三十四号 |
宮野君、矢野さん、赤崎君がゴールを上げ、徳島戦は四対〇でETUの勝利。詐欺を疑っていたおばちゃんたちが楽しんでいて何よりです。 後は託したからな。今シーズン試合に出る機会がもうないことを理解しているからこそ、こんなセリフが出てきたのでしょう。達海監督の「縁があったらよろしく頼む」という言葉は、指導しながらほとんど試合に出さなかった選手の将来を暗じる気持ちと、選手の復活に長けた高杉監督へのリスペクトが感じられました。 なんで空いてるのに、おじさんの近くで観なきゃいけないのよ。モーニングのおじさん読者に、女性の本音が突き刺さりました。身内を含むおじさんばかりの職場で働いている永田有里ちゃん(推定二十代前半)の意見が聞いてみたいものです。 週末はジャパンカップ決勝戦。組み合わせは東京ヴィクトリー対鹿島ワンダラーズでした。リアルのスケジュールを考えれば、この時点で物語は十一月に入ったのだと思われます。 鹿島がリーグ戦のラスボスとして描かれ、五味選手がオーストラリアのサリバンさんと似ているという設定まで付け加えられたことを考えれば、この試合は鹿島の選手の掘り下げや強さをアピールするためのものなのかもしれません。 |
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三十三号 |
俺がどんだけ上手くなったと思っても、試合には使われない。 広井さんの言葉がつらすぎます。彼をレベルアップさせたのも、オマエならできると言葉をかけるのも、試合に出さないのも、全部達海監督ですから。 山井さんの言葉通り、達海監督の去就はETUの最優先事項です。ストーリーを盛り上げるためにも、この部分は長く引っ張られると思うのですが、このシーズンに出場機会がなかった選手の中には、仮に達海監督が辞任したとしても、ETUというクラブで選手を続けていく気力を失い、移籍を選ぶこともあるかもしれません。必要としてくれるクラブがある限りは現役を続けることが、ジャイキリワールドでは良しとされていますから、達海政権下のETUで心折れても、選手に引退が許されないのは、考えようによっては残酷だとは思うのですが。 達海監督がETUを辞めて、別のクラブの指揮を執るとすれば、おそらく海外だと思うのですが、「大物食い」を目標に三部リーグや地域リーグに迎え入れられ、達海監督には使われずにETUを去った選手と再会したら、ドラマは生まれるかもしれないけれども選手にとっては気まずいだろうなと思いました。 次号はモーニング表紙&徳島戦決着。長期休載を挟んだオーストラリア戦が長かったせいか、この試合が短く、そしていかなる試合結果であれ、内容が濃く感じられます。 再開するリーグ戦も、可能であればこれぐらいのテンポで話を進めて頂きたいと思いました。 |
三十一号 |
今プレーしてるETU選手の半分以上は、今季限りの放出要員。 まあ、そうだろうなというのが正直な気持ちです。サポーターがコールした選手の半数以上が、作中でほとんど出番がなかった選手で、読んでいても「こんな選手いたかな?」という印象でした。ジャイキリエクストラのETUの選手名鑑を調べれば、名前や顔が分かるかもしれませんが、この人たちは達海監督が試合に起用しなかった選手です。 リーグ後半戦のスタートとなるアウェイ札幌戦にベンチ外の全選手を連れて行ったり、試合に出ていない選手によるプラカード作戦もやっていましたが、村越さんの既婚が判明したぐらいで、出番が少ない選手を印象づけるまでには至りませんでした。 週刊モーニングを定期購読して、単行本を買っている人間でもこの程度の記憶しか持っていないのですから、週刊モーニングしか読んでいない読者であれば、この試合に出場している選手に対する印象はもっと薄いでしょうし、ジャイキリを読み始めた時期によっては「誰こいつら?」と思ってもやむを得ないと思われます。 達海監督がそういった選手を起用したのは、彼らの移籍がうまくいくように、アピールの場を設けたかったのではないかと前回の感想で書きましたが、達海監督としては、来季もETUの指揮を執る(=現在、起用されていない選手は戦力外)意志があるのでしょうか。 