五十二号 |
頑張って声を出しているのに「怒鳴られてもほんわかしそう」という評価を受けたアレックさんが不憫です。関西弁を話していても、ハタカタコンビの場合は本人たちにその気がなくても怒っていると誤解されて、椿君あたりに怖がられそうなイメージがあるのですが、アレックさんは怒っても「あかんやろ!?」止まりで、あまり乱暴な言葉を使う人ではないように思えます。 オーストラリアはSBの位置を元に戻しました。その形を予想していた日本は攻めを続けるのですが、カウンターは止められてしまいます。声が大きくて肺活量が多そうな八谷さんから、危険そうな呼吸音が鳴ってるのですが、このままプレーを続けても大丈夫なのでしょうか。 八谷さんをカードをもらわずに止めたのはマクレガーさんの強靱な肉体でしたが、結局フィジカル頼みのサッカーになったことにコヴァルさんが落胆しています。 そして、私が想像していた以上に、オーストラリア代表の、正確にはサリバンとコヴァルさんの溝は深いものでした。対戦相手や審判を後ろから突き飛ばせば、間違いなくカードが出ると思うのですが、激情に駆られて手を出したことが、コヴァルさんの若さ、悪く言えば未熟さを表わしているような気がします。 オーストラリア戦はベテランから若手への世代交代やがテーマだと思うのですが、オーストラリア代表選手が、世代という不協和音を生んでいるからといって、このまま自滅するとは考えられません。 とはいえ、コヴァルさんがベテラン選手やゴードン監督への評価を変えるには、残った試合時間は短いと思うのですが、果たしてどうなるのでしょうか。 |
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五十一号 |
自分なら絶対決めてる。ベンチからの視線を気に掛けるアレックさんですが、険しい顔をしているのは桐生さんと岩淵さんの二人だけで夏木さんの姿はありません。海外経験のある二人ほどの自信がないのか、アレックさんと絡む機会がなかっただけなのか、監督かコーチの指示で体を動かしているのか、正解はどこにあるのでしょうか。 オーストラリアのCBはスタミナ不足というアレックさんの仮説。医療系のサイトには「こむら返り」の原因のひとつとして脱水症状が挙げられていたので、CBの二人が試合前に水をカブ飲みしたのは、こむら返り予防が目的だったのかもしれません。その代わりにお腹がチャプチャプになり、走ると脇腹が痛くなりそうですが。 プレーが噛み合わない自チームにコヴァルさんが苛立っています。チームスポーツならばそういうケースも珍しくはないのでしょうが、彼を見つめるサリバンが気になります。 チームメイトに対して思うところはあるけれども口に出さないコヴァルさんのことを、サリバンやマクレガーさんなどのベテラン選手は「次世代のオーストラリア代表を任せるには力不足」だと感じているのかもしれません。 |
五十号 |
椿君がドリブルからシュートを打つまでに色々と考えています。ジャイキリでは選手のモノローグを使った駆け引きはあまり多くはなかったと思うのですが、椿君の視野が広がった結果、相手の動きがよく見えるようになり、洞察力が上がったのかもしれません。
後半最初のビッグチャンスを決められず。事実ですが選手へのリスペクトが足りない発言に有里ちゃんが怒っています。若くて体力がある証拠なのでしょうが、彼女を見ていると、オーストラリア戦が日本では真夜中に行われていることを忘れそうになります。 一瞬の判断でチームを救ったオーストラリア代表GKのベーカーさんにスポットライトが当たりました。前半に二点失点したものの、彼は高い技術と分析力を持っているようです。 この人の壁を越えないと勝利はない。椿君がベーカーさんを高く評価しているように、オーストラリア代表も、クボバキコンビと日本のアタッカー陣を警戒しています。準決勝を託されたクボバキコンビが、予想と想像を越える活躍でゴールを決めるのでしょうか。 |
四十九号 |
いよいよ後半キックオフ。日本各地の人々がテレビの前で送る中、椿君のお父さんは、息子が交代させられなかったことに安堵しています。 怪我が理由の選手交代に比べれば、作戦上の交代はスポーツに詳しくない人間には分かりにくいものです。椿君のお父さんは若い頃に何らかのスポーツをしていたようには見えませんし、椿君のお母さんとお姉さんの表情から察するに、サッカーにも詳しくないのだと思いますが、息子の選んだ道を否定せずに見守ってきたことが、椿君の今の活躍に繋がっているのだと考えると、周囲の大人、特に親の態度が子に与える影響の大きさを感じます。 二十八際の花森さんが二十歳のクボバキコンビに勝負を託した日本代表とは対照的に、オーストラリア代表には世代間の意識のズレのようなものが表現されていました。 コヴァルさんにパスを出したときに、マクレガーさんは「ナンバーテン」と言っていましたが、単行本五十三巻ではCBのチームメイトを「ファニング」と名前で呼んでいました。 オーストラリア人のマクレガーさんにとって、日本語の名前は発音が難しいでしょうから、リーグジャパンでの対戦相手を「チーム名+背番号」で呼ぶのは理解できるのですが、イアン・コヴァルは、名字も名前も文字数が少ないですし、呼び捨てにしても問題はないと思えるのです。 