方向に煽るのはクラブ的にもマズいと思います。ETUのサポーターが協会前で座り込みなんどを行えば騒ぎになるのはもちろん、後藤さんや有里ちゃんが胃を痛めてしまいます……。
 蛯名監督が右手に感じた違和感は、試合前の握手にあった。現役時代に、ピッチを鳥のように見下ろしていた達海監督の視野の広さは、監督となった今でも発揮されているようです。挑発のつもりだったではないかと清水のコーチに思われてしまうのも、達海監督らしいです。日頃の行いは大事ですね。
 第一話で、達海さんは有里ちゃんのことを後藤さんの彼女だと誤解していました。達海さんは視野が広く、観察力の優れた人です。十年連絡を取っていなかったものの、後藤さんの事はよく知っているはずの彼が、なぜそんなことを口にしたのか、非常に気になります。
 持ち前の観察力も、色恋沙汰に関しては働かないというのは、フットボール馬鹿の達海さんらしいと個人的には思います。
四十五号  先週、意味ありげに手元を見ていましたが、蛯名監督の違和感とは何だったのでしょうか。やっぱり骨にヒビが入っていたけれども、元プロサッカー選手だから痛みに強かったので気にしていなかった(試合後に骨折発覚)とか、おっかないオチだったらとても嫌です。
 ゲームは荒れ模様。ホーム神戸戦も、ジャッジに苦しんだイメージがありますが、緑川さんの負傷退場が強く記憶に残っており、選手たちが荒れていたという印象はありません。
 松原コーチが腹を立てています。達海監督はそれを抑えていますが、十二ページ目の目元にトーンを張ってある顔が何だか怖いです。
 ジャイキリ世界にも「中東の笛」は存在するようです。アジアカップとリーグジャパンでは笛を吹く基準が違う。必ず前を向け。言われた事を素直に聞きいれるだけでなく、すぐに実行に移せるところが、椿くんのすごい所だと思います。後藤さんはハーフタイム中に、ロッカールームの様子を身に来ていたようですが、有里ちゃんはどこで何をしているのでしょう。まさか審判に腹を立てて、佐藤くんに制止されているのでしょうか。
四十四号  後半から雰囲気が変わり、清水が同点に追いつく。決めたのは大谷君。「清水の18番。日本代表には選ばれなかった」のは事実ですが、五輪代表(候補)とか、そういったポジティブな事を、ハシラの人物紹介では取り上げてもらいたかったです。
 レフェリーのジャッジ基準が変わる。前半終了時に、明らかにレフェリーに対するブーイングがスタジアムに響いたり、監督が文句を言いに走り寄った場面は、私も目にしたことがありますし、誤審がニュースになることもありますが、無いにこしたことはありません。
 蛯名監督負傷のお知らせ。ゴールキーパーはともかく、フィールドプレーヤーが突き指という話はあまり聞きませんし、監督が突き指するのはもっと聞いたことがありません。アウェイ山形戦のハーフタイムで、ホワイトボードをブッ叩いた佐倉監督を思い出しましたが、彼と元プロサッカー選手の蛯名監督とは、明らかに身体能力が違います。もしかしたら、蛯名監督だから突き指で済んだのであって、佐倉監督は指の骨にヒビが入っていたのかもしれません……。
四十三号  指揮官の意思が表れているようなゴール。後藤さんがフラグを立てました。これは後半の清水が逆襲する流れなのでしょう。ツジトモ先生にとっては、後藤さんは「試合中にフラグを立てる係兼笠野さんの引き立て役」なのかもしれません。せっかくETU新旧のGMが二人で試合観戦しているのですから「いつまでも俺には敵わねえなんて思ってもらっちゃ困る」ぐらいのことを笠野さんには言ってもらいたいものです。
 ETUがリードした状態で前半終了。清水のロッカールームが描かれます。蛯名監督と選手たちは、二部練発言に「鬼」とまで言えるような関係のようです。達海監督とETUの選手の場合、訳の分からない無茶振りに対して若手選手が「監督の鬼っ!!」と悲鳴を上げるイメージがあります。ダルファー監督は怒りで顔が赤くなって「昔話の赤鬼みたいだねぇ」と言われるイメージ。発言したのは志村さんでしょうね。
 清水戦は代表でのポジション争いでもある。五輪世代や窪田君とその周辺(大阪)や、個性的な海外組に加えて、リーグジャパンから選出されている選手も、今後このように掘り下げられていくのでしょうか。
四十一号  紅白戦では達海監督がBチームの指揮を執っている。リーグ戦が終盤に差しかかったこの時期になって、ETUの練習方法が明かされました。今までだと、勝利の後やチームが好調の時期でも気を緩めずに練習とか、試合後は軽めの調整とか、そんな感じの描写ばかりだったので、達海監督を信頼していない選手もいたリーグ開幕直後や夏キャンプを除けば、具体的な練習内容が描かれたのは初めてかもしれません。
 達海監督から直接、指導されることで、選手たちは自分がチームの欠かせない戦力だと自覚する。以前、ツジトモ先生と内田選手の対談で、達海監督は選手のモチベーションを上げるのが上手なモチベーター型の監督だと言われていたような気がします。
 達海監督のもとでひとつにまとまっているチームでも、シーズンが終われば、様々な形でお別れがやってくる。それは私を含めた多くの読者が想像している椿くんの海外移籍かもしれませんし、別の誰かの引退や移籍なのかもしれません。
 ETU先制。亀井君が足で決めました。ETUでは若手組に入っている彼ですが、私は時おり、彼が世良君と同い年だということを忘れそうになります。

 まさかこのお方が介錯に現れるとは予想していませんでした(息子さんの前でブッ倒れていたので)。ですが確実に織部の死を見届けるには、これが最も確実な方法かもしれません。十一月まで連載がお休みなのが残念ですが、その分、物語のフィナーレに期待しています。
四十号  清水の蛯名監督はチームのレジェンドで、下部組織の指導経験あり。熱血体育会系の指導者は存在して当然なのでしょうが、ひと癖もふた癖もある監督が揃っているジャイキリ世界では、逆に新しく思えます。
 ETUは前節とメンバーを変えて挑む模様。上手くいっているチームに手を加える達海監督の采配も、蛯名監督にとっては「謎」のようです。
 本日の後藤さんは客席で笠野さんと試合観戦。佐藤くんもピッチサイドにいるでしょうし、有里ちゃんが試合内容にエキサイトしても、たぶん問題は起こらないと思います。
 代表に選ばれた椿くんは、やはり警戒されている様子。怪我にだけは気を付けて欲しいものです。感極まっている藤澤さんが、保護者のように思えました。


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