来季はよそのチームの指揮を執るつもりで動いているのであれば、新監督のもとでレギュラーになるチャンスがある選手を、わざわざ後藤GMや笠野さんの意見を聞いてまで起用する必要があるとは思えないのです。 達海さんが、選手の移籍先だけではなく、ETUの新監督への引き継ぎの意味もこめて、出番が少なかった選手をアピールしているという可能性は捨てきれませんし、緑川さんや村越さんが放出される可能性も捨てきれないので、油断はできませんが。 徳島の監督は眼鏡の似合う高杉監督。モデルとなったのは、リアル徳島サポで有名だった俳優さんだそうです。この方が徳島の試合を見られるように、共演している俳優さんたちが力を合わせて、収録を早く終わらせたというエピソードは、今思い出してもほっこりします。 |
三十号 |
高齢者を狙った詐欺に注意。吉蔵さんたちと同世代と思えるおばちゃん達は、たぶんゴローさんたちの幼少時の面白いエピソードを知っていると思います。江戸っ子の永田兄弟や有里ちゃん、下部組織育ちの赤崎君あたりも、おばちゃんネットワークで「過去のやらかし」が知られているのではないでしょうか。 徳島ヴォルテックスは二部リーグで現在五位。この時点で「一部昇格に手が届きそう」と言われているのは、上位チームの得失点差が少ないか、六位までのチームにプレーオフに参加する権利が与えられているのかのどちらかだと思われます。 メンバーを温存する徳島に対して、ETUも控えの選手がメイン。緑川さんが久々にゴールマウスを守り、赤崎君がキャプテンマークを巻いています。ゴール裏のおばちゃんに「ウチの植木鉢を、ボールで割った遼ちゃんが立派になって……」とか言われないか、楽しみでもあり心配でもあります。」 試合に出られなかった選手は心が貧しくなる。達海さんのことは好きになれない。 広井さんの言葉が不穏なムードを醸し出しつつ、今回は終了。インタビューでツジトモ先生が「達海に反発する選手の話も書きたい」と言っておられた気がするのですが、天宮杯でそのあたりのエピソードを書くご予定なのでしょうか。 達海監督が次のシーズンもETUで指揮を執るのであれば、広井さんたちが試合への出場機会を求めて移籍するのは当然のことです。達海監督が、笠野さんや後藤GMの許可を得てまで、今まで活躍の機会がなかった選手たちを天宮杯に出場させたのは、彼らの移籍がうまくいくように、アピールの場を設けたかったのかもしれません。 椿くんの挫折や、達海監督に反発する選手のエピソードを描いているということは、ツジトモ先生はいよいよ書きたい物を書き切って、ジャイキリを完結させるつもりなのでしょうか。たいったん、達海監督とETUの物語に区切りを付けてから「日本代表編」という形で、ブラン監督を中心としたW杯予選が描かれる可能性はあるのかもしれません。 |
五十五巻 |
表紙……! 単行本派の方は、ETUコンビの活躍を期待して、日本代表の勝利を確信して、そして後半に心を折られるのかと思うと本当につらいです。 コータくんがものすごいテンションで試合経過を語っています。小学生ながら夜更かしをして、ETUの選手の活躍に胸を弾ませた彼が、敗戦後に何を思ったのかが気になります。「友達」である小学生サポーターの存在が、椿君が立ち直るきっかけになればいいのですが。 この試合が始まるまではかわいげのあるイイコだったという謎のフォローをされたイアン・コヴァル氏(たぶん成人済)。試合終了後の彼の代表における人間関係が若干心配でしたが、アジア杯に優勝できたのですから、結果オーライなのかもしれません。 日本代表対オーストラリア代表は、「スムーズな世代交代ができている日本代表」と「世代交代がうまくいかず対立を生んだオーストラリア代表」という風に描かれていたと思うのですが、世代交代を担う若手が、試合中のアクシデントが原因とは言え、心身共に崩れてしまったのでは、どうしようもないよなと思いました。 |
二十九号 |
