琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第5回締約国会議

ラムサール条約Ramsar  logo

勧告 5.1.3: ドナウ河下流域

[英語] [フランス語] [スペイン語]


第5回締約国会議
釧路,日本
1993年6月9-16日

勧告 5.1.3: ドナウ河下流域

ドナウ河が8つの国に渡って流れ、一つ一つがそれぞれ、国際的に重要な湿地をいくつか含んでいたりまたそれら湿地に連続していたりすること、その中にはスロバキア共和国の Cicov 三日月湖とドナウ河氾濫原、ブルガリアの Srebarna 湖、ルーマニアのドナウデルタが含まれていることに注目し、

特に湿地がふたつ以上の締約国の領域にわたって存在していたり、水系が共有されていたりする場合には、ラムサール条約の締約国は条約に示された責務の実行について協議することになっているということを想起し、

地中海型湿地に関するラムサール、ベルン両条約の後援により招集された分科会の結論を明記し、そして特に保全とワイズユースのために「河川全体の」管理の重要性に注目し、

1990年に第4回締約国会議でモントルーレコードの中にオーストリアのドナウ・マーチ・オーエンのラムサール湿地が含まれたことを想起し、

モニタリング手法がオーストリアのドナウ・マーチ・オーエンとブルガリアの Srebarna ラムサール登録湿地においてとられてきたことを更に想起し、

オーストリア代表により分科会Aの中でドナウ・マーチ・オーエンでのモニタリング手続きの適用に関する発表がなされたことを記録に留め、

生活排水により、ドナウ河と連続したいくつかの湿地において生態学的特徴に及ぼされる影響の危険性、スロバキア共和国の Gabcikovo 水力発電用ダムにより川の流れが変化すること、そして故意の或いは事故による船舶の油流出の危険性について憂慮し、

ドナウ河と関連のある湿地の保全、管理及び運営には、ドナウ河流域の生態に関する条約を発展させるために1991年のドナウ河の関連諸国による会議によって到達した合意によって目指されたような、「全流水域にわたる」国際協力的アプローチが必要であることを確信し、

締約国会議は

スロバキアとハンガリー政府に、Gabcikovo ダム問題に関する国際司法裁判所の裁定を義務として受け入れるように、またいかなる場合にも生態学的問題が満足のいく解決がなされるよう国際的な共同体と共に仕事を進めるように求める。

ドナウ河流域の国々の政府に、その領域内にあるドナウ河下流に沿った最良の野生生物地域を保全することに関しての合意に達するように求める。

欧州共同体及び開発援助機関に、ルーマニアとブルガリア内のドナウ河への緊急汚染対応能力を発達させるために必要な経済的援助を提供するよう勧告する。

条約事務局に、ドナウ河流域の生態に関する条約の締結される際には、ラムサール条約を考慮に入れ実行するという見地に立って、条約の草案を推奨し、その展開を把握し続けることを要請する。

ドナウ河岸の国々の政府が、その豊かな野生生物資源の保全とデルタ川上流の流水平原の特徴の復元を含めた河川のワイズユースに関する計画を緊急に策定する権限を、ドナウ流域委員会又は他の適切な団体を組織に与える必要性があることを考慮に入れるよう勧告する。

ルーマニア政府がラムサール条約、世界遺産条約、ベルン条約への加入により発生したそのコミットメントを早急に達成する対策として、ドナウデルタ Biosphere 保護区においてラムサール湿地のワイズユースを目指したその目標と管理を保証するための法的な枠組みをつくることを勧告する。

ウクライナ政府が可能な最短期間で完全なドナウデルタ湿地システムのための賢明な管理の適用を確実に実施するために、ドナウデルタ Biosphere 保護当局との公的かつ密接な協力をはかるよう要請する。


[和訳:『ラムサール条約第5回締約国会議の記録』(環境庁 1994)より了解を得て再録]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う]

[ Top ] [ Back ]