コヴァルさんが代表の年長者に対して思うところがあるように、オーストラリア代表のベテラン選手もまた、コヴァルさんのことを代表の十番を背負うのには経験が足りないと考えているのかもしれません。 マクレガーさんの「ナンバーテン」から色々と考えてみましたが、単行本でセリフが修正される可能性もあるので、この推測はあまりアテにならないと思いました。 全然異性として見れないタイプのが仕事はしやすい。川合とはすごく仕事しやすい。「ハコヅメ」で川合さんが女子としてはあんまりな事を言われていますが、有里ちゃんもETUでは異性としては見られないポジションなのでしょうか。 佐藤君は無神経な発言で有里ちゃんを怒らせそうですが、有里ちゃんの方もETUの人々を家族か親戚扱いして、男として見ていないように感じます。 ETUの男性陣には頑張ってジャイアントキリングを起こしてもらいたいものです。 |
四十八号 |
カチャカチャカチャ。孤高の天才は「カタカタ」や「ガタガタ」といったありがちな表現は使いません。花森さんのことを昔から知っている城西さんや古谷さんのリアクションをから察するに、花森さんが慣れない行動をとった結果、体からありえない音が鳴ったようです。 クボバキコンビに希望を託す一方で、W杯で傷を負った選手の「現在」に関心があるのだと語るブラン監督ですが、彼女に「昔の男」の話をされるのは、男性にとってよくあることなのでしょうか。個人的な偏見ですが、古川通訳とETUの後藤さんは、元カノに昔の恋人の話をされた経験があると思います。 日本代表は田辺さんに代わって城島さんがピッチに入ることになりましたが、コヴァルさんが「結局精神論に終始した」と感じたように、オーストラリアに交代はないようです。ゴードン監督は無能な人ではないと思うのですが、笑い方と外見のせいか、ヒーロー物で序盤から中盤に退場する敵幹部に見えて仕方がありません。 サリバンが監督の言葉を繰り返すのには、理由があるそうです。キャプテンが監督の言葉を繰り返すことで、選手の意思統一をはかっているのかもしれません。 オーストラリア戦では「チームリーダー」にスポットが当たっていますが、日本代表は花森さんがブラン監督の言葉を先取りする形でクボバキコンビに期待をかけたことが、今の日本代表の「チームリーダー」のあり方なのでしょうか。 一緒に行こう。所属チームに海外移籍を考えている人がいても、手を取って共に飛び立てる相手はなかなか見つからないでしょう。クボバキは代表でお互いに出会うことができて、本当に良かったと思います。 ETUのことを考えれば、椿君には来季もチームに残って欲しいのですが、ストーリーの展開上、椿君の海外移籍は八割方確定しているようなものですし、窪田君が同時期に、比較的行き来がしやすい国に移籍するなら、椿君が海外に移籍するのもアリなのではないかと最近は思えてきました。 |
四十七号 |
ハーフタイムは(この漫画にしては珍しく)サービス回。ピッチで走り回っている選手が、ロッカールームで汗を拭き、着替えるために上半身裸になるのは珍しくはありませんが、唐突に村越さんがカラーページで筋肉美を披露した東京ダービー後のロッカールームを思い出してしまいました。 青年誌において、男の乳首を描いていい基準とそうでない基準が私には未だに分かりません。なぜ八谷さんや与木さん、田辺さんのそれらは描かれているのに、アレックさんと椿君はタオルでガードされているのでしょうか。 半裸の状態で首にタオルをかけるという行動が、選手の性格を表わしているのかもしれませんし、椿君が外国では未成年に見えてしまうので、翻訳出版の際に起こりそうなトラブルを事前に回避したのかもしれません。 見た目はサービス回でしたが、選手たちの空気には温度差がありました。越後さんが城島さんに対して軽くキレ気味です。個人的に、越後さんは年長者に対して礼儀を守れる人だと思っているのですが、彼にとって城島さんは敬語や礼儀に気を遣わなくてもいい相手なのか、敬語を忘れるほど精神的に余裕がない状態なのか、判断に迷うところです。 俺は孤高の天才花森…。自分が主役の小説や漫画の書き出しに使えそうな自己紹介をシラフで、しかも人前でできる彼のメンタルはやはり世界レベルだと思いました。そして「ブランはクレイジー」という発言の翻訳に、古川さんが困る姿が想像できました。ですがブラン監督は英語ができるので、日本人のカタカナ英語でも何を言っているのか理解できるような気もします。 志村さんの傷。それはヒトとイヌが積み重ねてきた共存の歴史とは決して切り離せない、現在でも世界のあちこちで発生している悲しい出来事でした。 小さいころの体験が原因で、犬が苦手になってしまう人の話はよく聞きますが、志村さんも実は犬が苦手だったりするのでしょうか。オーストラリア戦のキックオフ直前には「大きい選手に苦手意識はない」と言っていたので、小さい生き物には思うことがあるのかもしれません。 