赤い派手なシャツは鹿島カラーではなく、韓国カラー。後藤さんの考え過ぎという気もしますが、赤黒白のETUカラーならば、鹿島カラーに対抗できるような気がします。 クラブの象徴を受け継いだ猪瀬GMは、鹿島の心臓。今の後藤さんは、有里ちゃんと同じく、クラブから去る人を見送り、やってきた人を受け入れる立場だと考えています。ETUから達海猛が去り、椿大介が去っても、クラブに留まり続け、クラブの色や哲学を守り伝える存在。 有里ちゃんは名前からして「帰る家。ふる里の象徴」ですし、笠野さんや椿君への「お帰りなさい」の場面は、まさにそれを象徴していると思うのですが、後藤さんは「猪っち」のようになれるのか、突如やってきた彼の成長フラグに期待と不安を覚えています。 アジア杯はオーストラリア代表が逆転優勝。鹿島がクローズアップされたばかりに、出番がなかった韓国代表姜昌洙が気の毒でなりません。単行本のおまけページあたりで、彼の活躍に触れてくれると良いのですが。 後藤に対していじわる。松原コーチや村越さんへの態度を見る限り、達海さんは「気になる相手にちょっかいを出す」タイプの典型です。たぶん、幼い時に気になる子にいじわるをして泣かせた過去がある(個人的には持田さんもこのタイプだと思っています)と思います。世の中の男性は、相手に嫌がられるような言動をとって、好感度が上がると本気で思っているのか、割と真面目に不思議でなりません。 天宮杯のメンバーの件で、監督がGMに相談。今まで、達海監督は一人でチームの方針現場を決めてきましたし、カレーパーティーや「引退試合」が事後報告になろうと、後藤GMは監督を信じて現場のことに口を出しませんでした。 その方針を覆すようなことがあるとすれば、本来、天宮杯に出る予定はなかった椿君と夏木さんに関することなのかもしれません。 天宮杯4回戦の相手は徳島。マスコットは鳴門の渦なのか、特産品のすだちなのか、チームのマスコットが気になります。 |
二十八号 |
有里ちゃん……!? 藤澤さんと有里ちゃんの親密度がいつの間にか上昇している……!!! 単行本42巻に収録されている東京ダービーの決起集会の時点(409話)では「永田さん」呼びだったのに、東京ダービーからアジア杯終了までのあいだに、二人に一体何があったのでしょうか。 永田姓が最低でも三人は在籍しているETUにおいて、有里ちゃんを名前で呼べるのはごくひと握りです。名字+ちゃん付けで頑張っている山井さんが、女の友情に嫉妬するのも無理の無いことでしょう。また、彼がこのセリフを発したということは、製作サイドとはしては藤澤さんの「有里ちゃん」呼びは、ミスなどではなく意図的なもの、単行本での修正もありえないと考えられます。 現時点(553話)で、有里ちゃんを名前で呼んでいる人のリストです。抜けや漏れがあれば、指摘していただけるとありがたいです。 有里→永田会長、達海、ETUのドクター、丹波、笠野、黒田 有里ちゃん→副会長、後藤、松原、緑川、金田、夏木、藤澤(NEW!) 有里さん→世良、椿(36巻収録の354話のみ) 椿君の幻の「有里さん」は単なるミスか、ETUの先輩がたに締め上げ、もとい指導された結果ではないかと考えているのですが、メンタルが落ち込んでいる彼には、有里ちゃんと藤澤さんがお喋りをしているだけでも大ダメージのようです。 ETU躍進の象徴である椿を欠いた状態で、残りの試合を勝ち抜けるのか。藤澤さんの器具はもっともですが、それをどうにかするのが、達海監督や選手たちの力なのだと思っていますし、長いあいだ活躍がなかった分、椿君や夏木さん以外の選手の見せ場に期待したいです。 鹿島の名物GM猪瀬さんは、笠野さんと仲が良い。ここに来てまさかの後藤GMの成長フラグが……!? GMとして、そして年長者として椿君や有里ちゃんをフォローする彼の姿を見てみたいですが、後藤さんは有里ちゃんにこき下ろされるか、永田兄弟と一緒に笠野さんの引き立て役に回ることが多いので、過度の期待は禁物です。 |
二十六・二十七号 |
合併号……! デジタル環境で仕事をされている漫画家の先生は、アシスタントさんにリモートワークで作業の指示を出していると前にテレビで見たのですが、漫画家の仕事場でアシスタントさんが作業をしているようなアナログ環境では、このご時世では作業に遅れが出るのもやむを得ないことです。それはそれとして、次号掲載の「聖☆おにいさん」が楽しみです。 永田ちゃん、藤澤ちゃん。若い女性をこんな風に呼べる山井さんは強い。後藤さんは有里ちゃんを有里ちゃんと呼べても、藤澤さんは藤澤さん呼びのままだと思うのです。 アジア杯の決勝は韓国対オーストラリア。ブラン監督と藤澤さん(と同業者)、後藤さんは決勝戦を観てから帰国する予定。 オーストラリア戦前に韓国代表メンバーと出会うシーンがありましたから、ツジトモ先生の中には、決勝戦で韓国と戦うという構想はあったと思います。 ここからは私個人のイメージですが、韓国はフィクションに登場させる上で、慎重な取り扱いが必要な存在だと考えています。ごく普通に日本発のコンテンツを楽しんでいる韓国人がいることは、頭では理解しているつもりですが、そういった人の存在をかき消してしまうようなトラブルや騒動が、過去には発生しているのも事実です。 この漫画の決勝戦で、日本代表と韓国代表と戦うことになれば、シナリオやキャラクターの扱いによっては、よからぬ騒動が発生するのではないか。自分の中にそういう不安があったことは否定できません。 アジア杯を強引な形で打ち切りには、もしかしたらトラブル回避という面もあったのかもしれませんが、もはやこの展開を無かったことにはできません。最近では単行本化にあたって、加筆や訂正が多かったのですが、雑誌連載時とは違い、単行本では日本代表が決勝に進んでアジア杯が続いているなどということは、絶対にありえないのです。 アジア杯の打ち切りによって、最もダメージを受けたキャラクターが椿君です。東京ダービーの終了後、彼は上手くなりたい、チームの役に立ちたいという気持ちで、日本代表入りを望んでいました。それが目の前で友人が重傷を負った上に、試合の「戦犯」になってしまった。 アジア杯について問われ、声もなく涙を落とす椿君の姿が、痛々しく思えてなりませんでした。彼が立ち直るまでに時間がかかることは間違いないのでしょうが、問題はどうやって立ち直るかです。 天宮杯とリーグ戦残り四試合について、達海監督は「全部勝つ」と言っています。リーグ開幕直後は、自分のクビを気に掛けつつも、負ける余裕がありましたが、勝ち点を1点も落とせないこの状況で、メンタルにダメージを受けている椿君を起用するのはリスクが高いです。荒療治で天宮杯に椿君を出場させるという方法もありますが、これでチームが負けた場合、椿君の精神状態が本当にどうしようもなくなってしまう気がします。 リーグの中断期間中も、選手たちはトレーニングを積んでいますし、達海監督は現役時代の自分の体験も踏まえて、特定の選手に頼らないチームを作っていると思うのです。 長い間、出番がなかった選手の活躍に期待しながらETUの試合を観ればいいのか、椿君の立ち直りに期待すればいいのか、迷うところです。 |
二十五号 |
日本代表の試合は「国の誇りをかけた戦い」です。過去には大ポカをやらかして、非難を浴びた選手も実在します。ですがメディアやネットで椿君が非難されているという展開の割に、リツイートやファボ、いいねの数が少ないように見えました。 ウィキペディアで調べたところ、ツイッターのサービス開始は2006年7月(日本語版は2008年4月に開始)。ヤフーニュースのコメント機能は2007年開始と書いてありましたので、作品の舞台となっている時期には、まだ利用者の数が少なかったのかも知れません。作中で描かれていないだけで、匿名掲示板が炎上して、椿君のAAが作られている可能性もあります。 ETUのチームメイトは「家の人」として、椿君を明るく迎えてくれました。ガブ君の日本語は上達したようですが、アジア杯の中断期間中に公式戦は行われておらず、ストーリーはこのまま天宮杯とリーグ戦に進むようです。 アジア杯を経験を積んだ椿と夏木さんが、日本代表で得たものをいかにしてクラブに還元するかというのが、天宮杯とリーグ戦の見所でした。しかし、椿君の成長は一瞬で台無しになりましたし、オーストラリア戦のみの出場であった夏木さんにも目立ったレベルアップはありません。 単行本五十巻の描き下ろし漫画で、達海監督は公式戦がない中断期間について「飽きてきた」と言っていました。