ですが彼の場合、花森さんの「傷跡は男の勲章」という言葉を聞いて「逃げ傷は勲章に入ると思う? あ、でも背中じゃなくて膝だからセーフかな」などと言い出しそうな気もします。 花森さんは準決勝の見せ場をクボバキコンビに譲ることにしました。若さは経験の少なさの裏返しですが、ネガティブな体験をしておらず、傷や痛みを知らないという考え方ができるのですね。 少し気になるのは、花森さんが「この試合に関しては今までで一番の出来」という評価です。海外のクラブから接触があった窪田君は試合開始前から気合いが入っていましたし、椿君も好調でしたが、準決勝が二人のピークだとすると、オーストラリアに勝利しても決勝戦で活躍できないばかりか、彼らのミスが敗戦につながるのかもしれません。 疲労の果てに限界を超えて成長する少年漫画的な展開や、クボバキコンビ抜きの日本代表、とくに夏木さんが決勝で大活躍、というのも個人的には心引かれます。 |
五十三巻 |
カバー裏でパッカ君がカンガルーになっていました。中国戦ではパンダになっていましたし、彼にはこの調子で「ご当地パッカ」を増やして欲しいものですが、他の国の代表的な動物が思い浮かびません。UMAや絶滅した生物、そして世界各国の衣装に手を広げればネタに困らなさそうなので、ぜひ有里ちゃんに企画を立ててもらいたいものです。 オーストラリア代表に対する描写が、モーニング本誌からかなり変更されていました。代表選手たちが「ロッカールームで争っているのを見たことがない」という監督のセリフや、サリバンへの「人としての魅力は驚くほど感じられない」というコヴァルさんの評価が無くなっています。 日本が二点目のゴールを決めた後に、マクレガーさんは「罰として腕立て100回」を課されるかもしれないと呟いていますが、このセリフがモーニング本誌にあったかどうかは思い出せません。ただ、彼がピーナッチを「戦友」にカウントしているに何となくほっこりしました。 巻末には「VOLUME54 COMING SOON!」と書かれていましたが、次の単行本は来年のいつ頃になるのか、現在の連載ペースでは予想ができません。 モーニング編集部や担当編集の方々は「GIANT KILLING」の連載続行のために、最大限のサポートをされているのだと思いますが、ツジトモ先生に今のような状態が続くのであれば、物語の「続行」だけではなく「完結」も視野に入れたほうが良いのかもしれません。 |
四十二号 |
前半のアディショナルタイムは二分。ハーフタイムに入って混雑する前にお手洗いに立つ習慣は世界共通のようです。海外では有料の公衆トイレが珍しくありませんが、やはりスタジアムでも有料なのか気になります。 ピッチではクボバキコンビが力強い言葉を口にしていました。この試合はボクシングに例えられることが多いように感じるのですが「一発殴り返して」などというという言葉が椿君から出てくるとは思いませんでした。 アレックさんがファウルを取られていたので、窪田君のシュートはノーゴール扱い。ホームでのガンナーズ戦から、窪田君がセカンドボールに強かったことを思い出しました。 窪田君の両肩をつかんで椿君が迫ります。リーグ戦ではお互い負けたくないけれども、「天才」という表現を使うほど実力を認めた相手。日本代表では「同世代」がクローズアップされていますが、W杯の屈辱を知らないクボバキコンビは「同い年の関係性」という意味でも、日本代表にとって新鮮な存在なのかもしれません。再会のダンスは「キモい」などと言われていましたが。 日本代表の反撃を予感させながら前半終了。両チームの監督が、ハーフタイムにどのような指示を出すのかが楽しみです。 |
四十一号 |
連載再開! 正直なところ、今年中の掲載さえも諦めかけていたので、予想よりも早く連載が再開できたことに安堵しています。 ただ、巻末の次号予告にはジャイキリのタイトルがありませんでしたから、まだ安心できない気持ちはあります。 同点に追いついたオーストラリア。過去の対戦で日本代表を苦しめてきたというトーマス・サリバンの力を、日本のメディアの皆さんが評価しています。 最強の兵士は経歴や本名が全て謎。草サッカーならばともかく、A代表でそんなことはありえません。そしてマクレガーさんのモノローグにツッコミを入れられるオーストラリア代表は器用だと思いました。 サリバンと神にハットトリックを祈るハミルトンはもうじき三十代半ば。三十二歳の城島さんよりも年上なのがほぼ確定した上に、達海監督と同世代の可能性も出てきました。「最近じゃ当たることの少なかったオーストラリア」「長年にわたって日本の天敵」という記者さんの言葉から察するに、サリバンは代表で達海さんや緑川さんと対戦した経験があるのかもしれません。 思い起こされるのは昨年のW杯(ブラジルにボロ負け→ドロー→逆転負けでグループリーグ敗退)の記憶。ピッチの選手たちだけではなく、日本のメディアの皆さんまでもが責任のなすり付けを行っています。眼鏡の高山さんはネチネチした記事を書く人らしいので、覚えておこうと思います。 クボバキコンビはまっさらな日本代表。二人の会話が気になります。前半はアディショナルタイムに突入しましたが、椿君がどんな動きを見せてくれるのか楽しみです。 |