それがキャラクターを借りたツジトモ先生の本心であるならば、アジア杯は作品の引き延ばしのために渋々描いていて、ネットで見かけたネガティブな意見をこれ幸いと、強引に試合を終わらせたようにも見えます。 今週、久しぶりに村越さんが登場しましたが、彼の奥さんはかなり年下の元タレントという設定でした。某所で「2011村越さんショック」というハッシュタグが作られ、同人界隈を揺るがせたこの設定は、しかし本編はもちろん、村越茂幸の人格や行動にはまったく影響を与えていません。 とある少年漫画家が、自分の作品がかけざんの対象にされていることへの抗議の証として、人気キャラクターを女性ウケの良くない髪型に変えたという噂がありましたが、旧世紀に連載されていた漫画のことなので、この話の真偽は不明です。 村越さんも作中で髪型を変えていますが、ジャイアントキリングははっきり言って恋愛色が薄く、強引に公式認定できるのは「コータ君→キョーコちゃん」ぐらいです。そのため「村越さんを既婚者設定はかけざん対策」だとは私には思えません。 実在のプロサッカー選手が、芸能人やモデルと結婚する例は少なくありません。村越さんの既婚者設定は「ETUにサッカー人生を捧げてきた強面でストイックな選手が、元タレントと結婚している」というギャップによって、読者を驚かせることが目的だったのではないかと考えています。 持田蓮に引退ではなく治療という選択をさせたように、ツジトモ先生は、読者の予想を裏切り、読者を驚かせたいという気持ちが強い人なのではないかとお見受けします。オーストラリア戦の敗北は、確かに読者を驚かせることには成功しましたが、問題は今後のことです。 アジア杯が終わったら天宮杯とリーグ戦を描くのは、アジア杯編が始まる前から予定されていたことだと思います。しかし「椿による日本代表の敗北」は、意外性を狙っただけで片付けられる展開ではありません。また、アジア杯をなかったことにするには、リアルでかけた時間が長すぎます。もしもアジア杯が半年から一年程度でまとまっていれば、試合が同じ結末を迎えていたとしても、読者の受け止め方は違っていたかもしれません。 私はETU広報の永田有里ちゃんを贔屓にしている人間です。日本代表編は、椿君や窪田君の成長を見守る気持ちで読んでいました。しかし、二年以上の時間と原因不明の長期休載を挟んだ挙げ句、日本代表が負け、椿君の成長がマイナスになり、窪田君が重傷を負ったこの展開の、どの部分を肯定して良いのか、正直なところ分かりません。 |
二十四号 |
おかえり。東東京(ウチ)に帰ろう。 椿君が日本代表の集合場所に送ってもらった時に、広報部長が有里ちゃんのことを「お母さんみたい」と言っていましたが、まさにそんな感じでした。 長いこと旅人をしていた笠野さんが、久しぶりにETUのクラブハウスに顔を出したときも、有里ちゃんは「お帰りなさい」と言っていました。「ふる里が有る」という言葉通りに、有里ちゃんはETUというホームに帰ってきた人を、温かく迎え入れる役割を持っている人物なのだと思います。 夏木さんも「有里ちゃん」呼び派であることが判明しました。達海監督がクロスチョップされたり、水を張った洗面台に顔を突っ込まれたりする場面を目撃して恐怖に身を震わせながらも、年下(推定)の女子を「ちゃん」付けできるのがストライカーのメンタルなのだと思いました。 チケットが取れなかった後藤さんは、後日戻ってくるそうです。有里ちゃんは後藤さんにも「お帰り」を言ってくれるのか、少しだけ気になります。リチャードが一緒にいたのですから、リーズナブルに獲得できる外国人選手との契約の一つや二つ持って帰ってくれば、後藤さんの評価も上がるのではないでしょうか。 椿君は試合終了後だけではなく、日本代表帰国後も、メディアには出ませんでした。協会が彼の精神状態に気を配ったのだと思いますが、彼が沈黙を選んだことで、ネガティブな記事が書かれる可能性は否定できません。 海外移籍について何も語らなかった結果、達海猛が「裏切り者」のレッテルを張られたことを知っている有里ちゃんが、メディアから椿君を守ってくれることを祈りたいです。そして同時に、椿君は有里ちゃんの後ろに隠れているだけではなく、彼女の前に出て自分から話を切り出すような姿勢を見せて欲しいです。 |